1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/08(火) 23:54:42.89 ID:XtmS4XsS0
化物語のssです。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/08(火) 23:55:49.03 ID:XtmS4XsS0
いつかの冬はずっと1人ですごした。寒くても変わりなく
いつかの春はずっと1人ですごした。暖かくても変わりなく
いつかの夏はずっと1人ですごした。暑くても変わりなく
秋も大体1人で。変わったのかな
冬は大体1人で。その間に携帯を手に入れたのだけれど
春は?どうだろう
確率的には1人だ。いや確率に頼っても
これから指数関数的に増えたりするかな
現状は対数関数にでもね
どちらでも手に負えない
負けっぱなし
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/08(火) 23:56:55.05 ID:XtmS4XsS0
ごめんなさい
私の人生良いものでなくって
本当にごめんなさい。幸福でなくって
期待はかけられていないから少しは許してほしい
家族とか知人がいれば迷惑とか心配とかされるかもしれない
してくれちゃってるかもだけど
いないからね。誰にも迷惑かけてないよ
いや
なんで私が謝るんだ。くそ
変われないのは知ってるよ
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/08(火) 23:59:03.87 ID:XtmS4XsS0
疲れているのかな
この町に戻ってきたせいだろうか
楽しそうな人が多いな
疲れているときはみんな死なないかなって思うくらいには
駄目人間だ。私が死ねばいいのにね
駄目、死なないよ。負けるか
とにかく楽しそうな人は苦手だ
何がどれくらい楽しいのか問い詰めたくなる
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 00:00:07.33 ID:OzGeUE4Q0
私は大体のことが嫌いだと思う
口に出したら駄目だけど
やっぱり嫌いなのだろう
時間が経てば少し好きになるかなって
ならなかった
優しさが気持ち悪い
つらさが気持ち悪い
誰もかれも気持ち悪い
私が一番気持ち悪い
それを思うことを許して
強い気持ちじゃないから
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 00:01:05.57 ID:OzGeUE4Q0
だって無理だもの。行けない
どうあっても行けない
たどり着けない
そんな風にはなれない
ならば
私はどうなるというの
間違いを見つけていくことは一個一個可能性が無くなることで
前向きなことならいいのだけれど
最後まで間違えを見つけたら
その後は?
余接「あっ育お姉ちゃん」
扇「はっはー、今日も楽しそうな顔してますねえ」
何かには見つけられたみたい
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 00:45:03.90 ID:OzGeUE4Q0
扇「では会議を始めましょう」
余接「ねえ育お姉ちゃん」
育「なあに?」
余接「何の会議なの?」
育「なんだろうね?」
扇「おや?ご存知でない」
育「うん」
扇「愚か者ですね」
育「おい」
余接「育お姉ちゃんは愚か者なの?」
扇「そうなのです」
余接「そうなんだ。じゃあ仕方ないね」
育「ちょっと余接ちゃん」
余接「なんだい?愚か者。いや愚か姉ちゃん」
育「やめなさい」
余接「うん」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:25:38.81 ID:006pOCIE0
そだちコンジェクチャとそだちアクシアムの続きです。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:27:14.67 ID:006pOCIE0
会うのはすごく久しぶりのこの2人と
本当になんでこんなことになったのかな
なんでこんなことをしているのかな
教室にいる
余接ちゃんと机を並べて扇ちゃんが教壇に立っている
この町に来て、この子達と会って
少し話をしたのだけど
ここって
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:32:03.99 ID:006pOCIE0
扇「ここは懐かしい場所でしょう?」
扇「かつては先輩がいた場所、今は私が通っている場所です」
扇「懐かしいですか?思い出はまだ壊れていませんか」
扇「不肖、この私が場所を用意させていただきました」
扇「あなたのために」
育「私のために」
余接「僕のために?」
扇「それはちょっと違うよ、余接ちゃん」
扇「どうです?扇さんって言ってくれても問題ありません」
育「扇ちゃん」
余接「扇お姉ちゃん・・・ちょっと言いづらいな」
扇「期待通りですね。期待通りに期待はずれです」
育「ねえ扇ちゃん」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:34:48.78 ID:006pOCIE0
扇「はい、愚か者なんですか?あと、発言の際には手を上げてください」
育「はい」
扇「どうぞ」
余接「色々と受け入れたんだ」
育「余接ちゃんのこと知ってるの?」
余接「いえーい」
扇「いえーい」
