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恵美「あなた何で日本語覚えたの」鈴乃「アニメとか」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:27:12.64 ID:SKqE2bcJo

※うどんさん型崩れとメタ注意


恵美「は?」

耳を疑ったが、非常に残念なことに聞き間違いではないようだった。

鈴乃「アニメだけではないぞ。マンガ、ゲーム、ラノベ、声優ラジオなども嗜んだ」

鈴乃「日本の誇るオタク文化とやら全般を学んできた。日本と言えばコレらしいからな」

真面目な顔だった。
それはもう冗談の余地のないクソ真面目な顔だった。

鈴乃「ちなみにエミリア、あなたは今期どのアニメに注目している? いや、当然私は全部見るが」

恵美「知らないわよぉぉぉぉぉ!!」

喫茶店の中だということを気にする余裕もなく、私は絶叫した。

『はたらく魔王さま!』クリアファイル

2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:28:06.07 ID:SKqE2bcJo

恵美「えぇとね、ちょっと、ちょっと待って」

頭を抱える。
おかしい、どういうことだ。

エンテ・イスラからやってきたクレスティア・ベル――もとい鎌月鈴乃。
彼女の時代がかった……というか変に形式張った口調と、
この暑いのに和服に革ジャンという謎のファッションの出処を聞いてみたら先ほどの答えだ。

鈴乃「残念ながら魔眼の類の能力は使えないのだがな。聖職者故、刃物は扱えないしな。こすぷれというやつだ」

もう彼女が何を言っているのか分からなかった。

恵美「あのね、あなた何で日本に来たんだっけ?」

鈴乃「魔王を倒し、勇者であるあなたをエンテ・イスラに連れ帰り、腐った教会を正すためだ」

恵美「そうよね? そうなのよね?」

少しほっとする。
いや、今のところ私にその気はないのだが、彼女がちゃんとした目的を持っているらしいのはありがたい――

鈴乃「しかしな、私の尊敬する聖職者曰く、暴力を振るって良い相手は悪魔共と異教徒共だけだと言うのだ」

鈴乃「今の魔王達は人間で、無宗教だろう? 果たして暴力を振るって良いものか……」

恵美「……多分、その人の言葉は信用しなくていいと思うわ」


3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:28:40.24 ID:SKqE2bcJo

真剣に腕を組んで悩む彼女は、おそらく性根が真面目なのだろう。
色々と目にするうちに何だか変な方向に染まってしまったらしい。
……この世界に来て時代劇にハマった私にも、この世界の娯楽の多様さ、クオリティの高さは分からないでもない。

鈴乃「しかし"魔王"という存在は、魔の王という字のとおり、まさに悪の権化であるはずだが」

鈴乃「彼らを見てるとどうもそんな雰囲気がまったく感じられず、戸惑っているところだ」

まあ、そこは遺憾ながら同意できる。
バイトに精を出す魔王を見ていると、こちらが深刻に構えるほうが馬鹿らしくなる。

鈴乃「だが昨今では魔王も学園生活を送ったり勇者と一緒に経済活動を行ったり、むしろ味方のほうが多いように思うな」

鈴乃「そもそも人間の敵が実は向こうの正義のために動いているというパターンは昔から珍しくない。ダオスとかな」

鈴乃「"魔王"の扱いにしてもクロノトリガーの時点で仲間になったりしているし、単に魔王を倒せば話が成立する黎明期と違い」

鈴乃「現代では捻りに捻ってオリジナリティを生み出さんとする作り手の苦労が……」

恵美「ごめん、分からない。何一つ分からない」

放っておけばいつまでも語り続けかねない彼女を遮る。


4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:29:14.41 ID:SKqE2bcJo

恵美「え、何? つまりあなたは、あいつらも実は良い奴だとか言いたいわけ?」

鈴乃「断定はしない。が、その可能性もあると思い今は観察している」

恵美「……言うまでもないけど、あいつらにどんなご大層な目的があろうと、エンテ・イスラに侵略したのは事実なのよ?」

何で私がこの子を説得するような形になっているんだろう。
自問自答しつつも、厳しい声で問い詰める。
そう、その目的は未だ不明だが、奴らは紛れもなく多くの人の命を奪った敵なのである。

