1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 15:24:48.439 ID:tpiGCKEsr0303
ラフィエル「私でよろしければ、ご相談に乗りますけれど……」
サターニャ「……本当?」
ラフィエル「ええ、本当です」
サターニャ「……誰にも言わない?」
ラフィエル「言いませんよ」
サターニャ「……約束よ」
ラフィエル「ええ♪」
サターニャ「……実はね、私……ガヴリールのことが好きなの」
ラフィエル「…………え……?」
サターニャ「ずーっとガヴリールのこと追っかけてて……気づいたんだよね、私……」
ラフィエル「……サターニャさんが、ガヴちゃんを……?」
サターニャ「あはは、変でしょ?女同士なんて」
ラフィエル「…………」
サターニャ「いいわよ笑って」
ラフィエル「……そんなことは……ありません……!」
サターニャ「へ?」
ラフィエル「……サターニャさんが、ガヴちゃんを好きだと思う気持ち……そこには偽りはありません、そうでしょう?」
サターニャ「え……う、うん……」
ラフィエル「でしたら、私にはそれを笑うなんてことは出来ません……たとえそれが女の子同士でも、関係ありませんから」
サターニャ「ら、ラフィ……!///」
ラフィエル「……頑張ってください、応援していますから!」
サターニャ「う、うん!……あ、あの、その……ぅ、ありがと……///」
ラフィエル「はい♥」
ラフィエル「……うっ、ぐすっ……ひっ、く……うえぇぇぇ……/////」ポロポロ
14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 15:59:27.439 ID:wIsMZ3T6d0303
ラフィエル(ガヴちゃんは全て持っていく……)
ラフィエル(ヴィーネさんはもちろんのこと)
ラフィエル(サターニャさんさえも……)
ラフィエル(私ではダメですか?)
ラフィエル(ダメ……なんですよね)
ラフィエル(……断られてしまえば良いのに)
ラフィエル「!」フルフル
ラフィエル(なにを、考えているんですか……私は)
20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 19:33:21.270 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル(……どうしたら、良いのでしょうか)
ラフィエル(思えば、ずっとサターニャさんが居た気がします)
ラフィエル(居なかった時間が思い出せないくらいに)
ラフィエル(決して長くはない時間なのに)
ワンッ
ラフィエル「?」
ラフィエル「あぁ……今日は。いえ、これからは……」
ラフィエル「これからはもう、必要は無いですよ」
ラフィエル(サターニャさんにけしかけていた子犬の頭を軽く撫でてあげると)
ラフィエル(子犬は嬉しそうに声を漏らす)
ラフィエル(それはとても明るい声)
ラフィエル(愛嬌のある姿)
ラフィエル(なのにどうしてこうも……)
21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 19:36:25.697 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル「……グスッ」
ラフィエル「ダメ、ですね……ダメです……」ポロポロ
ラフィエル(思い出してしまう。楽しかった日々)
ラフィエル(これからも続けていけるはずの日々なのに)
ラフィエル(私にはもう、それは偽りの日々にしか思えない)
ヴィーネ「あれ? ラフィエル?」
ラフィエル「!」
ラフィエル(後ろからヴィーネさんの声が聞こえて、慌てて涙を拭いつつ、振り返る)
ラフィエル「あらあら、偶然ですね~」
ラフィエル(笑えて、いるでしょうか?)