育「ちょっとついていけない」
扇「友人の友人は知り合いです」
扇「たまたま町で会いまして、共通の話題で談笑する仲です」
育「談笑?」
扇「あなたの友達は私と余接ちゃんだけですから」
扇「交友関係どうかしています」
育「言うなあ」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:40:59.72 ID:006pOCIE0
扇「ではでは、早速本題に入りましょう」
扇「ずばり阿良々木先輩についてです」
育「なんで!?」
余接「へー」
扇「加えて老倉先輩についてです」
育「私?」
余接「へー」
扇「このチキンはこの町に戻ってきているのに」
扇「いまだに愚か者の阿良々木先輩と会っておりません」
余接「チキンだね。きちんとチキンだね」
育「色々な悪口を言うのね」
育「そうじゃなくて、なんで会う必要がある?」
扇「だって会うために来たのでしょ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:47:13.67 ID:006pOCIE0
そんなことはない
そんなことはないはずだ
いや、やっぱりそんなことない
会ってどうする
私は何か変わっているか
いつも鬱屈して
無様に足掻いているだけだし
かなり足掻いたんだけどな
あいつを見返せるような人間になっているはずだったのに
これじゃあ
・・・それよりも心配なのは
扇「御二人の過去には色々なことがあり、老倉先輩はそれを気にかけられているかもしれませんが」
扇「愚か者は気にしていますかね?」
扇「大丈夫ですよ、また忘れていらっしゃるのでは?」
育「死ね!阿良々木」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 22:58:43.64 ID:006pOCIE0
扇「ならば死んだつもりで会いに行きましょう」
育「私じゃなくてあいつがね」
扇「どちらでもいいじゃないですか」
育「どちらでもいいだなんて言わないで」
育「ねえ余接ちゃん」
余接「・・・」
育「余接ちゃん寝ないで」
余接「眠い会話しているから」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 23:00:53.61 ID:006pOCIE0
扇「あまりいい案がありませんね」
育「1人は寝てるしね」
余接「死ね?」
育「違うよ余接ちゃん。阿良々木は死ねばいいけど」
余接「おにいちゃんと一緒のお墓に入る?」
育「死んでも入らない」
余接「なんでそんなに嫌いなの?」
育「そりゃあ・・・」
一時間ほど語った
何を話したのかは憶えていないけど
それは素晴らしい演説だったに違いない
扇「愚か者、あなたが議長をやりなさい」
育「私が?」
扇「話が進みませんので」
扇「ちょっと余接ちゃん、死なれては困ります」
余接「ちょっと死なせて、あと5分くらい」
育「何なの」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/09(水) 23:18:59.01 ID:006pOCIE0
育「それでは会議を始めます」
余接「はーい」
扇「はいはい」
すごいな、すごい嫌な記憶が甦る
でも、今は前を見ると
なんだかおかしい
余接「何か言えよ」
口悪くなったね余接ちゃん
扇「あれですよ、あれ。教師が教壇の前に立って黙るという手法です」
扇「不安を掻き立てる手法です。そんなことして楽しいですか?老倉先輩」
扇「趣味が悪いですね。素晴らしいです」
相変わらずうるさいね扇ちゃん
まったく
余接「何笑ってんだよ。怖いよ」
本当に口が悪くなったね
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/10(木) 00:34:16.55 ID:NcNj8XdX0
育「発言があるのなら挙手をお願いします」
余接「はい」
扇「はい」
育「じゃあ余接ちゃん」
扇「ひいきですね」
育「違う」
余接「僕に議長やらせて」
育「後でね」
余接「うん」
扇「はい」
育「扇ちゃん」
扇「何ですかその会話」
育「最初は何を言おうとしたの?」
扇「私をもう一度議長に」
育「駄目っていうか、余接ちゃんと言うこと一緒じゃない」
扇「またもやひいきですか」
育「静粛にお願いします」
扇「分かりました。老倉先生」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/10(木) 06:43:38.88 ID:NcNj8XdX0
育「えーと、議題は・・・私があいつに会うためにはどうしたらいいかだっけ」
育「色々とおかしい」
扇「そうです。頭のおかしい同士、早く会っちゃってくださいよ」
育「いやいやいやいや、おかしいって」
育「それにさあ、私から会いにいったら、会いたいみたいじゃない」
扇「頭のおかしいは否定されないのですね」
余接「すげーどうでもいい」
育「あいつだって今日は近くにいないかもしれないし」
扇「それはご心配なく、呼んでいます」
育「本当!?」
扇「本当ですよ」
余接「みんな暇なんだね」
育「どっどこに?すぐそこいるの」
扇「あっ」
余接「どうしたの?」
扇「しまったー、失敗だー。お二人に詳細な待ち合わせ場所を言っていませんでした」
余接「それは大変だね」
扇「しかし、この校舎のどこかにいるはずです。探してみていただけませんか?」
余接「探さなきゃ」
扇「ええ、探さなければ会えません」
全て棒読みで交わされる会話だけれど
どうする?
