1: ◆FLVUV.9phY 2014/12/13(土) 15:29:10.35 ID:d32EPYEGo
ぼんやりと、天井を眺める。ぼやけた視界は焦点を結ばずに彷徨う。
少し辛いことがあるとすぐにこうなる。
そして、そんな弱い自分に嫌悪感を感じて悪循環に陥るのだ。
分かっている、分かっているのに、止められない。
「せっかく、日常に戻ってこれたのに、知らない明日を掴み取ったのに。こんなことになるんだったら、あの時死んでしまっていればよかった……」
崩れたビルと巨大な歯車がフラッシュバックする。会心の一撃。
それ以外に表現しようのないその瞬間には選択肢なんて一つしかないように思えた。
それが間違いだったのだ。実際には死ぬか、生きるか、の二択だった。
選んだのは生きること。だけれど、知らなかった。
こんなにつらいなんて、こんなに苦しいなんて、こんなに、こんなに幸せが私を押しつぶそうとして来るだなんて。
ようやく、整ってきた焦点で時計を眺める。時刻は八時三分。
はっきり言って遅刻ギリギリだ。もう、起きて学校に行く用意をしないと。
朝ごはんを食べる時間は、ないかな。確か冷蔵庫にバナナが一本だけ残っていたはず。
歩きながらそれを食べれば、いいよね。
そんなことを考えながら、制服へと手をかけて逡巡。
手が、震える。いつもみたいにそれを着て、学校で授業を受ける私を想像する。