ヴィーネ「ラフィって帰り道こっちだったっけ?」
ラフィエル「えっと……」
ラフィエル(違う。こっちはサターニャさんの……)
24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 19:41:37.649 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル「この子を見かけたので、追いかけただけですよ」
ヴィーネ「この子って……あぁ、サターニャの天敵、いや、宿敵?」
ラフィエル(ヴィーネさんは子犬を見ながら)
ラフィエル(困ったように呟くと)
ラフィエル(サターニャがそう言ってたのよ。と)
ラフィエル(なぜだか照れくさそうに言う)
ラフィエル「宿敵ですか~サターニャさんらしいですね~」
ラフィエル(…………)
ラフィエル「ところで、ヴィーネさんはガヴちゃんの所には行かないんですか?」
ヴィーネ「あーなんか今日は私が予約してるのよ! って、サターニャが連れてっちゃったのよ」
ヴィーネ「サターニャはともかく、ガヴなら大丈夫だとは思うけど……」
ヴィーネ「何する気なんだか」
25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 19:44:12.042 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル(心配そうにしながらも)
ラフィエル(仲が良いことをよろこんでいるのか、嬉しそうな笑顔)
ラフィエル(悪魔はヴィーネさんで)
ラフィエル(私は天使……なのに)
ラフィエル「行ってみたら、面白いものが見れそうですね~」
ヴィーネ「そう? なんかろくな事にならなそうな気が……」
ラフィエル「心配なら、見に行ってみた方が良いかもしれないですよ」
ラフィエル(ヴィーネさんを、けしかけようとしてる)
ラフィエル(二人の邪魔をしようとしている)
ヴィーネ「う~ん……」
ラフィエル「サターニャさんが自爆した後の手助けは、ヴィーネさんのお役目では?」
ヴィーネ「なんで!?」
ヴィーネ「って……まぁ、うん」
26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 19:45:49.421 ID:xy3wm5nId0303
ヴィーネ「心配だし行ってみる」
ヴィーネ「ラフィエルは――」
ラフィエル「私は、行きたい気持ちは山々なんですが」
ラフィエル(あたかも用事があるように誤魔化して)
ラフィエル(ヴィーネさんを見送る)
ラフィエル「……ごめんなさい」
ラフィエル(自分の体を抱きしめて)
ラフィエル(誰かへの謝罪を口にする)
ラフィエル(いつのまにか子犬も居ない一人ぼっちの路地)
ラフィエル(押し寄せてくる寂しさが、まるでこれからの私のようにも思えてきますね……)
ラフィエル「…………」
ラフィエル「……帰り、ましょうか」
31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:02:23.412 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル(……いつもなら、サターニャさんのところにいる時間)
ラフィエル(自分の家にいるだけなのに)
ラフィエル「寂しい……」
ラフィエル(いつもならまた明日と切り替えることのできる気持ちが)
ラフィエル(今回ばかりはどうしようもない)
ラフィエル(いえ……これからは)
ラフィエル「……ですね」ポロッ
ラフィエル「!」
ラフィエル「……受け止めてもらえない気持ちの雫」
ラフィエル「なんて、惨めなんでしょうか」
33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:12:32.953 ID:xy3wm5nId0303
ヴィー…ヴィー…
ラフィエル(……?)
ラフィエル(……メール?)
ラフィエル(気づけば灯りを必要とする暗い部屋の中)
ラフィエル(唯一の灯りとも言える携帯を手に取ると)
ラフィエル(サターニャさんからのメールが届いていて)
ラフィエル(見るべきか否かを考える)
ラフィエル「手紙なら、気づかず捨てるということもできるのに」
ラフィエル「文明の発展は万物にとって価値があるとは」
ラフィエル「やっぱり、言えませんね」
34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:19:32.859 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル(サターニャさんからのメールはとても簡潔でした)
ラフィエル(喜びを感じる感謝の言葉)
ラフィエル(ラフィエルに相談して良かったという言葉)
ラフィエル(喜ぶべき友人の想いの成就)
ラフィエル(天使として、友人として)
ラフィエル(祝福すべきこと)
ラフィエル「…………」
ダンッ
ラフィエル(頭では分かっていても、心が拒絶する)
