1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:43:30 ID:oUtqxdz2
・ベルユミ
・最新話までのネタバレあるよ
・だらだら話しているだけ
ユミル「さてベルトルさん」
ベルトルト「何だいユミル」
ユミル「ここはどこだろうな?」
ベルトルト「河原だね」
ユミル「記憶が確かなら、私は担架に乗っかったまま超大型巨人に噛まれて死んだんだが」
ベルトルト「ああ、あれはミカサが思いっきりうなじを削いできたからびっくりしてつい」
ユミル「……ミカサは凄いな」
ベルトルト「ゼノフォンも喜んでるだろうね」
ユミル「エンジェルもな」
ベルトルト「アンヘルだよ、ユミル」
ユミル「わかってるさ」
ベルトルト「彼らがいなければ僕は生きていたかもしれないのに」
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:44:18 ID:oUtqxdz2
ユミル「ベルトルさんたちは人類を衰退させたいのか」
ベルトルト「正確には全滅させたいんだよ。のっぴきならない事情でね」
ベルトルト「ところでユミル、僕たちはどうすればいいんだろう」
ユミル「私を殺した奴がそれを言うのか」
ベルトルト「いやだって、ここにはユミルしかいないし」
ユミル「そんなあっけらかんとされても困る」
ベルトルト「過ぎたことは仕方ないよ」
ユミル「どうしてベルトルさんが普通でいられたのかわかった気がする」
ベルトルト「いやあそんな」
ユミル「褒めてない」
ベルトルト「君だって普通に生活していたじゃないか」
ユミル「まあな。人生楽しく生きなきゃ」
ベルトルト「もう死んだけどね」
ユミル「だからそれをベルトルさんが言うなって」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:44:59 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「過ぎたことだよ」
ユミル「さっきの訂正、ベルトルさんどっかおかしいわ」
ベルトルト「照れるなあ」
ユミル「貶しているんだ」
ベルトルト「仲良くいこうよユミル」
ユミル「私はベルトルさんに殺されたし、過去に私はベルトルさんの友達を食ってるんだぞ?
」
ベルトルト「この場で嘆いたって何も変わらないよ」
ユミル「それもそうだけど」
ベルトルト「楽しくいきたいんだ」
ユミル「そういうものなのか」
ベルトルト「そういうものだったんだ」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:45:38 ID:oUtqxdz2
ユミル「話を元に戻すぞ。ここはどこだ?」
ベルトルト「河原だね」
ユミル「流れは緩やかなくせして深そうな川が流れているな」
ベルトルト「渡るのはきつそうだ」
ユミル「ベルトルさんが巨人になれば一瞬で解決だな」
ベルトルト「巨人になれないけどね」
ユミル「体力的に?」
ベルトルト「精神的に。だいぶ疲れたんだよ」
ユミル「そうは見えないな、いつものベルトルさんだ」
ベルトルト「わけのわからない現実に押しつぶされそうになって、君が起きるちょっと前まで
号泣していたんだ」
ユミル「ああ、だから私の服は濡れていたのか。唾液かと思った」
ベルトルト「僕の唾液腺はそんな器用な真似は出来ない」
ユミル「ならいいんだ。唾液ならどうやって洗おうか考えてた」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:46:19 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「川の水で洗えばいいじゃないか」
ユミル「どうやってこの足と手で洗えっていうんだ」
ベルトルト「僕がやろうか。その間君は上半身真っ裸で石の上に横たわることになるけど」
ユミル「そう言われて誰が頼むと思う」
ベルトルト「ここには君と僕しかいないよ」
ユミル「誰かいたら助けを求めてるさ。死んでるけど」
ベルトルト「死んでいるんだ。だからちょっとぐらい真っ裸になっても問題ないと思う」
ユミル「羞恥心と一緒に墓に入ることも許されないというのか」
ベルトルト「あ、君の死体ってどうなってるんだろうね」
ユミル「女神様が回収してくれているって信じてるぞ」
ベルトルト「僕の蒸気で蒸し焼きになってなきゃいいね」
ユミル「うぇ、想像してしまった」
ベルトルト「ごめん。青ざめさせるつもりはなかったんだ」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:48:52 ID:oUtqxdz2
ユミル「私は蒸した後に焼かれるんだな?」
ベルトルト「あ、その話続けちゃう?」
ユミル「油……落ちるだろうな」
ベルトルト「ヘルシーだね」
ユミル「ああ。低カロリー高タンパク」
ベルトルト「兵士がみんなミカサみたいに強かったら巨人は食品になったかもしれない」
ユミル「恐ろしい未来だな。そしてベルトルさんは筋張ってそうだ」
ベルトルト「なぜだろう、大根や卵と一緒に煮込まれる自分の肉が想像出来る」
ユミル「体を震わせないでくれ。私にまで揺れが伝わる」
ベルトルト「君は僕の体を椅子代わりにしているんだったね」
ユミル「起きたときからこうだった」
ベルトルト「ほら、傷になってる部分が痛いかなって」
ユミル「細やかな気遣いをしてくれて嬉しいよ」
ベルトルト「棒読みだ」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:49:54 ID:oUtqxdz2
ユミル「優しくされたって困るだろう」
ベルトルト「僕はいつでも優しくされたいタイプだよ」
ユミル「……何度目かわからないけど話を戻すぞ。ここはどこだ?」
ベルトルト「僕の記憶にはこんな場所はないな。ユミルは?」
ユミル「実を言うとベルトルさんの歳の4倍くらいの時間を外で過ごしたけど、私も知らない
」
ベルトルト「座学でやったよね、人間が強い痛みに襲われたとき脳は麻薬物質を出すって」
ユミル「その麻薬物質で幻覚を見てるとでも言いたいのか?」
ベルトルト「最初はそう思った、けどそれだと君がいる意味がわからない」
ユミル「私だっておよそ2m級の同期生の夢を見ながら死ぬ趣味はないからな」
ベルトルト「約じゃないんだ」
ユミル「約だと百に聞こえるかもしれないだろう?102mはデカすぎる」
ベルトルト「僕の2倍近く」
ユミル「コケた時点で人類壊滅間違いなし」
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:52:09 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「それだけ大きかったらミカサにうなじ削がれなかったかなあ」
ユミル「眼球あたりの攻撃に切り替えてきそうだ。ミカサだし」
ベルトルト「想像しちゃった」
ユミル「超大型巨人のレンズ体を突き刺さる超硬質ブレード。抉れる眼球」
ベルトルト「そうなったら僕はゼノフォンを一生恨むよ」
ユミル「ゼノフォンは悪くない」
ベルトルト「誰かに怒りをぶつけたいことってあるじゃん?」
ユミル「それを逆恨みって言うんだ」
ベルトルト「まあ結局出来なくて夜中に一人で膝を抱えることになるんだけどね」
ユミル「ベルトルさん、悲しいことや心配なことがあったら誰かに話していいんだぞ」
ベルトルト「だからユミルに話しているんだ」
ユミル「よしわかった。ひたすら悩め自分を助けられるのは自分だけだ」
ベルトルト「ユミルったら酷いや」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:53:07 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「川、渡ってみちゃう?」
ユミル「川を越えたってミカサが追ってこない保障はないけどいいのかベルトルさん」
ベルトルト「そういう気持ちで言ったんじゃないよ。ずっとここにいたって何も出来ない」
ユミル「話してるだけだしな」
ベルトルト「僕にいたっては君を膝の上に乗っけているだけだね」
ユミル「降ろしてもいい。足疲れただろうし」
ベルトルト「でもここにいるのは僕の責任だし」
ユミル「正しい。正しいんだけどそんな言葉が今のベルトルさんから出てきたことにびっくりだ」
ベルトルト「もちろん川を渡るときも僕が君を抱えていく」
ユミル「途中で手を離して私だけ海に、なんてやめてくれよ」
ベルトルト「川の流れの弱さと僕の腕力を信じてくれ」
ユミル「何でそんなに力強く言えるのかわからないよ」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:54:07 ID:oUtqxdz2
ユミル「……あ」
ベルトルト「どうしたんだいユミル」
ユミル「ちょっと思い出したことがあって」
ベルトルト「言ってみて」
ユミル「東のそのまた東では、死んだ後に川を渡らなくちゃいけないらしい」
ベルトルト「そんな苦行を死体に求めるんだね」
ユミル「物理的にじゃない。魂が川を渡って死の世界に行くんだ」
ベルトルト「じゃあこの川の向こうは死んだ人の世界?」
ユミル「東の話を信じるなら」
ベルトルト「僕が行ったらさあ、大勢の人に殺しやがってこのクソが!って言われない?」
ユミル「事実だろ受け止めろ」
ベルトルト「やだな、怖いな。ユミル、一緒にいてよ」