鈴乃「うむ……それはそうなのだが」

彼女も表情を深刻なものに改めた。

鈴乃「ぶっちゃけた話、私も異端審問とか言って結構な数の人間を殺ってるし……あまり命の大切さ云々を語れないというか……」

うわぁ、本当にぶっちゃけた。

鈴乃「あなたの活躍で魔王がいなくなって、やっと世界が平和になって、この手を汚すこともなくなると思ったら」

鈴乃「平和になった途端に国同士で勢力争いを始めるし、教会の体質は相変わらずで勇者ブッ殺してこいとか言うし」

鈴乃「何かもう疲れて……そんなとき日本の文化に触れて癒されて」

鈴乃「魔王が無害なようなら、もうこっちに永住して安らかな余生を送ろうかなとか……」

テーブルに俯いて本当に疲れたように言う彼女だった。
余生て。


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:30:07.71 ID:SKqE2bcJo

恵美「……その若さで何言ってるのあなた」

鈴乃「ふん、十七の小娘が。私はなー、もう結構な年なんだぞ。なのに独身だぞ。あと数年もしたら独神になれるぞ」

手にしたアイスコーヒーで酔っ払ったかのようにヤケクソじみた態度になる。

恵美「んな情報要らないわよ」

鈴乃「分かるか、気づいたら子供のヒーロー冴羽?や剣心やぬ~べ~の年に追いつき追い越す恐怖が。奴らあれで結構若いんだぞ」

恵美「だから要らないって言ってんのよそんな情報はぁぁぁ!」

この子……いや随分お年を召されてるようだが、この子は一体どこまで日本の文化を勉強したのだろうか。
さっきから私には未知の単語しか出てこなくて苛ついてきた。


6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:30:39.63 ID:SKqE2bcJo

恵美「……え、じゃあ何? 魔王のとこの家事手伝ってるのは何なの? 毒でも仕込んでんの?」

鈴乃「いや、普通に近所付き合いで。アパートの共同生活というやつに憧れていた」

鈴乃「欲を言えば犬を飼った未亡人の管理人さんが居れば満足だったが、ああいうのは現代じゃあまりないらしいな?」

恵美「聞かれても知らないわよ」

こちらも心底疲れて返す。
気づけば仕事の時間だったので、席を立った。

恵美「とりあえず……もう仕事だから行くわよ、私」

鈴乃「ああ、分かった。私はもう少しここで時間を潰すとしよう」

言って最新の携帯を取り出し、アイドルのプロデュースだか何だかのゲームを始めた彼女を背に私は去った。

……ストレスすごかったのかなあ、異端審問官。


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:31:07.38 ID:SKqE2bcJo

鈴乃「恵美殿、ようやく勤務を終えられたか」

会社を出た私を待ち受けていたのは、両手に……アニメ絵の袋を携えた鈴乃だった。

恵美「……何してたの、あなた」

鈴乃「中央線で一本だからな、アキバで色々と。いや、聖地で飲むドクペは美味かった」

さっきまで電車の乗り方も知らなかったというのに、随分な順応性だ。

鈴乃「あとはせっかく新宿に来たのでタイステに行ってきてな。憧れていた現人神との手合わせが叶った」

鈴乃「すごかったぞ、私の小足を見てから昇竜セビ滅されたときには、ああ神はここにいたのかと、思わずありがたや~と……」

梨香「……ええと、恵美、お友達?」

鈴乃「朋友だ」

恵美「知らない人」

素気無く言うが、彼女は堪えていないようだった。
正直一緒に歩くのが恥ずかしい彼女の風体に、とっとと梨香と去りたかったのだが、
トラブルの匂いを感じたのかそそくさと一人で帰ってしまう梨香だった。