35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:25:43.495 ID:xy3wm5nId0303
ラフィエル「このままでは、堕天してしまいますね」
ラフィエル「……堕天」
ラフィエル(…………)
ラフィエル(堕天すれば、そう)
ラフィエル(悪事を行っても叱られない)
ラフィエル「……なんて」
ラフィエル(……………)
ラフィエル(…………………)
ラフィエル「ふふふ……」
37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:33:08.126 ID:xy3wm5nId0303
サターニャ「くーくー……」
サターニャ「むふふ……」zzz…
キュルキュル…カポ…
ラフィエル「良く眠っていますね」
ラフィエル「サターニャさん」
ラフィエル「私の……サターニャさん」
……………………
……………
……
39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:39:48.835 ID:xy3wm5nId0303
…………
………………
ガヴリール「ったく……どこ行ったんだよ。サターニャのやつ」
ヴィーネ「魔界に帰ってない、連絡もない」
ヴィーネ「魔界通販で変なの買って自爆も考えたけど」
ヴィーネ「最近買った履歴も無い」
ガヴリール「……そっか」
ガヴリール「ラフィエルは何か……」
ラフィエル「さぁ~? どうされたのか」
ラフィエル「まったく分からないですねぇ」ニコニコ
41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:48:14.902 ID:xy3wm5nId0303
ヴィーネ「何でそんな笑っていられるの!?」バンッ
ヴィーネ「サターニャがもう3日も行方不明なのに!」
ラフィエル「そんな事言われましても~」
ヴィーネ「ラフィ!」ガタッ
ガヴリール「止めろヴィーネ!」
ガヴリール「止めてくれ……第一、私達は喧嘩してる場合じゃないだろ」
ヴィーネ「そう……だけど」
ラフィエル「私はサターニャさんを信じてます」
ラフィエル「何かに没頭してしまっているだけで」
ラフィエル「どこかで元気に過ごされていると」
ラフィエル「また、太陽のような笑顔を」
ラフィエル「見せてくれる……と」
43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 20:55:43.171 ID:xy3wm5nId0303
ガヴリール「……そう、だよな」
ガヴリール「サターニャは馬鹿だから」
ガヴリール「どっかで迷子になってるだけ……」ギュッ
ガヴリール「だよな……」
ヴィーネ「ガヴ……」フルフル
ヴィーネ「ごめん、ラフィエル」
ヴィーネ「私……」
ラフィエル「いえ、お気になさらず」
ラフィエル「私がズレているのは分かっていることですから」
ラフィエル「でも、笑顔でいないと」
ラフィエル「…………」
ヴィーネ「……そうね」
ヴィーネ「そろそろ午後の授業が始まるから」
ヴィーネ「解散しましょ……ガヴ、保健室行く?」
ガヴリール「いや、授業に出る」
ガヴリール「学生の本分は勉強だろって」
ガヴリール「悔しがらせる為にな」ニコッ
44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 21:04:02.527 ID:xy3wm5nId0303
ヴィーネ「そう……無理はしないでね?」
ガヴリール「分かってるって」
ガヴリール(何が分かってるって?)
ガヴリール(ゲームを止めて、自堕落な生活を止めて)
ガヴリール(なお、体調が優れない)
ガヴリール(くそっ……くそっ!)
ガヴリール(こんなことになるなら)
ガヴリール(こんなことするなら……あんな事言うなよ!)
ガヴリール(どうだ見たか、これが私の悪魔的所業! そう言って出てきてくれよ……)
ガヴリール(サターニャ……)ポロポロ…
ヴィーネ「…………」
50: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 21:35:49.162 ID:xy3wm5nId0303
…放課後
ラフィエル「ガヴちゃん、今日も話し合いしますか?」
ガヴリール「しないわけいかないだろ」
ガヴリール「……ここからなら、ヴィーネの家が良いか?」
ヴィーネ「えっ……」
ヴィーネ「あぁ、そうね近いし」
ラフィエル「……いえ、ガヴちゃんの家にいきましょう」
ガヴリール「何で?」
ラフィエル「ガヴちゃんが疲れているのが、隠しきれていないからです」
52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 21:45:38.496 ID:xy3wm5nId0303
ガヴリール「……そうか」
ラフィエル「はい」
ヴィーネ「そう、ね……もしあれなら家に泊めても良いんだけど」
ラフィエル「サターニャさんが真っ先に戻るとしたら」
ラフィエル「きっと、ガヴちゃんの家」
ラフィエル「なので、ガヴちゃんは極力家にいるべきかと」
ガヴリール「じゃぁ引きこもりになるかな~」