ユミル「ベルトルさんが急に回してきた腕を離さない限りは一緒だ。私が望もうと望まざろうと」
ベルトルト「良かった」
ユミル「良くない」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:55:04 ID:oUtqxdz2
ユミル「この川よりこっちは此岸、生きている世界。向こうは彼岸、死の世界。ここは真ん中」
ベルトルト「わざわざ死ぬために川を渡る人はいるんだろうか」
ユミル「さっきまでのベルトルさんが該当する」
ベルトルト「だってその話を知らなかったから」
ユミル「言わなかったからな」
ベルトルト「もう少しその話をしてよ。それから決めよう」
ユミル「このチキン」
ベルトルト「そうかな」
ユミル「いつも汗かいてる気がする」
ベルトルト「ライナー関係で僕は毎日きつい思いをしてきたんだ」
ユミル「あの巨体ゴリラに年がら年中汗をかかされてきたってことか」
ベルトルト「待って。その表現は違うと思う。誤解しか生まない」
ユミル「事実なのに?」
ベルトルト「事実ではあるけど、その言葉には事実以外の何かも内包されているんだ」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:56:58 ID:oUtqxdz2
ユミル「川の話だったな」
ベルトルト「根本的な部分の否定をさせないで話を進めるつもりだね」
ユミル「そうじゃないといつまで経っても終わらないからな」
ベルトルト「僕と君の人生が?」
ユミル「それはもう終わっている」
ベルトルト「ミカサめ……」
ユミル「ギリィって感じの顔をしているところすまないが、私の死因はベルトルさんだよ」
ベルトルト「君を噛んだ感触と軟骨入りつくね棒を噛んだ感じはとてもよく似ていた」
ユミル「どうしようの先私は軟骨入りつくね棒を食べられなくなった」
ベルトルト「死後の世界に居酒屋はあるのかな?」
ユミル「あったら今すぐスピリタスを持ってきてもらいたい。目の前にいる男を焼くんだ」
ベルトルト「そうなったら僕は君に抱き着いてやろう」
ユミル「私に何の恨みがあるっていうんだ」
ベルトルト「それについてはさっき君が言った通りだよ」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:57:47 ID:oUtqxdz2
ユミル「川の向こうに行った後の話をしよう」
ベルトルト「死後の世界とやらには何が待っているの?僕への罵声?」
ユミル「どうしてベルトルさんは局所的にネガティブになるんだろう」
ベルトルト「エレン一人の話だけで密かに鬱になっていた僕だよ?」
ユミル「威張られても」
ベルトルト「えっへん」
ユミル「死んだ後はいかつい顔をしたおっさんに自分の罪を告白しなくちゃいけない」
ユミル「そうとうクレイジーらしくてな、嘘をつくと舌を引っこ抜かれるんだ」
ベルトルト「どうしよう。正しく自分の罪をカウント出来る自信がないよ」
ユミル「私も何件窃盗を繰り返したのかわからない」
ベルトルト「そんなことをしていたの」
ユミル「生きるために必死だったんだ。セカンドライフをエンジョイしたかった」
ベルトルト「そう言ったら許してもらえるんだろうか」
ユミル「無理だな」
ベルトルト「そっか」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:58:18 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「おっさんに罪を告白した後は?枕投げでもするの?」
ユミル「修学旅行気分は捨てよう」
ベルトルト「そして最後にはおっさんの苦労話でも聞けるのかと」
ユミル「聞きたいのか?」
ベルトルト「いやあんまり」
ユミル「私もだ」
ベルトルト「ここに来て初めて君と意見が一致したような気がする」
ユミル「あまりめでたいことだと思えないのはどうしてだろう」
ベルトルト「僕が軟骨入りつくね棒の話をしたせいかな?」
ユミル「私は優しからそういうことにしておいてやろう」
ベルトルト「ありがとう」
ユミル「罪を告白したら、極楽か地獄に送られる。私たちは地獄行きだろう」
ベルトルト「ユミルも一緒ならいいや」
ユミル「仲良く針山や熱湯の風呂に突っ込まれるのか」
ベルトルト「一人じゃないからいいんだよ」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 02:59:49 ID:oUtqxdz2
ユミル「この川が東の話と同じものなら、渡った後に待ち構えているのはクレイジーなおっさんと地獄だ」
ユミル「知ってもなお川を渡るって思えるなら私は止めない」
ベルトルト「君は地獄に行きたくなさそうだったけどいいの?」
ユミル「ベルトルさんが手を離すなら、私はここでずっと寝ているよ」
ユミル「でも連れて行くっていうのなら、私は付いていく」
ベルトルト「どうしてそう考えるのか聞いてもいい?」
ユミル「一人は寂しいんだろう?」
ベルトルト「そうだね。僕だけしかいないって考えると途端に膝が震えてしまう」
ユミル「今は大丈夫みたいだが」
ベルトルト「君が膝の上にいるから我慢しているんだ」
ユミル「ベルトルさんは私を殺しても不思議じゃないのに、どうしてそんなに優しくするんだ?」
ベルトルト「残念ながらもう殺してしまっているんだよ」
ユミル「忘れてた」
ベルトルト「出来れば忘れたままでいて欲しかった」
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 03:02:08 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「ねえユミル、一つ思ったことがあるんだ」
ユミル「積極的に発言していこう」
ベルトルト「実はこっちが彼岸なんじゃないかな?」
ユミル「知らず知らずの内にこの川を渡ったっていうのか」
ベルトルト「それか最初からここにいたのかもしれない」
ユミル「じゃあ私たちは完全に死んでしまったと」
ベルトルト「残念?」
ユミル「いや、生き返りたいなんて気持ちはどこかにいってしまった」
ユミル「私はクリスタが健やかに自分のやりたいように生きていればそれでいいよ」
ベルトルト「まるで母親のようだ」
ユミル「どうしてだか放っておけなかったんだ。強制的に手放す羽目になってしまったけど」
ベルトルト「ねえ、君とクリスタはどんな関係だったの」
ユミル「一方的に約束を押し付けただけの仲だよ」
ベルトルト「そうは見えなかったな」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 03:04:08 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「君はクリスタが何なのかを知っていた?」
ユミル「さあ。本名だってさっき知ったばかりなんだ」
ベルトルト「ヒストリア、だったっけ」
ユミル「ああ。出来れば大人しく内地に行ってくれると助かる」
ベルトルト「それはどうだろう」
ユミル「何かあるっていうのか?」
ベルトルト「ライナーが単騎でエレンかクリスタをさらって僕らの故郷に帰っているかも」
ベルトルト「……ごめん、今の無し」
ユミル「ミカサ、全力でベルトルさんを削ぎに来てたもんなあ」
ベルトルト「どうしてあんなにエレンは愛されているのだろう」
ユミル「愛じゃなくて執着かもしれない」
ベルトルト「どちらにしろ、そんな強い感情を抱いてもらうなんて羨ましい」
ユミル「ベルトルさんは常日頃多くの人類から殺意を持たれてるだろうさ」
ベルトルト「事実だからこそもうちょっと柔らかい言い方をしてほしかったな」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 03:06:16 ID:oUtqxdz2
ユミル「ここが死後の世界だとしたら、ベルトルさんはどうしたい?」
ベルトルト「もう少し君と話していたい」
ユミル「おっさんとガチトークのための心の準備は時間がかかるもんな」
ベルトルト「それ以外の理由もあるんだ、今は言えないけど」
ユミル「死んでも言えないことってあるのか」
ベルトルト「あるよ。きっと今の感情を言葉にしたら僕は真っ赤になってしまう」
ユミル「いつも顔を青くしていたベルトルさんが頬を赤らめるのか」
ベルトルト「そんなに困った顔をしていたかな」
ユミル「ライナーとアニを見ていたときの顔を見せてやりたいよ」
ベルトルト「ライナーはもしかしたらこの近くにいるかもね」
ユミル「ミカサだもんな」
ベルトルト「彼女がもうちょっと遅く生まれていてくれたらなあ」
ユミル「なかなかうまくはいかないもんだ」
ベルトルト「それかミカサが巨人だったら……今のも無しで」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 03:07:21 ID:oUtqxdz2
ユミル「話すって言ったけど、話題が無いな」
ベルトルト「じゃあ仮定の話をしよう」
ユミル「むなしくなるだけだぞ」
ベルトルト「希望に溢れた話を最後にしてみたいんだ」
ユミル「そこまで言うのなら聞こう」
ベルトルト「僕が君をさらって、ライナーがエレンをさらって、故郷に戻れたら」
ユミル「ストップ。私には絶望しか見えない」
ベルトルト「そうかな。君を含むちょっとの犠牲で僕たちは人類を滅ぼす必要が無くなるんだ」