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/10(木) 23:05:13.78 ID:Dkq340/M0
育「ちょっちょっと待って」
扇「おや議論を進められませんか」
余接「じゃあ次、僕だ」
余接「育先生、早く退任して席に座って」
育「あっはいはい」
余接「返事は1回でいいぜ」
育「いいぜって」
余接「僕の言う事は少ないよ」
余接「じゃあみんな一緒に」
余接「いえーい」
扇「いえーい」
育「・・・」
余接「育お姉ちゃん、廊下に立ってる?それとも言う?」
育「もうこれいいでしょう」
余接「駄目出しかい?やらないくせに駄目出しするの?」
余接「駄目な大人だね。駄目な大人の見本だ、見本市だね。何年生きているの?」
余接「信じられない。そんなことではこれからの生活が円滑におくれないよ」
そんなことがいる生活ならこっちから願い下げだけど
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/10(木) 23:10:31.13 ID:Dkq340/M0
余接「あともう一つだけ言うよ」
育「うん」
余接「先生って言ってよ、育お姉ちゃん」
育「先生」
余接「もっと言って」
育「先生」
余接「うるさいな」
育「ええっ?」
扇「はい」
育「何ですかその会話・・・でしょ?」
扇「その通りです」
余接「いい?」
育「どうぞ先生」
余接「とっとと会いに行けよ」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/10(木) 23:14:19.13 ID:Dkq340/M0
育「余接ちゃん?」
余接「育お姉ちゃんは言ったよね、僕に心があるかどうか」
余接「結論から言うと、いまだにわからない」
余接「うまく言えないんだ。僕」
余接「でも行ったほうがいいと思うんだ」
余接「あるって言ってくれて。僕は」
余接「ちょっとばかり嬉しかったりもしたりしなかったりで」
余接「だって」
余接「なぜかな」
余接「心を手にしたら僕は死んでしまうような気がして」
余接「怖いんだ。死んでいるのにね」
余接「それで僕は」
余接「聞きたいことがあって」
余接「同じ質問をしてしまうのだけれど」
余接「許してね」
余接「育お姉ちゃんの心はどこにあるの?」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 00:07:22.61 ID:kUMV81yG0
育「ごめんね」
私に綺麗な形の心はなくて
歪んでくすんだものではと思う
それも不確か
私は私の証明ができない
余接「ううん。そんなことないよ」
余接「育お姉ちゃんくらい頭が良ければ、分かるのかなって思ったんだ」
余接「難しいよね、分からないことがあって」
余接「大事なことなんだけど」
育「そう・・・だね」
余接「もし分かったらさ」
余接「そっと教えて」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 00:23:51.91 ID:kUMV81yG0
扇「老倉先輩」
扇「迷われているのなら、ここで行かれてしまうのも手ですよ」
扇「時には突っ込んでしまうことも必要です」
扇「何もせずに全部懐かしむのもいいですけどね」
扇「頭がおかしいとか言ってしまっても」
扇「ならば、もう後は余計な思いになります」
扇「それでもいいですが・・・」
扇「その時に、あなたを笑うのは誰でしょうね」
育「誰?」
扇「それは私です」
扇「おっと、ボールペンはしまって下さい」
扇「冗談ですよー、嫌だなー、老倉先輩」
扇「待って下さい。そして行って下さい」
扇「待っているのは愚か者です」
扇「会いに行くのも愚か者です」
扇「愚か者と愚か者ですね。戦争でもするのですか?そうではないでしょう」
扇「誰もかれも、いつか私達にした問いを持って待っています」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 00:25:39.20 ID:kUMV81yG0
育「あのさ」
余接「なんだい」
扇「何でしょう」
育「どうして私にそこまでしてくれるの?」
扇「さて?何のことでしょう。分かりますか余接ちゃん」
余接「お姉ちゃんにそこまでの価値は無いよ。驕るなよ」
余接「価値がないから、友達なんだぜ」
育「なんだぜって変なの・・・いけるかな?」
余接「行けって」
育「忘れられてない?」
扇「聞いてみたらいいじゃないですか」
育「嫌われていたら?」