ヴィーネ「もぅっ、何言ってるのよガブってば~」フフッ
ガヴリール「冗談だって」
ラフィエル「……………」
53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 21:51:46.502 ID:xy3wm5nId0303
ガヴリール(ラフィエルにはお見通しか)
ガヴリール(どうせなら)
ガヴリール(サターニャの居場所も、見通してくれたら……)
ガヴリール(……なんて)
ガヴリール「なら、悪いけど早く帰ろう」
ガヴリール「もしかしたら帰ってきてるかもしれないしな!」ダッ
ヴィーネ「あっ、待ってガヴ!」ダッ
ラフィエル「……空元気」
ラフィエル「どこまで続けられるのでしょう」
ラフィエル「サターニャさんなら、分かりますか?」
ラフィエル「……………」
ラフィエル「待ってくださ~い」タッタッタッ…
54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:02:40.472 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(分かってはいたけど)
ガヴリール(サターニャは来てなかった)
ガヴリール(ポストもみたけど)
ガヴリール(連絡さえ……)ギュッ
ガヴリール(希望は、捨てたら駄目だ)フルフル
ガヴリール「それで、どうする?」
ヴィーネ「私は引き続き、魔界とサターニャの行きそうなところを巡ってみるわ」
ラフィエル「私は……」
ラフィエル「……………」
ラフィエル「そうですね、メロンパンでも買って罠でも仕掛けようかと」
55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:04:16.715 ID:xy3wm5nId
ヴィーネ「ちょっとラフィエル……」
ヴィーネ「いくらなんでも、適当――」
ガヴリール「いや、待ってくれ」
ヴィーネ「! ……ガヴ?」
ガヴリール「何でもかんでも試さなきゃ意味がないとは言い切れない」
ヴィーネ「それは……」
ガヴリール「それに、ラフィエル」
ラフィエル「はい」
ガヴリール「メロンパンと言えば、あの子犬がいただろ?」
ガヴリール「その犬なら、匂いでサターニャを探れるんじゃないか?」
56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:14:20.899 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(なんで忘れていたのか)
ガヴリール(サターニャの宿敵、ある意味でストーカー)
ガヴリール(犬は鼻が利く。だから、もしかしたら)
ガヴリール(そんな希望を)
ラフィエル「それは確かにそうですね」
ガヴリール(ラフィエルは)
ラフィエル「ですが、あの子は殺されました」ニコッ
ヴィーネ「!」
ガヴリール「な、なん……」
ガヴリール(笑顔で、ぶち壊しにした)
58: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:17:26.062 ID:xy3wm5nId
ヴィーネ「こ、殺されたって……」
ラフィエル「……正しく言えば、車に轢かれました」
ラフィエル「目撃した方によれば路地から出たところを、丁度走って来ていた車に……」フイッ
ガヴリール「嘘……だろ?」
ガヴリール「なんだよそれ、なんなんだよ!」バンッ
ガヴリール「あまりにも都合が――」
ヴィーネ「落ち着いてガヴ!」ギュッ
ヴィーネ「落ち着いて、ガヴ……私達が探すから」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴリール「くそっ……!」ガンッ
ラフィエル「……………」
59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:19:30.480 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(物や人)
ガヴリール(何かに当たっても仕方がない)
ガヴリール(でも、やり場のない怒りが抑えきれなくて)
ガヴリール(机を叩き、蹴り、表情の崩れないラフィエルにまで、怒りが募る)
ガヴリール「………」フルフル
ガヴリール「ごめん」
ラフィエル「いえ、今のは私も軽率でした……ごめんなさい」
ヴィーネ「とにかく、子犬が事故に遭って使えない以上、私達が頑張るしかない」
ヴィーネ「とりあえず、ガヴはいつも通り自宅待機ね」
ガヴリール「悪いな」
ラフィエル「気にしないでください。ガヴちゃん」
ラフィエル「サターニャさんは、大切な友人ですから」ニコッ
61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:35:15.034 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(二人が居なくなった部屋で、一人ベッドに倒れ込む)
ガヴリール(疲れてるのは分かる)
ガヴリール(でも、まったく眠れない)