ユミル「あんなに一人は寂しいって言って、私には一人でここに来させるのか?」
ベルトルト「そ、そんなことはないよ」
ユミル「わかりやすく焦るな」
ベルトルト「そうなったら僕も一緒にこっちに来てあげるよ」
ユミル「エレンもびっくりな死に急ぎ野郎発言をありがとうよ」
ベルトルト「本当だって。君を一人にさせるって考えると悲しくなってしまう」
ユミル「その優しさを生前から発揮して欲しかったよ」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 03:08:53 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「人類は滅ばない。君の好きなクリスタは死なない。万々歳だ」
ユミル「その部分だけをどうにか手に入れられないものか」
ベルトルト「上手くはいかないんだよ。僕と君の尊い死によって人類は本物の安寧を手に入れる」
ユミル「もう一度誰かの為に死んでやるつもりはない」
ベルトルト「僕に噛まれたのは?」
ユミル「あれは人類がミカサという兵器を手に入れてしまったからこそ起きた不幸な事件だ」
ベルトルト「エレンが開拓地に行っていればなあ」
ユミル「鍬を持ったミカサに追いかけられるのか」
ベルトルト「怖いね」
ユミル「農具は射程が短いのにな」
ベルトルト「アッカーマンに続いた結果がこれだよ」
ユミル「そういえば私の他にもう一人口に入れようとしていたけど、そいつは?」
ベルトルト「ぽろっとこぼしちゃった」
ユミル「お行儀は悪いけど、驚いてしまったんだから仕方ないな」
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:37:46 ID:oUtqxdz2
ユミル「ここが彼岸だったとしたら、わからないことが一つあるんだ」
ベルトルト「何だろう」
ユミル「川に渡るときには舟に乗る必要があったんだ」
ベルトルト「辺りを見回してもそんなものは見えないね、石と川しかない」
ユミル「それとベルトルさんだけだ」
ベルトルト「君と僕で二人っきり」
ユミル「なんて恐ろしい響きだろう。ベルトルさんの顔がピンクになっているのがまた恐ろしい」
ベルトルト「思春期男子の事情ってやつだよ」
ユミル「深く追求するのはやめておこう」
ユミル「その舟に乗るにはお金が必要なんだ」
ベルトルト「高い?」
ユミル「子供の小遣いでも出せる額だよ。今の私は持っていないけど」
ベルトルト「僕もお金は持ってないや。じゃあここが此岸なら、僕たちはいかついおっさんに会えないんだね?」
ユミル「まあ最後まで聞けよ」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:38:25 ID:oUtqxdz2
ユミル「金を出せなかった場合、向こう岸にいるらしいババアに服を剥ぎ取られるんだ」
ベルトルト「こんなところまで来て僕たちは追い剥ぎに遭うのか」
ユミル「そしてジジイに服の重さを計られる。それが罪の重さになるんだってよ」
ベルトルト「非科学的だ」
ユミル「質量保存あたりの法則をまるっきり無視している私たちが言える台詞じゃない」
ベルトルト「ユミルの真っ裸を他の人が見ることになるのか。ちょっと興奮する」
ユミル「今は思春期男子を捨てて兵士に戻ろう。戦士でもいいから」
ベルトルト「ってことは地獄は全裸祭り?」
ユミル「それこそが正に地獄だな」
ベルトルト「ちょっと行く気が失せてきた」
ユミル「服を着ていなかった場合は生皮を剥がれるんだ」
ベルトルト「僕、巨人化して行ったらどうなるの?最強じゃない?」
ユミル「眼球だな」
ベルトルト「ねえユミル、さっきから僕の目に攻撃が加わることを望むの、やめてほしいな」
ユミル「恨みがこれくらいで晴らせるなら安いものだろ」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:39:13 ID:oUtqxdz2
ユミル「私たちは裸でもなければベルトルさん状態でもない」
ベルトルト「まだ此岸にいるってことかな」
ユミル「それかババアとジジイを倒してしまったんだ。無意識の内に」
ベルトルト「生皮を剥ぐ老人を倒せる気がしないよ。ここには立体機動装置もブレードもない」
ユミル「じゃあベルトルさんが巨人になったんだろ」
ベルトルト「急に僕の潜在能力を信じるような発言やめようよ」
ベルトルト「それに僕は君が起きるまで泣いていたって言ったろ?」
ユミル「律儀に私を抱きかかえたままな」
ベルトルト「離してなるものかと思ったよ」
ユミル「そんなに私は愛されていたのか」
ベルトルト「…………」
ユミル「冗談だってベルトルさん。無言にならないでくれ」
ベルトルト「君は時折僕を酷く困惑させる」
ユミル「からかって悪かったって」
ベルトルト「思春期男子を弄ぶなんて酷いよ」
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:40:34 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「……ミカサがね、とっても怖かったんだ」
ユミル「エレン関係になるとミカサは狂戦士のようになる」
ベルトルト「彼女は僕を僕として認識しなかった。人類の敵として、あの黒い目で僕を見てきたんだ」
ユミル「僕僕うるさい奴だな」
ベルトルト「きっとミカサはエレンのために死ぬことが出来るんだ」
ユミル「あそこまで想われるのには色んな事情があったんだろう」
ベルトルト「そしてエレンを生かすためならミカサはどんなことでもやってのけるだろう」
ベルトルト「その意志の強さが僕には怖い。思い出しただけで泣いてしまいそうだ」
ユミル「泣いてもいいぞ。見なかったふりをしてやる」
ベルトルト「君の首筋に液体が落ちたとしてもそれは涙だから」
ユミル「涙以外のものが落ちてこられると困るな」
ベルトルト「鼻水とか?」
ユミル「涙なら拭いてやるけどそこまでは面倒見きれない」
ベルトルト「今だから言うけどね、ユミル」
ユミル「何だ?」
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:41:18 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「君はとっても優しい人だ」
ユミル「その優しい人をうっかり噛んでしまった感想が軟骨入りつくね棒か」
ベルトルト「ごめんね」
ユミル「謝らなくていい。私だって誰かを軟骨入りつくね棒感覚で食べたんだ」
ベルトルト「そういう点では僕たちは似ているんだね」
ユミル「間接的に殺した人数はベルトルさんの方が3ケタくらい多いだろうけど」
ベルトルト「いつかは許される日が来るのかな?」
ユミル「お前の膝の上の女は、もうそろそろ忘れてやってもいいって思ってるぞ」
ベルトルト「その人は特別優しいんだろう。でも他はそうはいかない」
ユミル「優しかったのは一回目の話だよ」
ベルトルト「一回目?」
ユミル「大勢の人間の幸福のために死んでやった過去があるんだ」
ユミル「今考えれば、ただの自己満足だったかもしれないけれど」
ベルトルト「それから君はずっと一人で?」
ユミル「旅っていうのは一人でするものさ」
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:42:29 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「その話を聞いてもいい?」
ユミル「曖昧なことしか言えないぞ。だいぶ多くのことを忘れてしまった」
ベルトルト「その忘却が君を救ったのなら、詳しく知ることが出来なくても構わないよ」
ユミル「昔の私はちょっとした有名人でな、ユミル様なんて呼ばれてた時期もあった」
ベルトルト「ユミル様」
ユミル「やめろ、ぞわぞわする」
ユミル「様付けで呼ばれていた頃の私は、お前たちで言うのっぴきならない事情とやらで死ぬことを選んだ」
ベルトルト「辛かった?」
ユミル「さあな。あのときの気持ちなんてすぐに忘れてしまった」
ユミル「最大公約数の幸せを手に入れるために死ぬことを選ぶのは辛かったろうけど実感は無いんだ」
ベルトルト「僕が死んだことで誰かが幸せになったんだろうか」
ユミル「あまり考えない方がいい。ただでさえベルトルさんのメンタルは危ういんだから」
ベルトルト「まだ泣いてないよ」
ユミル「涙声だぞ」
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:43:15 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「目から液体が流れるまでは泣いてないってことにしてくれ」
ユミル「そこまでこだわる理由がわからないけど乗ってやろう」
ベルトルト「ありがとう」
ユミル「死んだ後、何でだかは今でもわからないが私はセカンドライフを得た」
ユミル「しばらくの間は自我っていうものを失ったままの放浪生活だったけど、嫌なものじゃなかった」
ベルトルト「その嫌じゃない期間の間に僕は友人を失うのかな」
ユミル「たぶんな。悪いけどその記憶だって曖昧なんだ」
ベルトルト「エレンが正気を失っていたように?」
ユミル「あの後のミカサは酷かったな」
ベルトルト「僕はどうして彼女が人類最強を名乗らないのかわからない」
ユミル「もっと強い兵士がいるからだろ」
ベルトルト「どうして人間はこんなに強くなってしまったんだい」