余接「・・・」
扇「・・・」
育「・・・」
余接「がんばろう」
扇「頑張りましょう」
育「何を?いやいいけど、行けばいいんでしょ」
育「後悔しても知らないよ」
余接「お前がな」
扇「してればいいです」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 23:40:13.76 ID:xG7rgZpo0
校舎の廊下を歩く
歩く私は滑稽だ
話す私は滑稽だ
生きる私は滑稽だ
大嫌いな人に会うためにいる私はどうだ
いいよ
いいよ
いいよ
いいよ
誰も知らないから
先に進め
それから考えろ
怖くない
怖くない
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 23:41:03.43 ID:xG7rgZpo0
育「どっどう?」
扇「おかしいですね。先ほどこちらを通ったはず」
育「嘘」
余接「隠れてどうするんだよ」
扇「埒が明きませんねえ」
扇「では、手分けして探しましょうか」
余接「そうだね」
育「ええっ?」
扇「私はこちら、余接ちゃんはあちらに」
育「私は?」
扇「自分で決めなさい」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 23:50:09.38 ID:xG7rgZpo0
1人になったって
いつもと同じ
話す相手は自分で、一番話してきた
自分と向き合うのに飽き飽きだ
自分しか向き合う相手がいないから
でも向き合うのはとても魅力的ではない私
自分で無ければ見放してやりたいと何度思った私と
何年向き合っただろう。おかげで大人にはなれないまま
可哀相だと言われたくない、言っていいのは私だけ
私が頑張ればいい
全ては未来の私に丸投げ
つらいときに助けてくれる人はいない
これからは更にいないだろう
そういつもと同じなのだから
あせっちゃ駄目だ
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 23:56:12.65 ID:xG7rgZpo0
どこにいるんだよ
手間をとらせるなよ
3年の教室は回った
他にどこにいるのだろう
私に恐れをなして逃げたのだろうか
なら来るなと言いたい
嘘を言うなと言いたい
私に
私は
知っているけど
私は知っている
どこにいるかを知っている
あいつは嫌な奴だから、どこにいるかなんて解りきっている
居るのは嫌なことがあった嫌いな場所
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/11(金) 23:58:37.59 ID:xG7rgZpo0
もしこの中に誰もいなかったら
嬉しいのか怖いのか
なんて言えばいいのかを
何通りでも考えて
何を言われてもいいから
何通りでも考えて
動揺するな
余裕を見せてやれ
取り乱したりせずに
普通に話せればいい
扉を開けて
いた
育「あっ・・・」
暦「おっ元気だったか老倉?」
暦「今度はもちろんお前のこと覚えているからな」
育「死ね!」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/12(土) 22:44:10.43 ID:yUzv70UZ0
育「憶えているって・・・当たり前だろ」
育「的外れなこと言って」
育「この前からそんなに経ってないし」
育「忘れていたらひどいし」
育「常識で物を言えよ」
暦「いきなり死ねって言ってる奴に常識を諭された」
最悪の再会の回数を更新している
やったあ
でも駄目だ
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/12(土) 22:59:11.34 ID:yUzv70UZ0
育「元気だったか?だって」
育「全然大丈夫だったよ」
育「全部うまくいってたから」
育「まったく問題無いね。問題があるわけがない」
暦「おっおう。良かったじゃないか」
暦「心配だっ
育「心配なんかするな」
そんなことを言うな
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/12(土) 23:13:24.88 ID:yUzv70UZ0
育「それより何でここにいるの?」
暦「?それはお前に会うために」
暦「お前は」
育「会って何をする?」
暦「何って話でもしようぜ。久しぶりに会ったしな」
暦「お前は?」
育「何を話すの?」
暦「なんでもいいよ」
暦「老倉はなにかあるか?」