ガヴリール(サターニャが心配で、不安で、怖くて)
ガヴリール(目を閉じたら頭の中のサターニャまで失いそうで)
ガヴリール(……二人にばかり任せてられないよな)
ガヴリール「現状についてまとめてみよう」
ガヴリール「まず、サターニャとここで付き合う話をしたのが5日前」
ガヴリール「そして次の日、サターニャは朝から疲れ気味だった」
ガヴリール「その日のおかしさはそれくらいで、午後には普通に元気になってた」
62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:36:26.922 ID:xy3wm5nId
ガヴリール「その次の日、サターニャは普通だったけど」
ガヴリール「その日の夕方、軽く家で遊んでる時に」
ガヴリール「明日はどうするか、明後日はどうするか。土日だったから話してて……」
ガヴリール「サターニャは思い出したように土曜日は用事がある。あっと驚かせてやるわ。って威勢よく言って」
ガヴリール「それ以降、連絡がつかなくなった」
ガヴリール「土曜日、日曜日、月曜日、火曜日、そして今日。土曜日を抜けば3日、いれて4日、今日も含めれば4、5日行方不明」
ガヴリール「最初は何かの冗談、携帯の紛失を考えてたけど……」
ガヴリール「くそっ」ギュッ
ガヴリール(笑顔を思い出すだけで、泣きそうだ……)
64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:49:04.833 ID:xy3wm5nId
ガヴリール「……ラフィ」
ガヴリール(ふと、その名前が頭に浮かび)
ガヴリール(気味悪くさえ思える笑顔が、見えた)
ガヴリール(ラフィエルが言いたいことも分からなくはない)
ガヴリール(だけど、あまりにもおかしい)
ガヴリール(サターニャのことは、ラフィエルだって悪く思ってなかった)
ガヴリール(いや、むしろ……)
ガヴリール(なのに)
ガヴリール(ラフィエルはなんで、笑っていられるんだ)
66: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:51:06.307 ID:xy3wm5nId
ガヴリール「子犬の事だってそうだ」
ガヴリール「メロンパンっていうヒントを出したのはラフィエルだ」
ガヴリール「そして、子犬が死んだことを教えてきたのもラフィエル」
ガヴリール(……わざと?)
ガヴリール(わざと、子犬のことを思い出させて)
ガヴリール(その直後に心を折ろうとした?)
ガヴリール「ふ、ふざけるな!」ガンッ
ガヴリール(なんでラフィエルを疑うんだ)
ガヴリール(友達なのに、天使なのに)
ガヴリール(なんで、私は)
68: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 22:53:55.136 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(穢れそうだ……壊れそうだ)
ガヴリール(堕天なんてレベルじゃない)
ガヴリール(天使を、友達を)
ガヴリール(疑い出すなんて……もう、私は)ギュッ
ガヴリール「助けてくれ……助けてくれっ」
ガヴリール「サターニャ……」
ガヴリール(インターホンを連打しても怒らないから)
ガヴリール(無下に扱ったりはしないから)
ガヴリール「だから……」ツゥー……
ガヴリール「だから……」
ガヴリール「サターニャ……」ギュッ
73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:11:56.914 ID:xy3wm5nId
ガチャ……
ヴィーネ「ガヴリール」
ガヴリール「ヴィーネ……」
ヴィーネ「ラフィエルは?」
ガヴリール「まだ、戻って来てないぞ」
ヴィーネ「そう……ねぇ、ガヴ」ギュッ
ガヴリール「!」
ガヴリール(ヴィーネはいつも以上に暗い表情で)
ガヴリール(私のことを抱きしめる)
ガヴリール(無理な明るさではなく)
ガヴリール(私の暗い気持ちが同じく、無理なく溶け込むような感じで)
74: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:13:03.640 ID:xy3wm5nId
ヴィーネ「無理は、しないで」
ガヴリール「……………」
ヴィーネ「ガヴがどんどん疲弊していく、やつれていく」
ヴィーネ「見た目では大差なくても……解るの」
ガヴリール「……ヴィーネ、私は」
ヴィーネ「そんなガヴを見続けるくらいなら」
ガヴリール「ヴィーっ!」
ドサッ
ガヴリール(ヴィーネの強引さに押し倒された私は)
ガヴリール(目の前のヴィーネが悲しそうな顔をしているのが見えて)
ガヴリール(それが段々と近づいてきているのを、感じた)
76: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:15:29.236 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(だから、抗った)
ガヴリール(私はサターニャがいるんだと)