ユミル「よくもまあそんなメンタルで人類を壊滅させにきたな」
ベルトルト「泣いてない。鼻水だ」
ユミル「嘘なら許してやる、本当なら今すぐ離れろ」
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:44:17 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「離れてやるもんか」
ユミル「泣いているんだな」
ベルトルト「…………」
ユミル「無言で腕の力を強めるな。ちょっと痛い」
ベルトルト「あっ、ごめん」
ユミル「みんなが幸せになれる世界なら良かったのに」
ベルトルト「君はクリスタさえ幸せならそれでいいとばかり」
ユミル「一番優先すべきはクリスタだよ。クリスタが幸せなら、もっと幸せな人間を増やしたいだけだ」
ベルトルト「君をユミル様と呼んでいた人たちは、きっと君の死をとても悲しんだろうね」
ユミル「わからないな。死んでしまっていたから」
ベルトルト「なぜだろう、今の君の死は僕の心を強く痛めつけるんだ」
ユミル「とんでもない状況にいるからな、同情や哀れみを違う感情だと勘違いしているんだろう」
ユミル「よくあることだ。気にしなくていい」
ベルトルト「だとしても僕はこの気持ちに飲み込まれてしまいそうだ」
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:45:25 ID:oUtqxdz2
ベルトルト「辛いよユミル。泣きたいよ」
ユミル「安心しろベルトルさん。もう泣いている」
ベルトルト「僕はどうしてこんなことになったのかな」
ユミル「それはミカサに聞かないとわからない」
ベルトルト「僕はどこにいるのかな」
ユミル「場所はわからないから言ってやれないが、私の後ろにいることは確かだ」
ベルトルト「お願いだユミル、僕のことを見て」
ユミル「片手片足じゃ向きを変えることすらハードワークだ」
ベルトルト「痛くしたらごめんね」
ユミル「全身の骨が粉砕される痛みに比べたら、泣いているベルトルさんに掴まれるぐらいなんてことないさ」
ベルトルト「僕の目の前に君がいる」
ユミル「さっきまでもいたよ。ちょっと顔を合わせていなかっただけ」
ベルトルト「君の目に僕が映っている」
ユミル「ここまできて視線を逸らすほど酷い人間じゃないんだ、実は」
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 14:46:25 ID:oUtqxdz2
ユミル「ほら、拭いてやるよ」
ベルトルト「どうしてそんなに優しいの」
ユミル「優しくされたいタイプなんだろう?」
ベルトルト「そうだよ。僕は誰かに優しくしてほしくてたまらない」
ユミル「眼球にダメージを食らうのも嫌なんだろう?」
ベルトルト「うん。多くの人を傷つけたけど、それでも僕は救われたかった」
ユミル「事情があったんだろう?」
ベルトルト「痛いよ、胸が痛くてたまらないよ」
ユミル「撫でてやる。私で悪いけど」
ベルトルト「どうして死んでいるのにこんなにも痛いんだろう、苦しいんだろう」
ユミル「生きてきたからだよ。方向性はどうであれ、頑張ったから辛いんだ」
ベルトルト「報われたかった。三人で故郷に帰りたかった」
ユミル「大変だったな、頑張ったな」
ベルトルト「君が僕の仲間だったら良かったのに」
ユミル「敵同士だったとしても、今なら隣にいてやれるからいいだろ」
48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:00:48 ID:oUtqxdz2
ユミル「……落ち着いたか?」
ベルトルト「僕は人生で初めて過呼吸になったよ」
ユミル「泣きすぎだ」
ベルトルト「君があんなことをして治してくれたのは一生忘れないよ」
ユミル「一生はもう終わっている」
ベルトルト「終わらせたのは僕だったね」
ユミル「それとミカサだな……なあベルトルさん、頼みがある」
ベルトルト「何だろう。恥ずかしいことじゃなければ聞くよ」
ユミル「誰かさんの体液まみれになってしまった顔を洗いたいんだ、連れて行ってくれ」
ベルトルト「わかったよ。ちょっと掴まってて」
ベルトルト「……君は軽いねユミル」
ユミル「足と手の分が差し引かれてるからだよ。ありがとうなベルトルさん」
ベルトルト「顔を洗うの手伝おうか?」
ユミル「そこまで面倒見てもらうつもりはないさ」
49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:01:19 ID:oUtqxdz2
ユミル「私はどうにかするからベルトルさんは自分の顔でも洗ってな」
ベルトルト「わかったけど、本当に気を付けてね」
ユミル「落ちたってこの流れなら大丈夫だろう」
ベルトルト「ユミル、それ以上言うとなんだか現実になりそうだからやめよう」
ユミル「川の水は冷たいな」
ベルトルト「うわっ、本当だ。冷たい通り越して痛い」
ユミル「片手だとろくにすくえない」
ベルトルト「顔を近づけるなら本当に気を付けてよ」
ユミル「ベルトルさんは急に私を心配するようになったな」
ベルトルト「一緒にいるって言ったじゃないか」
ユミル「あれはそういう意味だったのか?」
ベルトルト「もう死んでしまってるんだ。好きにしたって誰も文句は言わない」
ユミル「私が嫌だって言うことを考えていないんだな」
ベルトルト「だって君は優しいから」
50 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:02:12 ID:oUtqxdz2
急に水音が響いた。今までユミルが座っていた場所には誰もいない。
だから言ったんだ!僕はバランスを崩してしまったらしい彼女に手を伸ばした。
彼女の右手が存在すれば掴めた。けれど再生していなかったから、僕の手は何も得られなかった。
「ユミル!!」
弱いと思っていた川の流れは早くて、視界からすぐに彼女の体が消える。
そんな、ねえ、待ってよ。僕と一緒に居て、優しくしてくれるんじゃないの?
「ユミル!助けるから!!」
流れと同じ向きに泳いでいるはずなのにユミルと僕の距離はだんだん開いていく。
ぷかぷかと浮いていた彼女の体は急に沈んだ。岩か何かに引っかかってくれたのだろうか。
水を飲むのを覚悟で僕は頭を川に沈めた。急に冷えたせいか頭が痛くなる。
痛みに耐えて目を開いた先にはユミルがいた。
「ユミル!」
口からは泡しか出なかった。それでもユミルは声に気づいてくれたみたいで目を開く。
「 」
彼女がなんて言ったのか僕はわからなかった。目の前が真っ暗になった。
51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:03:11 ID:oUtqxdz2
暗い。背中が固い。妙な圧迫感を感じる。目を開いても光一つ入ってこない。
幸いにして体は動くらしい。手で体のすぐ近くにある何かを触った。板があるみたいだ。
板を蹴ってみる。音が空間に響いた。ああ、箱のようなものに入れられている。
どうしてこんなところにいるんだ。いったい何をしたっていうんだ。
これが地獄なんだろうか。与えられた罰だとでも言うのか。
こんなに狭い場所なら一人しか入れないじゃないか。結局あの約束は守れなかったわけだ。
……約束? 誰と、いつ、どこでそんなことをしただろう。思い出せない。
「……っく、ひっく……」
誰かの泣き声が聞こえる。か弱いソプラノの響きが心地いい。
だんだん暖まっていく空気と声のせいで眠くなってきた。このまま寝たら、きっと幸せだ。
「ねえ…ねえ……!」
力の無い何かが箱を叩く。この衝撃くらいじゃ睡魔は戻っていきやしないけど。
「行かないで……」
背中が熱い。暖かいを超えた温度と、少女の声が一気に頭を覚醒させた。
「クリスタ!!」
52 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:04:01 ID:oUtqxdz2
ユミル「要するに私の火葬の真っ最中だったんだな?」
クリスタ「そ、そーだよ、ゆみる死んじゃっだど思っだんだもん……!」
ユミル「私の女神、お願いだから泣かないでくれ」
クリスタ「無理だよお、ぐすっ」
ユミル「ほらよしよし、いつの間にか着ていたやけに豪華な服の袖で拭いてやろう」
クリスタ「分隊長だぢは、解剖じだいって言ってたんだけどねえ、ちゃんと埋葬してあげだがっだの」
クリスタ「なんどか聞いてもらってね、これから焼こうとしてたらね、ユミルの声がね」
ユミル「落ち着けクリスタ、喋り方がミカサみたいになっている」
ミカサ「私はそこまで分節した喋り方はしない」
ユミル「無自覚かこの人間兵器」
クリスタ「た、助けてくれたのミカサなんだからそんなこと言っちゃ駄目だよ」
ミカサ「気にしなくていい。たまたま通りかかっただけだから」
ユミル「外から見れば結構ごつい棺をブレードで斬ってしまうなんて」
ミカサ「クリスタが燃え盛る炎の中に突入していたから急がないとと思った」
ユミル「次代の人類最強はお前だな」
53 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:05:33 ID:oUtqxdz2
ミカサ「ユミル、あなたは絶命したはずだった」
ユミル「お前にうなじを削がれたベルトルさんに全身粉砕されたとこまでは覚えている」
ミカサ「そう。あの後、エレンをさらったライナーの鼻腔に私は刃を思いっきり刺した」