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:31:35.47 ID:SKqE2bcJo

鈴乃「ではエミリア、魔王の偵察がてら、幡ヶ谷のマグロナルドにでも行こうか」

恵美「いや、何でよ……今日はもう帰してよ……休ませてよ……」

鈴乃「マグロナルド限定配信のモンスターが欲しいんだ」

そう言って携帯ゲーム機を取り出す彼女である。

恵美「一人で行きなさいよ!?」

鈴乃「いいではないか、何ならエミリアも買って通信しよう。でないと私のゴーストがいつまで経ってもゲンガーにならんのだ」

恵美「知るかぁぁぁぁぁ!」

全力で逃げたいところだったが、聖法気でも使っているのかずるずると襟首を引きずられていった。


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:32:48.26 ID:SKqE2bcJo

鈴乃「千穂殿、やっはろー!」

千穂「あ、鈴乃さん、遊佐さん……や、やっはろー?」

恵美「付き合わなくていいわよ千穂ちゃん」

ハイテンションで挨拶する鈴乃に、おずおずと手を掲げる千穂ちゃん。
何だかもう、彼女を鈴乃に関わらせるのが酷に思えた。

鈴乃「ああ貞夫殿、注文を頼む。ハッピーセットで。全種だ」

貞夫「……や、これ基本的に子連れのお客様向けでだな……」

鈴乃「固いことを言うな、どうせ閑古鳥が鳴いているじゃないか」

結局日々の差し入れの恩と、実際に客の入っていない店の売上確保のためか
苦渋に満ちた表情で大量のセットと玩具を用意する魔王。

恵美「ってこんなに食べられるの?」

鈴乃「助けてくれ」

恵美「……いや、まあ、いいけど」


10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:33:15.50 ID:SKqE2bcJo

奢りなら、と頂くことにする。
大量のジャンクフードにうんざりしながら二人してもぐもぐと処理していたところ、
店に入ってきたおじさんから笹の木をもらった魔王達が飾り付けを始めた。