ガヴリール(けれど……)
ガヴリール「止めろ、ヴィーネ」
ガヴリール「ヴィーネ、私は――っ!」
ガヴリール(悪魔だから。というべきか)
ガヴリール(それとも、私の体は疲れていたからか)
ガヴリール(私の抵抗は完全に抑え込まれて)
ガヴリール(そして)
ヴィーネ「……っは」
ヴィーネ「ガヴ……好きなの」
ガヴリール(私とヴィーネの唇が、何度も重なった)
84: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:40:27.464 ID:xy3wm5nId
ガヴリール「ヴィーネ……離れてくれ」
ヴィーネ「……嫌」
ガヴリール「ヴィネット!」
ヴィーネ「!」ビクッ
ヴィーネ「…………」スッ
ガヴリール「…………」
ガヴリール(空気は重苦しかった)
ガヴリール(ヴィーネが私をここまで思ってくれていることに気づかなかったのもある)
ガヴリール(だけど、一番はヴィーネの表情があまりにも暗くふさぎ込んでいるように見えたからだ)
ガヴリール(いや、見えてるんじゃない)
ガヴリール(実際に、そうなんだ)
85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:42:09.334 ID:xy3wm5nId
ガヴリール「ごめん、ヴィーネ」
ヴィーネ「………」フルフル
ガヴリール「ヴィーネは、私の事……」
ガヴリール「でも、私には――」
ヴィーネ「二番目で良い!」
ガヴリール「!」
ヴィーネ「二番目で良い、慰める為でもいい、代替でもいい」
ヴィーネ「だから、ガヴ……」
ガヴリール「……………」
86: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:43:31.306 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(ヴィーネの今にも泣き出しそうな顔は)
ガヴリール(見ていてとても痛々しいものだったし)
ガヴリール(気づいてあげられなかった罪悪感が、物凄く湧き出してきた)
ガヴリール(ヴィーネの懇願、欲求)
ガヴリール(不意を突いて私の心に触れたヴィーネのそれは)
ガヴリール(確かに、私の寂しさを埋めて……)
ヴィーネ「お願い、ガヴ」
ガヴリール「私には、サターニャがいるんだ」
ガヴリール「サターニャが……」
89: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:46:02.288 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(本当に?)
ガヴリール(本当に、サターニャはいるのか?)
ヴィーネ「それでもいいから」
ヴィーネ「代わりで、良いから」ギュッ
ガヴリール(サターニャは……私を置いて行った)
ガヴリール(…………)
ガヴリール(サターニャの行方不明)
ガヴリール(それを裏切りと考えてしまったせいか)
ガヴリール(無理矢理されたにもかかわらず)
ガヴリール(私はヴィーネの抱擁を拒否することは出来なかった)
ガヴリール「し、仕方ないんだ」
ガヴリール(ヴィーネまでいなくなってしまいそうだから)
ガヴリール(だから仕方がなく、受け入れる)
ガヴリール(サターニャが見つかるまでの代わり。見つかれば切り替える)
ガヴリール(自分の心にそんな言い訳をして……)
91: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:46:58.616 ID:xy3wm5nId
ガチャッ
ガヴリール「!」バッ
ヴィーネ「!」
ラフィエル「ヴィーネさん、戻って来てたんですね」
ラフィエル「どう、でした?」
ヴィーネ「魔界にはやっぱりいない」フルフル
ヴィーネ「一応、サターニャがいきそうなお店も回ったけど、これも駄目だった」
ラフィエル「そうですか……私も、駄目でした。釣れたのはホームレスくらいで」
ガヴリール(ヴィーネは驚くほどに早く切り替わって)
ガヴリール(ラフィエルと普通に話す)
93: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/03(金) 23:49:04.352 ID:xy3wm5nId
ガヴリール(私は何をしようとしていたんだろうか)
ガヴリール(ドキドキと高鳴る心臓が)
ガヴリール(ラフィエルの見せる笑顔に強く反応する)
ガヴリール(……見られなかったよな? と)
ヴィーネ「ホームレスって……」
ラフィエル「困っちゃいましたよ~、一応、天使として仕事はしてきましたけど」
ヴィーネ「そう……とりあえず、今日も駄目だったのね」
ラフィエル「そうですね……」
ガヴリール(日が経つにつれて、諦めが募る)
ガヴリール(居なくなったサターニャへの不信感、怒りがにじみ出す)
ガヴリール(それは、ヴィーネの気持ちを聞いてしまったからか)
ガヴリール(余計に早く、大きく……そして、求めてくれる。尽くしてくれるヴィーネへの心が芽生えだしている)
ガヴリール(そんな危機感を覚えた)