ミカサ「ベルトルトのこともあってかライナーは人の姿に戻って、今は地下に閉じ込めている」
クリスタ「準備が整い次第、尋問に入る予定なの。それまではミカサが……」
ミカサ「私が定期的に脚を切り落としている。体力を回復させるわけにはいかない」
ユミル「お前、怖くないのか」
ミカサ「私が一番怖いのはエレンを失うこと。ライナーはエレンの命を脅かした。なら私はライナーを痛めつけよう」
ミカサ「……もう時間だ、行かなくてはいけない。あとのことはクリスタ、あなたに任せる」
クリスタ「わかった。ミカサ、気を付けてね」
ミカサ「クリスタとユミルも」
ユミル「……さて、これから私はどうすればいんだ?」
クリスタ「ベルトルトの遺体を解剖している分隊長が戻ってくるまではここにいるのがいいと思う」
ユミル「ベルトルさんを解剖?」
クリスタ「ユミルの分まで詳しく調べるんだって」
54 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:06:21 ID:oUtqxdz2
ユミル「なあクリスタ、それってどこでやってるんだ?」
クリスタ「ライナーがいるのと同じ地下だよ」
ユミル「ミカサを追えばそこに行けるんだな?」
クリスタ「待ってユミル!どこに行くの?!」
ユミル「会わなくちゃいけない気がするんだ。あの泣き虫野郎に」
クリスタ「何を言ってるの?いったいどうしたって言うの?あなたは生き返ったばかりなのよ!」
ユミル「わからない。理由を知るために行くんだ」
クリスタ「なら私も行く!」
ユミル「無理しなくてもいいんだぞ」
クリスタ「もう目の前から誰かが消えてしまうなんて嫌なの!」
ユミル「心配かけてごめんな」
クリスタ「ねえユミル、そう思うならちょっと走る速度を落としてよ!」
ユミル「元死体の走りについていけないクリスタちゃんは本当に調査兵団でやっていけるのかね」
クリスタ「やっていくよ。ちゃんと生きていくってあなたと約束したもの!」
ユミル「それならいいんだ」
55 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:07:50 ID:oUtqxdz2
クリスタ「ユミルが生き返ったならもしかしてって思ったけど」
ハンジ「本当に残念でならない。ねえ、生きたままでもいいからちょっと解剖されてみない?」
ユミル「脅かすのはやめてあげてくれ。これ以上強く抱き締められたら肋骨が折れて内臓に突き刺さる」
ベルトルト「ユミル、良かった、ユミル……!」
ユミル「二度も骨を粉砕されるなんてごめんだ、お願いだから離してくれないかベルトルさん」
ハンジ「ねえヒストリア」
クリスタ「何でしょう分隊長」
ハンジ「随分とベルトルト・フーバーはユミルのことを好いているみたいだったけど、そういう関係だったの?」
クリスタ「違うと思います。だってユミル、本気で嫌がってるみたいですし」
ユミル「いいからっ!離せっつってんだろ!この2m級巨人!!」
ベルトルト「離さないよ!君は気を付けてって言ったのにどうして川を流れていったんだ!」
ユミル「悪いけど何のことだかさっぱりだ!ただでさえ内臓スクランブルエッグで体調が悪いのに圧迫するな!」
ベルトルト「体調が何だよ、僕たちは一回一緒に死んだ仲じゃないか!!」
ユミル「正確に言うなら私はあんたに、あんたはミカサに殺された仲だろうよ!」
56 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:08:54 ID:oUtqxdz2
ハンジ「ヒストリア、あれ止められる?」
クリスタ「ちょっと難しいです」
ベルトルト「君はあの河原でのことを覚えていないのかい?!」
ユミル「河原ぁ?」
ベルトルト「涙を拭いてくれたり、きっききき、キスしてくれたりしたじゃないか!」
ユミル「おいベルトルさん、ついに頭イカれちまったのか?」
ユミル「河原なんて行った覚えが無いし、あれはキスじゃなくて過呼吸の治療だ!……あ?」
ベルトルト「中途半端に忘れないで思い出してよ!君はユミル様って呼ばれてたんだろ?」
ユミル「なんでそれをあんたが知ってる」
ベルトルト「君が話してくれたんだ。他にも知ってるよ。例えば外にいたこととか、意外と年上だとか」
ユミル「……その会話の中で、私はスピリタスの話をしたか?」
ベルトルト「したよ。僕にかけて炎上させてやるんだろ?」
ユミル「なあベルトルさん、私とあんたの頭がおかしいのか?あれは本当にあったことなのか?」
ユミル「断片しか思い出せないけど、私はあんたと色んなことを話した記憶があるんだ」
ベルトルト「嬉しいことね、全部本当にあったことなんだよ」
57 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/27(土) 21:09:38 ID:oUtqxdz2
ハンジ「ヒストリア、何言ってるかわかる?」
クリスタ「わからないです。でも分隊長、解剖はやめにしてもらえませんか」
ハンジ「ユミルはともかく、ベルトルトについてはちゃんと約束出来るかわからない」
ハンジ「彼にはユミル以上に色んなことが付き纏う。彼の行ったことは大罪だからね」
クリスタ「わかってます。私だってたくさんの気持ちがぐるぐるしています」
ハンジ「でも、それでもさ。目の前で泣いている子供を無理矢理どうにかすることはしたくない」
クリスタ「ありがとうございます」
ハンジ「二人が泣き止んだら何か温かい飲み物を持って来させよう」
クリスタ「分隊長は優しいんですね」
ハンジ「そんなことはないよ。二人にはこの後、地下に行ってもらわなくちゃ」
ハンジ「まあ、泣き止むまでには時間がかかりそうだし、その間に色んな話をしたって構わないだろうけど」
クリスタ「私もユミルと色んな話をしたいです。どうしてベルトルトと抱き合ってるのかも聞かなくちゃ」
ハンジ「たくさんのことを聞こう。知らないことよりも怖いことってないと思わないかい?」
クリスタ「秘めるべきことなんて出来るだけ少ない方がいいんですよね、きっと」
62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:51:56 ID:6Yetz0mc
ミカサ「4回目ともなるとどちらも慣れるみたい」
ライナー「誤解だ。俺はこの痛みに慣れていない」
ミカサ「止血の工程が素早くなったように思えるのだけど」
ライナー「しないと死ぬだろ」
ミカサ「さあ。もしかしたらあなたもユミルのように生き返るかも」
ライナー「……は?」
ミカサ「さっきのこと。火葬予定のユミルが復活した」
ライナー「おいミカサ、いくら俺がおかしいからってそれはないだろ」
ミカサ「あなたに嘘を言ったって何も生まれない」
ライナー「妙な期待を持たせてから絶望させるんだろ?」
ミカサ「そんなことをする意味が人類にも、私にもない」
ライナー「お前は俺を憎んでいるはずだ」
ミカサ「個人の感情をここに持ちだすつもりはない。エレンの得にならないから」
ライナー「お前はどこまでもエレンなんだな」
ミカサ「当然。エレンは私の存在意義」
63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:52:58 ID:6Yetz0mc
ミカサ「じゃあライナー、あなたの足が生えてきた頃にまた会おう」
ライナー「次は首をすっぱり落としてくれよ」
ミカサ「それは出来ない。あなたから聞かなくてはいけないことが山のようにある」
ライナー「そうか。残念だな」
ミカサ「素直に諦めてほしい」
ライナー「……おいミカサ、何か聞こえないか?」
ミカサ「足音が3人分くらい」
ライナー「憲兵団か?」
ミカサ「来るなら調査兵団か駐屯兵団だと思うけど」
ライナー「遂に拷問が始まるんだな」
ミカサ「違う。あなたが受けるのは尋問」
ライナー「この状態が既に拷問だとは思わないか?」
ミカサ「これは安全措置。素直に受け入れてくれると助かる」
ライナー「出来るか」
64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:53:39 ID:6Yetz0mc
クリスタ「ミカサ、もう切っちゃった?!」
ライナー「クリスタ!」
ミカサ「見ての通り、足はカットしてしまった。今から持って行くところ」
クリスタ「あっちゃあ……」
ユミル「人間の骨ってそんなに綺麗に切れるのか?」
ミカサ「ちょっとしたコツがある。後でユミルにも教えよう」
ユミル「遠慮しておく」
ライナー「おい、今の声はユミルか?」
ミカサ「さっきもそう言ったはず」
ユミル「牢屋に入っているせいで私のことが見えないのか」
ライナー「お前、ベルトルトの口の中でぐちゃぐちゃになっただろ」
ユミル「そこまでは私だって覚えているよ。その先は曖昧だけど」
ユミル「河原の話とやらの詳細はベルトルさんに聞いてほしい」
ライナー「ベルトルトはミカサにうなじを削がれただろ!」
65 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:54:42 ID:6Yetz0mc
ベルトルト「……やあ、ライナー」
クリスタ「ねえ、姿が見えるところまで行ってあげたらどうかな?」
ミカサ「ベルトルトも生き返ったの」
ユミル「ああ。何でかは知らんけどな」
ライナー「ちょっと待て、どうしてお前らはそんなに冷静なんだ」
ライナー「それともこれは俺の都合のいい妄想か?」
ミカサ「私で良ければこれが事実だと証明するために腕でも落とそうか」