育「うん・・・」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 01:37:13.46 ID:M1aZAW130
おかしいなあ。まったく話す言葉が浮かばない
あんなに考えていたのに
扇ちゃんと余接ちゃんを呼ぼうかな
そうだ
育「心臓の形は解けた?」
暦「心臓?」
育「余接ちゃんから聞かなかった?」
暦「ああ、あれか。解けたよ、その大きさも」
育「定理を憶えていれば簡単だよね。無限の形は?」
暦「扇ちゃんが聞いてきたやつだな」
暦「うん。その長さも解るさ」
育「ほんとに解けたの?」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 01:39:48.95 ID:M1aZAW130
暦「ほんとだって」
育「じゃあ黒板に書いてみなよ」
暦「本気か?」
育「早く」
暦「うーん・・・だから極座標の長さの公式はこれで」
暦「もうひとつは第一象限の4倍で」
育「へえ」
解けると思った
本当に疑ったわけじゃない
綺麗な形が書かれている
育「やるじゃない」
暦「僕からもいいか?」
育「いいよ」
暦「星の形は?」
育「楽勝だよ」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 01:41:53.24 ID:M1aZAW130
育「・・・と縮閉線も同じようになります」
暦「さすがだな」
育「できて当たり前でしょ。えっ?もしかしてできないの」
育「もっと詳しく教えてほしい?」
暦「えっいいよ。自分で考えてみるからさ」
育「えっ・・・そう」
暦「結構びっくりしたけどな、あの2人がこんなことを聞いてくるなんて」
育「他に何か言ってた?」
暦「余接ちゃんは仲直りしなよって」
暦「扇ちゃんは覚悟しておいて下さいって」
暦「わけわかんねーよ」
育「それはそうだね」
育「あの子達すごい変わっているけど」
育「すごくいい子達だよね」
暦「そういう印象を受けたのか・・・そうか」
暦「あの2人も変わったのかな」
育「ふーん?」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 01:49:20.22 ID:M1aZAW130
私はどう?変わったかな・・・なんて聞いてみようかなあ
育「私は・・・」
暦「なんだ?」
・・・聞けるか。気持ち悪い
本当にやめて
3日後くらいに死を選びたくなるから
私が聞けるわけがない
どうしようね扇ちゃん
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 13:46:08.13 ID:M1aZAW130
育「はぁ」
暦「なんだよ溜息なんてするなって」
育「もう帰ろうかな」
暦「えっ!?まだ話があるんじゃないか?」
育「うるさいなあ」
育「私が何か話があって話をしたらおかしいじゃない」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 13:46:55.74 ID:M1aZAW130
育「じゃあ」
きちんとさよならを言うのは初めてかもしれない
私が言いたかった言葉はこれになるのか
逃げるように言う言葉が
私はあなたのことが嫌いだってことは何回も言えたりしても
いやほんと、死なないかなあ
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 13:49:47.62 ID:M1aZAW130
暦「老倉!」
育「っ大きな声で・・・何?」
暦「お前も解けるよな?僕がやった問題」
育「当たり前でしょ」
暦「だったら」
暦「心臓の形はお前にあるよ」
暦「永遠の形も同じくな」
暦「そこまで解けたならもうあとは一つしかないだろ?」
暦「お前は優秀だからな」
育「ああ・・・そう」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 13:50:52.75 ID:M1aZAW130
優秀だって
笑うね
そう思うのはお前しかいないんだ
嫌いなお前しかいないんだ
昔の私を知っているのはもうお前しかいない
あとは忘れ去っている
忘れ去られている
嫌だな
なんて皮肉なんだろう
私を証明できるのはお前しかいないのだもの
くそう。そんなことを言うなって
今を思うことは難しいことだ
嫌いじゃなくなったらどうするの
大丈夫だよ私は
そんなことないから
みんなどうしているの
みんなどうかしているの
それなら私と同じになるから