千穂「笹幡七夕祭りで飾るんですよ」

恵美「ああ、なるほど」

鈴乃「七夕か……七夕と言えば」

ハンバーガーをごくんと飲み込んだ鈴乃がこちらを向いた。
その表情は真剣だ。

鈴乃「もうすぐコミケのカタログが発売されるな。二人で分担して回らないか?」

恵美「綺麗ねー飾り付け」

千穂「え、あの、コミ……? あ、はい。真奥さんが考えたんですよ」

最早取り合う気は起きなかった。


11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:33:48.56 ID:SKqE2bcJo

鈴乃と二人で、千穂ちゃんを自宅まで送り届けることになった。
昨日は目出し帽の暴漢に襲われたばかりだ、警戒するに越したことはあるまい。

鈴乃「ちなみにさっきの笹の木が発生させた魔力が客を呼んでいたが気づいていたかエミリア?」

恵美「唐突ね!? そこはちゃんとやるのね!?」

横では私の本名を呼んだ鈴乃を訝しげな視線で千穂ちゃんが見ている。
ああ、まずい。この子だけは巻き込まないようにしないと。

千穂「エミリアって……鈴乃さん、もしかして……」

鈴乃「ああ。エンテ・イスラの死神デスサイズヘルと言えば私のことだ」

何かが致命的に違っている気はした。

鈴乃「だが千穂殿が心配するようなことはないぞ。この一週間魔王の隣で暮らし、今日は彼の働きぶりも見て」

鈴乃「彼の人畜無害っぷりを確信したところだ。今後は特に中身の無い日常系ほのぼのストーリーを送ろうじゃないか」

千穂「あ、そうなんだぁ。良かった~」

恵美「良かないわよ! あれは敵! 人間の敵!」


12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:34:20.43 ID:SKqE2bcJo

呑気に言う千穂ちゃんについ叫ぶ。
いや、私としても今すぐ魔王を討伐するつもりはないが、奴が人畜無害などと認めるわけにはいかないのだ。

鈴乃「情けないぞエミリア! あなたはそれでも勇者か!」

鈴乃「魔王は倒す! 千穂殿を含む人々の笑顔も守る! どちらもやらなければならないのが勇者の辛いところだ!」

鈴乃「覚悟はいいか!? 私はできている!」

恵美「似たようなことは考えてたけどあなたに先に言われると腹立つわね!?」

堂々と言ってのける鈴乃だった。
どうも今日一日で彼女の悩みは解消されちゃいけない範囲まで解消されてしまったようだ。


13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:34:49.76 ID:SKqE2bcJo

千穂「え、じゃ、じゃあ結局真奥さんと戦うんですか?」

鈴乃「いや、彼は負の感情から魔力を集めるわけだから、彼の周りを平和に保てばいいんじゃないだろうか多分きっと」

鈴乃「そうだ、麗しき乙女が三人も揃っているんだし、部活でも作って彼のハーレム路線に変更はどうだろう」

千穂「だ、駄目ですっ!」

恵美「死んでもゴメンだわ」

手をぽん、と打って名案だと言わんばかりの鈴乃に、理由は違えど私達二人が否定の声を上げる。
すると鈴乃の表情が俄に険しくなった。

鈴乃「……そうか。ならば仕方ないな」

恵美「……?」

瞬間、彼女が凄まじい速度で私達の懐に飛び込み、額に手を当ててくる。
急激に訪れる眠気。
しまった、油断した……

鈴乃「……相変わらず……寝かしつけるのが下手だな……」

妙に貫禄と渋みのある顔でそう言う彼女の姿を最後に、私の視界は閉じた。


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:35:18.79 ID:SKqE2bcJo

恵美「くっ……」

気づけばどこかのビルの屋上にて、私は目出し帽の暴漢もとい大天使サリエルの目からビームを受けていた。
ドラゴンボールのゲームの「目から怪光線」とか「口から怪光線」ってあまりにも安直過ぎる名前じゃなかったかしら。
……ああ、駄目だ。疲労のせいか、何だか思考が鈴乃に毒されてきた気がする。

千穂ちゃんは縛られて転がされている。
鈴乃はビームをぴゅんぴゅん出しまくるサリエルの横で、黙って立っていた。

さっきまでの態度は演技だったとでもいうのか。
彼女がこのような強行手段に出ると予想しなかった私のミスだ。

サリエル「……おやおや、羽虫が一匹紛れ込んだようだ」

この場を覆う結界に反応があったのか。
奴はにやりと笑い鈴乃を振り向いた。

サリエル「折角来たなら歓迎しようじゃないか、ベル」


15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:35:49.78 ID:SKqE2bcJo

もしや、千穂ちゃんを助けに魔王が来たのだろうか。
だとしたら魔力のない今の魔王が鈴乃に敵うはずもない。
複雑な思いから彼女に視線を向けると……

鈴乃「だが断る」

彼女はドヤ顔でそう言った。

サリエル「……ん?」

鈴乃「このクレスティア・ベルが最も好きなことの一つは」

鈴乃「自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事だ……」

言いながら彼女はサリエルを見下ろすように、空を飛び空中で静止した。

恵美「……鈴乃……? よ、よく分かんないけど、だったら千穂ちゃんを助けて!」

鈴乃「それは構わんが、エミリア」

鈴乃「別にアレを倒してしまっても構わんのだろう?」

そう言った彼女は、どこまでもドヤ顔だった。


16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:36:19.74 ID:SKqE2bcJo

サリエル「……正気か、ベル? 天界を崇める教会に仕える君が、大天使の僕に……」

鈴乃「黙れッ! そして聞けッ!」

彼女が髪に刺していた簪を抜き取り、"武身鉄光"の術で大槌に変化させる。

鈴乃「我が名はクレスティア! クレスティア・ベル!」

鈴乃「悪を断つ剣なりィィィ!!」

それハンマー、とツッコむ余裕のある者はこの場にはいなかった。
彼女の口上と共に、背景にまるで稲光のような幻覚が見える。
……あ、違う、あれ雷撃の法術だ。細かいところ拘ってるな。