クリスタ「やめてあげてミカサ」
ベルトルト「信じられないかもしれないけど、生きているよ」
ライナー「ありえない事実の連続で吐きそうだ」
ユミル「クリスタの見えないところでやれよ」
ミカサ「こんな地下に3人は何をしに来たの?」
ライナー「ミカサ、お前の心臓は鋼か何かで出来ているのか」
ユミル「閉じ込められにきてやったんだ」
ライナー「ユミル、お前もだ」
66 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:55:38 ID:6Yetz0mc
クリスタ「二人とも痛くない?大丈夫?」
ユミル「こういうのは痛いくらいじゃないと意味がないぞ」
ベルトルト「だからってさっきのミカサみたいにハムを作る勢いで拘束されるのは困る」
ユミル「ベルトルさんの肉は筋が多そうだな」
ベルトルト「その会話は既にやっているんだよ、ユミル」
ユミル「思い出せていない」
クリスタ「ユミルはきっとすぐに出られると思うよ」
ベルトルト「僕は?」
クリスタ「……頑張ってね」
ベルトルト「どうしよう。女神が顔を合わせてくれない」
ユミル「安心しろ。それでも女神は光り輝いてくれる」
ライナー「お前たち急に仲が良くなったみたいだけど何があったんだ?」
クリスタ「河原に行ってきたらしいの」
ユミル「私はあんまり覚えてないけどな」
ベルトルト「ユミルを膝に乗っけてお話をしたんだ」
67 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:56:58 ID:6Yetz0mc
クリスタ「ねえ、そのことについて私も聞いていいかな?」
ユミル「お前は戻れクリスタ。もう遅いんだろ?」
クリスタ「……わかった。でも、もうどこにも行かないでね」
ユミル「素敵な愛の告白をどうも」
クリスタ「三人とも、おやすみなさい」
ベルトルト「気を付けて」
ライナー「クリスタ」
クリスタ「なあに、ライナー」
ライナー「……またな」
クリスタ「うん。数時間後に、また」
ユミル「そこでじっと突っ立ってたミカサ、お前も戻っていい」
ミカサ「あなたがそう言うのなら。けれど何かあったら声をかけてほしい」
ミカサ「ハムにでもソーセージにでも何にでも加工してあげよう」
ユミル「料理上手のアピールか?」
ミカサ「柔らかい表現を追求しているだけ」
68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 13:59:52 ID:6Yetz0mc
ライナー「ミカサも行ったか」
ベルトルト「階段を上って行ったよ」
ライナー「ミカサは怖いな」
ベルトルト「そうだね、とっても怖いよ」
ベルトルト「でもユミルが言うのは、もっと強い人がいるんだって」
ライナー「アニは追い詰められて結晶化したらしい。お前は一度殺された」
ライナー「もう敵うわけないだろ、違うか?」
ベルトルト「人類がジリ貧だなんて嘘だったね」
ライナー「これからお前はどうしたい」
ベルトルト「僕はこれ以上、誰かを殺すことはしたくない」
ベルトルト「人類全滅もエレン誘拐も出来そうにないし、なにより大切なものが出来てしまった」
ライナー「クリスタか」
ベルトルト「君もユミルもどうしてクリスタを推してくるんだい」
ライナー「女神に惹かれるのは当然だろ」
ベルトルト「君はクリスタ教を作って入信すれば幸せになれそうだ」
69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 14:01:46 ID:6Yetz0mc
ライナー「大切なものっていうのはアニか?」
ベルトルト「君とアニは最初から僕の大切なものに含まれている」
ライナー「そうか」
ベルトルト「でも、悪いけど2人よりも大切なんだ」
ライナー「今の俺の感動を返してくれ」
ベルトルト「ごめんね。ちょっと難しいかな」
ライナー「おい、そこまで深刻そうに言わなくてもいい」
ベルトルト「君たちといるのは好きだよ。心が温かくなるんだ」
ライナー「恥ずかしいことを言うな」
ベルトルト「僕がなんとか3年間を過ごせたのは君たちのお陰だ」
ライナー「俺はなんとかならなかった」
ベルトルト「そのことについては後でじっくり話をしよう」
ライナー「時間はたっぷりある。ミカサの拷問タイム以外なら自由だ」
ベルトルト「君もアニもミカサにとてつもないトラウマを抱いていそうだね」
ライナー「うなじを削がれたお前が一番ケロっとしていることが不思議だよ」
70 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 14:03:20 ID:6Yetz0mc
ベルトルト「ありえないくらい泣いたし話も聞いてもらったんだ」
ベルトルト「そのせいでユミルの顔は僕の涙でぐちゃぐちゃになったけど」
ライナー「お前たちは人が定期的に血抜きされている間に何をしてたんだ」
ベルトルト「軟骨入りつくね棒とかアンヘルとゼノフォンの話かな」
ライナー「ユミルは全部知ってしまったのか?」
ベルトルト「僕たちが人を滅ぼしたかったことは教えてしまった」
ベルトルト「でもどちらかというとユミルの話を聞くことが多かった」
ライナー「ユミルも巨人になれるんだよな」
ベルトルト「彼女にも秘密があるんだ。僕たちみたいに」
ライナー「膝の上に乗せていたっていうのは」
ベルトルト「足と手がいつまでも再生されなかったから」
ライナー「今はくっついているのにか」
ベルトルト「あの河原ではいつまで待っても戻らなかったんだよ」
ライナー「お前たちがどこに行っていたのか全くわからない」
ベルトルト「僕にもわからないし、ユミルも正しい答えは知らないはずだ」
71 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/28(日) 14:03:55 ID:6Yetz0mc
ライナー「そのユミルはもう寝てしまったのか?」
ベルトルト「みたいだね。きっと疲れたんだ」
ライナー「火葬からの復活か」
ベルトルト「もうちょっと遅かったら危ないところだった」
ベルトルト「そうなってしまっていたら、僕の頭はおかしくなってしまったと思う」
ライナー「大切なものってまさか」
ベルトルト「君たちが温かい人なら、彼女は冷たい人だ」
ベルトルト「だけどね、どうしてだか離れられないんだ。優しいから」
ライナー「そうは見えない」
ベルトルト「しょっぱいものを食べた後の甘いものはとっても美味しいのと同じだよ」
ライナー「いきなりわかりやすくなった」
ベルトルト「ありがとう」
ライナー「褒めちゃいない。……俺は寝る、頭がぼんやりしてきた」
ベルトルト「血不足かな?」
ライナー「たぶん違う。俺もありえないことが連続で襲い掛かってきて疲れた」
77 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:37:28 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「……ライナーはもう寝たのか。早いなあ」
ベルトルト「僕も寝なきゃいけないんだけど、目を閉じたら幾千の怨言が浮かぶ」
ベルトルト「自虐プレイをするほど僕は被虐趣味だったのだろうか」
ユミル「ベルトルさんうるさい」
ベルトルト「おはようユミル、たぶんまだ夜だけど」
ユミル「おはようベルトルさん。お願いだから寝かせてくれ」
ベルトルト「嫌だよ。僕は眠れないんだ。恋バナでもしよう」
ユミル「だから修学旅行気分は捨てろって」
ベルトルト「枕が変わるとどうしても駄目で」
ユミル「ベルトルさんには枕なんて用意されてないだろ」
ベルトルト「君のところにはあるんだね、格差社会だ」
ユミル「残念だったな」
ベルトルト「残念だよ。君は僕を置いてふかふかの枕を使って眠るんだ」
ユミル「夢を壊して申し訳ないけど、この枕は湿ってる」
ベルトルト「ならいいや」
78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:38:48 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「眠れないとだんだん不安になってくるよね」
ユミル「羊でも数えてやろう」
ベルトルト「嬉しいんだけど、数を聞くだけで目の前に死体が浮かぶんだ」
ユミル「本当に、どうしてそんなメンタルで人類を滅ぼそうと思ったんだ」
ベルトルト「なせば成るかなあって」
ユミル「その結果が仲良く地下牢だ」
ベルトルト「ミカサが劇的に素敵にエレンを助けたからね」
ユミル「実はミカサのことがちょっとだけ好きだろ」
ベルトルト「きっかけをくれた点では感謝しているよ」
ユミル「人類駆逐を諦めることへのか?」
ベルトルト「それもだけど、僕と君が話すきっかけをくれた」
ユミル「未だに全部思い出せないけど」
ベルトルト「二人だけの秘密だね」
ユミル「眠れなくって不安な男がどうしてそんな明るく話せるのか疑問だよ」
79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:39:23 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「背負っていた重い荷物を投げ捨てられたから」
ユミル「それは誰かに背負わされたものなんだろ?」
ベルトルト「この手で為した時点でそれは僕のものだよ」
ユミル「責任感が強いんだな」
ベルトルト「過去の話だよ。今の僕は自分が救われることしか考えていない」