95: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:04:45.922 ID:UpgI/2ojd
ガヴリール「そ、そうだ。ラフィエル!」
ラフィエル「何ですか~?」
ガヴリール「あ、えっと……」
ガヴリール(ラフィエルの私に対する視線を感じたくて、知りたくて)
ガヴリール(何も考えずに声をかけたけど)
ガヴリール(ラフィエルの表情は何も変わらなかった)
ガヴリール(元々、笑ってばっかりで掴めなかったのもあるけど)
ガヴリール(どこか、演技臭さを感じて)
ガヴリール「そのホームレス」
ガヴリール「ちゃんと住める場所はあげたのか?」
96: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:05:43.188 ID:UpgI/2ojd
ラフィエル「え、えっと~?」
ガヴリール「あ、いや……その」
ガヴリール(いくら天使とはいえ)
ガヴリール(一から百までの面倒を見るべきではない)
ガヴリール(慌てたせいで頓珍漢なことを言い出したから)
ガヴリール(ラフィエルは困ったように眉を顰めて)
ラフィエル「しばらくお風呂に入っていない、食事もできなかったそうなので。そのあたりは、とりあえず」
ガヴリール「そ、そっか……ポイント高いな」
ラフィエル「天使、ですから」
97: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:07:48.573 ID:UpgI/2ojd
ヴィーネ「とりあえず、今日も解散?」
ラフィエル「そうですね~」
ガヴリール「二人とも、ありがとな」
ガヴリール(お礼を言うと)
ガヴリール(二人は決まって気にしないでと言って、笑みを浮かべる)
ガヴリール(そして、そのまままっすぐ帰るのが普通なのに)
ヴィーネ「……夜。ね」ボソッ
ガヴリール「!」
ガヴリール(ヴィーネはラフィエルに気づかれないように)
ガヴリール(ほんの一瞬、耳元で囁く)
ガヴリール(そしてなにもなかったかのように)
ガヴリール(ラフィエルと一緒に帰っていった)
…………………
…………
……
ガヴリール「なんで、私は……」
ガヴリール(サターニャを気持ちよく迎え入れるために掃除した部屋)
ガヴリール(その一室、鏡の中に映る私は、顔を赤くしていた)
ガヴリール(そして、夜が近づくのを……待ち遠しく思ってしまっていた)
102: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:25:28.468 ID:UpgI/2ojd
ラフィエル「………………」
ヴィーネ「……………」
ラフィエル「…………」
ヴィーネ「…………」
ヴィーネ(邪魔をされた)
ヴィーネ(ラフィエルがわざとやったとは思えないけど……)
ラフィエル「ヴィーネさん」
ヴィーネ「!」
ヴィーネ「なに?」
106: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:27:59.088 ID:UpgI/2ojd
ヴィーネ(務めて、冷静な声を出す)
ヴィーネ(何かと掴みにくいラフィエルは)
ヴィーネ(普段と違って何か、企んでいるような……)
ヴィーネ(少なくとも、笑顔ではない複雑な表情を浮かべていた)
ラフィエル「……5日前、サターニャさんの告白、見たんですか?」
ヴィーネ「………ええ」
ヴィーネ「それが?」
ヴィーネ(見たくなかったもの)
ヴィーネ(ラフィエルに唆されて見に行った結果、見てしまったもの)
110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:37:35.173 ID:UpgI/2ojd
ヴィーネ(自己責任でもあるけれど)
ヴィーネ(僅かながらラフィエルにも責任があると思っているせいか)
ヴィーネ(私の視線は思いのほかきつく)
ラフィエル「いえ、とくには」
ヴィーネ(けれど、ラフィエルは気づいていないのか)
ヴィーネ(そんな風に切り返して、困ったような笑みを浮かべると)
ヴィーネ(いつもの分かれ道で、それぞれ別の道に行く)
111: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:45:26.829 ID:UpgI/2ojd
ヴィーネ「?」
ヴィーネ(……ふと、視線を感じて振り返る)
ヴィーネ(けれど、ラフィエルは見向きもせずにまっすぐで)
ヴィーネ「気のせい?」
ヴィーネ「………………」
ヴィーネ「まさか」
ヴィーネ「…………」
ヴィーネ(足早に、家へと向かう)
ヴィーネ(ガヴの方ではなく、自分の家に)
113: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:45:59.032 ID:UpgI/2ojd
ヴィーネ(そして家の鍵を素早く開けて中に入ると)
ヴィーネ(部屋の一つの扉がわざと、開け放たれていて)
ヴィーネ「……やられた」
ヴィーネ(嫌なにおいが、家中に充満していた)
ヴィーネ「……あと、もう少しなのに」
ヴィーネ(憤怒を込めて、唸り)
ドンッ!