サリエル「馬鹿が……聖法気使いが、僕の"堕天の邪眼光"に敵うと思ったか!」

発射される目から怪光線。
それを容易く躱した鈴乃はサリエルに突撃すると、大槌を振りかぶった。


17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:36:50.44 ID:SKqE2bcJo

鈴乃「当たらなければどうということはない……! 武光烈波!」

そして繰り出された蹴りはサリエルの鳩尾に直撃した。
って蹴りか。

サリエル「うぼぁ!」

地味に痛そうなその攻撃に、サリエルがうずくまる。
その目の前に降り立った鈴乃が行ったのは、

鈴乃「いつからそれが私に効くと錯覚していた?」

鈴乃「いいぞ、貴様が聖法気使いに対して無敵とでも思っているのなら……」

鈴乃「まずはその幻想をブチ殺す!!」

挑発という名の説教だった。

サリエル「ぬぅぅぅ!」

乱射される目から怪光線だが、その尽くが鈴乃をすり抜けた。
いや、違う。あれは……

サリエル「質量のある残像だと……!」

驚愕するサリエルの頭上に、今度こそ大槌に力を込めた鈴乃が急降下してくる。


18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:37:21.40 ID:SKqE2bcJo

鈴乃「光に……なれぇぇぇぇぇッ!!」

サリエルの脳天に直撃する大槌。
ベキボキと聞こえちゃいけない音を全身から響かせつつ、サリエルは沈黙した。

鈴乃「灰は灰に……塵は塵に!」

ハンマーを掲げて決めポーズを取りながら、決め台詞を叫ぶ鈴乃だった。

恵美「……いや何してんのよ異端審問官んんん!!」

鈴乃「何って……邪魔者の排除だ」

千穂ちゃんの縄を解きつつ平然と言う。

鈴乃「武力介入による邪魔者根絶。それが私達、異端審問会だ!」

恵美「開き直んなぁぁぁ!」

真奥「ちーちゃん、無事……え、何してんのこれ」

息を切らせた魔王がやってきたのは、全部が終わったあとだった。


19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:38:20.20 ID:SKqE2bcJo

漆原「ちょおおおベル、それガー不! なしでしょ!? それはなしでしょ!?」

鈴乃「黙れ、EVOも近いのだ。私は強くなるためには手段を選ばんぞ」

千穂「今、何もできずに一方的にやられたのが漆原さんですか?」

恵美「……何が起こってんの、これは」

真奥「……俺に聞かれてもだな」

監視のために魔王城に寄ってみれば、いつの間にやら設置されているテレビにゲーム機、外付けアンテナにHDDレコーダー。
この部屋には似つかわしくないそれで遊んでいる鈴乃達の姿があった。
……ちなみに彼女の正体は当然のようにバレているらしい。

恵美「あれどうしたの。あなた達に買うお金なんてないでしょ。まさか盗んだとか……」

真奥「んなわけあるか! 鈴乃が持ってきたんだよ!」

鈴乃「ああ、エミリア。何、ゲームは対戦相手が欲しかったし、アニメは共に見て感想を言い合うのが楽しいからな」


20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:38:54.57 ID:SKqE2bcJo

にしても、電気代が増えるだろうに、よくアルシエルが受け取ったものだ。

芦屋「……魔王様が、案外テレビっ子だということが判明してしまったのだ。あんなに喜ばれては撤去もできん」

無念そうに顔を歪める悪魔大元帥だった。
テレビに夢中な魔王を倒す使命を帯びた我が身に、切なさを覚える。

漆原「アニメと言えばベル、今期は何に注目してる? いや、僕は全部見るけど」

鈴乃「私もだ。しかし強いて挙げれば急に歌うアレだな、あの斜め上の熱さがたまらん。本当に二期が待ち遠しかったよ」

漆原「お、気が合うね。ちなみにお前のプロフィールは?」

鈴乃「年齢2X歳、身長は157cm、体重はもう少し仲良くなったら教えてやる!」

鈴乃「趣味はアニメ鑑賞で好きなものはうどん&うどん、そして、彼氏いない歴は年齢と同じッ!!」

鈴乃「って言わせるなぁぁぁ!!」

漆原「おぐぅ!!」

理不尽な拳が漆原の顔面に直撃した。


21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:39:21.19 ID:SKqE2bcJo

鈴乃「……む、しまった、対戦相手がいなくなった。エミリア、ちょうどいいし遊んでいかないか」

恵美「……もう何でもいいわ」

言葉どおり色々なものがどうでもよくなり、彼女の隣に座る。
このゲーセンに置いてあるみたいなコントローラー、どうやって使うのかしら。

鈴乃「ちなみにエミリア、二期というのはだな、アニメというものはBDが沢山売れると続きが作られることがあるんだ」

恵美「へぇー」

鈴乃「BDが沢山売れると続きが作られることがあるんだ」

恵美「……へぇー」

鈴乃「沢山売れるといいな」

恵美「ああああ、知らないわよ! 何が言いたいのよ!?」

鈴乃「言わせるな、恥ずかしい」

にっこりと笑いかけてくる彼女は、幸せそうではあった。


おしまい


22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:40:54.03 ID:SKqE2bcJo

魔王パーティで芦屋と並び苦労人ポジションの鈴乃に何か気楽な趣味を、と
思ったのですが、何だか想定と違うよく分からない話になりました。
よく分からないなりに読んで頂けたなら幸いです。


23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/07/11(木) 00:48:09.59 ID:SGmGokGDO

パンツはめくらないのか…
面白かった乙。




『はたらく魔王さま!』 下敷
『はたらく魔王さま!』 下敷

掲載元:恵美「あなた何で日本語覚えたの」鈴乃「アニメとか」
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