ユミル「それの何が悪いんだ」
ベルトルト「自分勝手じゃないか」
ユミル「自分のために生きて死ぬことを求めて何が悪い」
ベルトルト「君だって誰かのために死んでいったんだろう」
ベルトルト「最後の溺死は君が悪かったけど」
ユミル「待ってくれベルトルさん、その話はまだ知らない」
ベルトルト「側にいてくれるって約束してすぐに君は消えてしまった」
ユミル「チープな恋愛劇みたいだな」
ベルトルト「劇なら最後は大団円だ。そうだったらいいのに」
ユミル「私は登場人物が地下牢で語り合う演劇は見たくないな」
80 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:40:04 ID:ZexJB5Pc
ユミル「それにベルトルさん、一つ二つ問題がある」
ベルトルト「僕は君がどうやったら死なないかって問題にしか向き合う気はないよ」
ユミル「そういう恥ずかしい告白はもっと可愛い子にするんだな」
ベルトルト「君の死亡回避の話を君以外にしてどうするっていうんだ」
ユミル「私のことなんて忘れた方がいいんだ」
ユミル「見ればわかるだろうけど、ヒロインをやれるような面と心を持っちゃいない」
ベルトルト「そんなことないと思うけど、それなら君が主役をやればいい」
ユミル「冗談だろ?」
ベルトルト「僕がヒロインを引き受ける」
ユミル「新手の悪夢だ」
ベルトルト「目立たないけど成績優秀、バッチリだ」
ユミル「主役より20センチ近くデカいヒロインか」
ベルトルト「時折35倍近く大きくなるけどよろしくね」
ユミル「星だって口に含めそうだな」
ベルトルト「万一叶ったら、君にも星をあげよう」
81 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:40:37 ID:ZexJB5Pc
ユミル「ベルトルさん、寝ろ」
ベルトルト「出来たら苦労はしていないよ」
ユミル「子守歌を歌ってやるから」
ベルトルト「それも今度にしてもらう」
ユミル「眠りたいんじゃなかったのか」
ベルトルト「恋バナはしたいよ」
ユミル「思春期真っ盛りの女子じゃないんだからよ」
ベルトルト「男子だってそういう話をしてるよ。どの子が可愛いとか」
ユミル「クリスタ一強」
ベルトルト「君たちがもしも兵士じゃなかったら、今頃クリスタ教が流行ってるだろうね」
ユミル「ライナーも信じそうだな」
ベルトルト「彼の心の拠り所がクリスタになるのは同郷として複雑な気持ちだ」
ユミル「全てはクリスタが輝かしいからだな」
ベルトルト「君の心を掴んで離さない方法を僕も知りたいよ」
ユミル「まずは美少女になってもらおう」
82 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:41:30 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「君はこれからもクリスタのために生きるのかい」
ユミル「クリスタが望むならそうするつもりだけど、ちゃんと生きるって決めてくれたようだから」
ユミル「私は退場してしまってもいいかもしれない」
ベルトルト「まるで自立していく子を見送る親のようだ」
ユミル「こうなってしまった以上、近くに居れば迷惑がかかるかもしれないしな」
ベルトルト「クリスタは悲しむよ」
ユミル「確かに言われたんだよ、もうどこにも行かないでって」
ベルトルト「ライナーは君と立場を交換出来るなら何だってするだろうね」
ユミル「でもちゃんと返事をしていないんだ」
ベルトルト「自立させたいから?」
ユミル「……約束をしなければ破ったことにはならない」
ベルトルト「君にしては弱気なんだね」
ユミル「いつかは私のことも忘れて幸せに暮らせばいいんだ」
ベルトルト「クリスタと君の幸せは定義からして違うかも」
83 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:42:15 ID:ZexJB5Pc
ユミル「細部は違っても大まかな流れは一緒だろう?」
ベルトルト「細かい部分こそがクリスタにとっては重要かもしれない」
ユミル「それをどうにかするのは私の仕事じゃない」
ユミル「いつか出会うであろう旦那に任せればいいんだよ」
ベルトルト「ライナーはどうかな?」
ユミル「……永遠に検討中のままにさせてくれ」
ベルトルト「酷い言い様だ」
ユミル「メンタル面がお前たちは弱いんだよ」
ベルトルト「誰もがミカサみたいになれると思ったら大間違いだ」
ユミル「ミカサにはわかりやすい弱点があるじゃないか」
ベルトルト「彼女が強くなればなるほど弱点は突きにくくなっていく」
ユミル「強くなった結果が超大型巨人と鎧の巨人討伐」
ベルトルト「一気に昇進しそうだね。憲兵団入りも夢じゃない」
ユミル「訓練兵団の時点で憲兵団行きは余裕だったけどな」
ベルトルト「それは言わない約束だよ」
84 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:42:55 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「ねえユミル」
ユミル「何だベルトルさん、大人しく寝るつもりになったか」
ベルトルト「違うよ。聞きたいことがあるんだ」
ユミル「話せることなら言ってやろう」
ベルトルト「君は誰かのために一度目の人生を終わらせた」
ユミル「あのときの最善はそれだった」
ベルトルト「二度目はクリスタのために人生を終わらせた」
ユミル「そう思うのは勝手だが、それをクリスタの前で言うんじゃないぞ」
ベルトルト「僕から見たらこうなんだよ」
ユミル「それでもだ、言わなくていいことはある」
ベルトルト「わかった。言わないよ」
ユミル「ならいい。続きを聞こう」
ベルトルト「この人生は君にとって三度目になるね」
ユミル「ああ。危うく焼かれて失いそうになったけど生きている以上は三回目だ」
85 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:44:02 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「ねえ、三度目の人生は僕のために生きてよ、ユミル」
ユミル「……は?」
ベルトルト「先回りして言っておくけど頭がおかしくなったわけじゃない」
ユミル「悪趣味だな」
ベルトルト「騙そうとかからかおうって思っているわけでもない」
ユミル「本気で言っているんじゃないだろう?」
ベルトルト「真剣だよ。僕の心臓は緊張のせいで破裂する寸前だ」
ユミル「そのまま弾け飛べ」
ベルトルト「僕だってせっかくのセカンドライフは楽しくいきたい」
ユミル「それに私は必要ないだろう」
ベルトルト「いいや、君がいるだけで楽しいんだ」
ユミル「落ち着こうベルトルさん、私たちは妙な経験をした」
ユミル「その結果テンションが上がってしまっただけなんだ。明日の朝には後悔する」
ベルトルト「秘密の共有者だからとか殺し殺された仲だからってだけじゃない」
ベルトルト「僕は君と一緒にいたい」
86 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 02:45:03 ID:ZexJB5Pc
ユミル「生き返った以上はライナーがいる。ベルトルさんは一人じゃない」
ベルトルト「奇跡が起こって壁中の人に愛されたとしても、君がいないと僕は寂しい」
ユミル「欲張りが過ぎるとは思わないか」
ベルトルト「大丈夫だよ。実際の僕はかなりの人から殺気を抱かれ続けている」
ベルトルト「それでも楽しく生きたいからこの我儘を通したい」
ユミル「……物好きな男だ」
ベルトルト「褒め言葉だね、ありがとう」
ユミル「一つ条件を付けさせてもらおう」
ベルトルト「何だろう」
ユミル「大団円だよ。壁の中の人間全員がお前を愛されるような大団円を見せてくれ」
ベルトルト「そうなったら「私は必要ないだろ」って逃げたりしない?」
ユミル「逃げないさ。約束してやる」
ベルトルト「どうしようユミル、僕の涙腺が故障しそうだ」
ユミル「気が早いんだよベルトルさんは。出来るって保障はどこにもないのに」
ユミル「それに今は涙を拭いてやれないんだから、涙はいつかの未来にとっておけ」
91 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:10:41 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「生憎僕にはセンスが無いんだけど」
ユミル「そんなものを培うような環境じゃなかったからな」
ベルトルト「あえてタイトルを付けるなら、ミカサ無双」
ユミル「ばっさばっさ薙ぎ倒していった」
ベルトルト「東洋人はみんなああなの?」
ユミル「ミカサは混血だぞ」
ベルトルト「だとしても東洋人怖いよ」
ユミル「……ああ、敵方に突入していったときのあれは怖かったなあ」
ベルトルト「エレンも凄かった」
ユミル「ミカサが地面に叩き付けられてからの覚醒は殺気に満ち溢れていた」
ベルトルト「そしてアルミンは預言者かい?」
ユミル「友情努力勝利もびっくりな三人だな」
ベルトルト「僕の故郷だいぶ酷いことになってるんだけど」
ユミル「生きてるんだからやり直せるだろ」
ベルトルト「二回も死んだ人の台詞は重いね」