ヴィーネ(扉を蹴り閉める)
ヴィーネ(私の家には、臭気を放つ部屋がある)
ヴィーネ(数日前はそうでもなかったけれど)
ヴィーネ(一日二日経てば、酷い臭いになるもので……)
ヴィーネ(その部屋にいた、臭いの根源)
ヴィーネ「ラフィエル……ッ!」
ヴィーネ(サターニャの姿が、そこにはなかった)
115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:47:05.820 ID:UpgI/2ojd
………………
…………
……
ラフィエル「……食べられますか?」
サターニャ「…………」
サターニャ「……ラフィ、エル」
ラフィエル「…………」ギュッ
ラフィエル(サターニャさんは酷く傷ついていた)
ラフィエル(体はもちろん、心までもが)
ラフィエル(あの日、私がヴィーネさんを唆してしまったから)
ラフィエル(私が腐っても天使だったせいで)
ラフィエル(ヴィーネさんが腐っても悪魔だったせいで)
ラフィエル(私は中途半端だった。ヴィーネさんは完璧だった)
116: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:47:46.245 ID:UpgI/2ojd
ラフィエル(私が夜、サターニャさんを眠姦したせいで)
ラフィエル(サターニャさんは隠しきれない疲労感で登校してきた)
ラフィエル(それを見たヴィーネさんは)
ラフィエル(二人がもうすでにそんなことをしたんだと勘違いしたのかもしれない)
ラフィエル(今まで尽くしてきたのは自分なのに。なぜ。そんな怒りが、ヴィーネさんを壊した)
ラフィエル(いや、本当の意味で悪魔に変貌させ)
サターニャ「……ラフィエル、私」
ラフィエル「私がいます……私が」
サターニャ「……ラフィエル」ギュッ
ラフィエル(その結果、ヴィーネさんはサターニャさんを誘い出して、監禁した)
118: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:49:33.948 ID:UpgI/2ojd
ラフィエル「……ガヴちゃん」
サターニャ「!」ビクッ
サターニャ「ごめんなさい、ごめんなさい!」
サターニャ「ごめんなさい! ガヴリールには近づかない、ガブリールには近づかない……」ブツブツブツ…
ラフィエル(ガヴちゃんの名前を出すだけで、こう)
ラフィエル「……大丈夫ですよ」ギュッ
ラフィエル「私が、いますから」
ラフィエル(ヴィーネさんは本気でガヴちゃんを自分に傾けようとしてる)
ラフィエル(二人のさっきの反応を見れば、一目瞭然……それが、もう間近だと言うことも)
ラフィエル(私のホームレスという発言が)
ラフィエル(サターニャさんを保護したことだと)
ラフィエル(もう気づいているでしょう)
ラフィエル「ですが安心して下さい……ふふっ、口出しはしません。どうぞ、ご自由に」
120: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:51:58.404 ID:UpgI/2ojd
ラフィエル(私は労せずサターニャさんを手に入れられた)
ラフィエル(だからこそ、目を瞑る)
ラフィエル(ヴィーネさんがこれからガヴちゃんに何をしようとしていても)
サターニャ「ラフィエル……?」
ラフィエル「……はい?」
サターニャ「頭の、それ……黒く……」
ラフィエル(サターニャさんの指差す天使の輪……だったもの)
ラフィエル(あえてそれを消さず見せつけながら)
ラフィエル「……ええ。私は堕天使。ですから」
ラフィエル(驚くサターニャさんに、私は満面の笑みを浮かべて……唇を重ねた)
123: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:53:20.502 ID:UpgI/2ojd
完!
124: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/03/04(土) 00:53:24.525 ID:npW2jTvrp
よき
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