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 13:57:42.62 ID:M1aZAW130
暦「今日はありがとうな」
暦「実は僕、お前に声をかけるのが怖かったんだぜ」
育「あっそう」
育「臆病者だ。情けない」
育「人に話しかけるのが怖いだなんて」
暦「そうだな。だって怖かったからな、お前」
育「ふーん・・・」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 13:59:08.92 ID:M1aZAW130
暦「ははっ」
育「なにが可笑しい?」
暦「悪い悪い」
暦「だって嬉しくてさ」
育「嬉しいって何が?」
暦「お前のことだ」
暦「なあ解るか?僕は嬉しいよ。お前にあの頃のお前は怖かったな、なんて言えるんだぜ」
暦「言わせて欲しいのだけれど」
暦「お前はなにも変わってない。なにもかもお前だよ」
暦「別にいい、僕はそれが嫌いではないのだから」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:00:27.68 ID:M1aZAW130
だから嫌なことを言うなよ
嫌いなやつに嫌いじゃないとか言われたりしたら
言われたら
そういうときは悲惨な過去に負けるわけがない
負けるわけにはいかない
嫌いなお前が勇気を出した
お前が解けた問題は
私も解ける
きっとそう
勇気を出そう
勇気を出して
頬をつねる
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:01:32.75 ID:M1aZAW130
暦「いてっ!」
育「痛い?ごめんね」
暦「当たり前だろ!」
育「人に触るのって怖いものね」
泣きそうになってしまう
泣くわけじゃないよ
そんなのできない
でもそれを我慢して触れようとしたのだから
育「どう?私はまだ・・・あなたのことが嫌いでしょ?」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:04:46.18 ID:M1aZAW130
暦「老倉・・・」
育「帰ろうか」
暦「えっ?」
育「聞いてる?帰ろうって言っているのだけど」
暦「んっ?ああ」
育「余接ちゃん、扇ちゃんいるでしょ!?」
育「帰ろう」
余接「早く呼べよ」
扇「邪魔してはいけないと思いましたので」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:06:13.89 ID:M1aZAW130
余接「帰りになにか奢って育お姉ちゃん」
扇「私も奢られましょう」
暦「仲良いな」
育「お前よりね」
余接「そうしたら、おにいちゃんの家で食べよう」
扇「それは良い考えではありませんか。ねえ老倉先輩?」
育「えっええ?でも」
暦「僕は別にかまわないよ」
育「仕方ない。扇ちゃんと余接ちゃんが言うなら」
余接「よく言うよ」
扇「ああ、先輩はおもしろいなー」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:10:19.14 ID:M1aZAW130
全然うまくいかなくて
間違えを見つけるたびに嫌になったとしても
だって嫌だよ、お前にそんなこと言われたら
それでも、そんなことが私を証明し続けるものならば
まだ、なんとか動いていける
指が少しでも動けば星の軌跡だって描ける
それだったら
泣きそうになってもいいよ
替わりに頬をつねってやるから
先に泣くのはお前だ
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:11:02.60 ID:M1aZAW130
暦「じゃあ行くぞ老倉」
育「うるさいなあ」
暦「やっぱりさっきの問題詳しく教えてくれないか?」
暦「僕1人じゃ解けそうにない」
育「じゃあ一緒に考えようか」
まだまだ問題は山積みになっている
どうやって解いていこう
校舎を出ながら考える
かつては1人で去った校舎を
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 14:11:30.66 ID:M1aZAW130
これで終りです。ありがとうございました。
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/13(日) 18:06:07.59 ID:k6vz8CjDO
乙
良かったよ
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