92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:11:15 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「ウォール教の人、トラウマ抱えただろうね」
ユミル「ウトガルドの少し前から病んでたみたいだぞ」
ベルトルト「気持ちはなんとなくわかるよ」
ユミル「ベルトルさんの言葉もなかなかにヘビーだよ」
ベルトルト「君は僕を照れさせる天才だね」
ユミル「褒められているのか貶されているのか」
ベルトルト「褒めているよ、君はかっこいい」
ベルトルト「君の民の前での言葉は今思い出しても鳥肌が立つ」
ユミル「やめろ、恥ずかしい」
ベルトルト「私は宣言しよう、この名前に誓って」
ユミル「えいっ」
ベルトルト「そんな可愛い声で…鳩尾に蹴り入れないでよ……」
ユミル「そこのベルトルさんの腹があったから」
ベルトルト「君はクリスタがそこに居たら撫でるのかい?」
ユミル「もちろん」
93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:12:10 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「クリスタも凄かったね。vs実家のとき」
ユミル「人形のようなクリスタちゃんから飛び出る暴言の数々」
ベルトルト「そういえば彼女のことはヒストリアと呼ぶべきなんだろうか」
ユミル「どっちでもいいってクリスタは言ってたな」
ベルトルト「彼女はレイス家を継ぐことになるのかな」
ユミル「クリスタが決めることだ」
ベルトルト「そうなればもっと内地は暮らしやすくなるかもね」
ユミル「工業都市の連中はもういい暮らしとやらのために変なことを始めている」
ベルトルト「エレクトリ…なんだっけ」
ユミル「電気だ。氷爆石や油を使わなくても灯りをともすことが出来る」
ベルトルト「もう武器開発に本気を出す気は無いのかな?」
ユミル「馬鹿言うな、もっと進化していくに決まってるだろ」
ベルトルト「人は争うものだから?」
ユミル「いいや、知的欲求の果ては存在しないんだ」
ベルトルト「アルミンは水を得た魚のようになっていたね」
94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:13:34 ID:ZexJB5Pc
ユミル「いつかは空を飛べる装置を作るんだってさ」
ベルトルト「立体機動装置で十分じゃない?」
ユミル「もっと大人数で使えるようなものだ。ああ、説明が難しいな」
ベルトルト「本人に会えればいいんだけど」
ユミル「まだ無理だろ」
ベルトルト「心境的にも物理的にも」
ユミル「作戦途中は笑えるくらいビジネスライクだったな」
ベルトルト「ちょくちょく挿まれる敬語に僕の心は削られていった」
ユミル「いいだろ。同時進行でアニの結晶も削られていったんだから」
ベルトルト「まさか本当に物理で攻略されるとは」
ユミル「煮る焼く落とす割る、色々やったな」
ベルトルト「まさかライナーの腹筋付近のアレを使って削ることになるとは」
ユミル「巨人には巨人だよねって言ってたなあのメガネの分隊長」
ベルトルト「ミカサが鼻にブレードを突っ込んで動きを止めさせて人類最強が削ぐ」
ユミル「痛そうだったな」
95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:14:16 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「君の想像よりもきっと痛いよ」
ユミル「アニの心も痛んだだろうな」
ベルトルト「起きたら目の前には奇行種の人類と人類最強」
ユミル「掘削の道具は自分の同郷の体の組織」
ベルトルト「屈辱的だったって」
ユミル「そこから壁補修のハードワークが始まったからな」
ベルトルト「君たちは巨人のことをなんだと思っているんだい」
ユミル「壁の材料」
ベルトルト「その通りだった」
ユミル「安寧クラッシャー」
ベルトルト「響きだけならかっこいい」
ユミル「やっぱりベルトルさんはセンス無いんだな」
ベルトルト「ミカサ無双」
ユミル「伝記にすれば売れるか」
ベルトルト「文筆業はアルミンに任せることにするよ」
96 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:15:41 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「それに僕は壁の中に積極的に進撃出来ないからね」
ユミル「追い出されたんだもんなあ」
ベルトルト「実は放逐の他にもう一つ選択肢があったんだけど」
ユミル「初耳だ」
ベルトルト「人類最強かミカサの半径10m以内で生活すること」
ユミル「地獄か」
ベルトルト「その話を聞いたとき、いかついおっさんとガチトークの方がいいなって思った」
ユミル「人類最強には人類の奇行種が、ミカサにはエレンがセットで」
ベルトルト「アニとライナーはもうちょっと緩い決まりが与えられた」
ユミル「アニは実家に、ライナーは最前線に行きつつ」
ベルトルト「ちょいちょい工業都市に寄って武器の原材料に」
ユミル「シガンシナ出身の駐屯兵と憲兵団の監視の中、あなたの体を優しく剥ぎ取り!」
ベルトルト「人類強かすぎるよ」
ユミル「生きるのに精一杯なだけさ」
97 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:16:47 ID:ZexJB5Pc
ユミル「話しながら好き勝手に歩いてきたけど、なあベルトルさん」
ベルトルト「何だいユミル」
ユミル「ここはどこだろうな」
ベルトルト「河原だね」
ユミル「そうだな。私たちは海を目指していたはずだけど」
ベルトルト「鰊とやらを食べてみたいって僕が言ったから」
ユミル「私はどうも骨が多くて好きじゃない」
ベルトルト「僕が骨を取ってあげようか」
ユミル「食べる機会が出来たら頼むよ」
ベルトルト「でも確かにフォークだと食べにくいよね」
ユミル「ハシを使っても食べにくいぞ」
ベルトルト「橋?」
ユミル「違う。食器だ。二本の棒を使う」
ベルトルト「棒だけでいいのかい?」
ユミル「見た目の割に優秀なんだ。後で作ってやる」
98 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:17:22 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「期待してる」
ユミル「その期待に応えるためには川じゃなくて海に行かないと」
ベルトルト「下っていけばいつかはたどり着くんだろ?」
ユミル「多くの場合は正解だが、たまに例外もある」
ベルトルト「この川は正解だよ、きっと」
ユミル「ならいいんだ」
ベルトルト「あの河原と違って歩きやすいからいいね」
ユミル「石まみれの場所で野宿するのはなあ」
ベルトルト「疲れたら僕を椅子代わりにすればいい」
ユミル「照れてしまうだろう」
ベルトルト「君が?僕に?奇跡のようだ」
ユミル「喜ぶなはしゃぐな抱き上げるなジャンプをするな!」
ベルトルト「嬉しいことがあったら全力でいくって決めたんだ」
ユミル「ここで勝負を決める?」
ベルトルト「やめて、お願い。やめて」
99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:18:05 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「やめてくれないとこのまま抱きかかえて海まで行く」
ユミル「やめろよベルトルさん、コケたときどうなるんだ」
ベルトルト「巨人化?」
ユミル「蒸し焼きにされるのは勘弁だ」
ベルトルト「仕方ないから下ろしてあげよう」
ユミル「当然の処置だ。その不満げな顔をやめろ」
ベルトルト「じゃあ手を繋いで」
ユミル「ベルトルさんは安いな」
ベルトルト「一緒に歩いて行こう」
ユミル「寂しい気持ちがなくなるまでは付いて行ってやる」
ベルトルト「僕は酷く寂しがり屋なんだ。だから一生僕といることになるよ」
ユミル「そうだったのか」
ベルトルト「そうなんだ、実はね」
ユミル「ずっと前から知ってたさ」
100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/29(月) 20:19:12 ID:ZexJB5Pc
ベルトルト「海に着いたらその近くに家を建てよう」
ユミル「別にベルトルさんがいればすぐ帰れるだろ?」
ベルトルト「本気を出せば数時間走るだけで壁に着くけど、そうじゃなくて」
ベルトルト「君と僕の住む家を作るってことに意味があるんだ」
ユミル「同居か」
ベルトルト「同棲だよ。一生一緒にいるんだから」
ユミル「なあ、それを承諾するには必要な言葉があると思わないか?」
ベルトルト「君は頭がいいんだから察してよ!」
ユミル「言葉にしてくれなくちゃわからないってものもあるのさ」
ユミル「男なら腹を括ってみせてくれ、ベルトルさん」
ベルトルト「オーケー、わかったよ。わかった。海に着くまでに覚悟を決める」
ユミル「ロマンチックな言葉で泣かせてみせてくれ」
ベルトルト「頑張るよ。君の涙腺を崩壊させてみるような台詞を用意する」
ベルトルト「そうしたら、次は僕が君の涙を拭いてみせるから」
おわり
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