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ベルトルト「赤いマフラーと」ミカサ「濃紺のハンカチ」

1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:15:42 ID:BOVqpC62

訓練が終わり夕食を済ませ、訓練兵は宿舎で消灯までの時間を各々自由に満喫している。

僕はいつも通り、ベッドの隅で体を丸め、本を読んで過ごすことにした。

ベッドの下は少し騒がしい。
どうやら皆でトランプをするらしかった。

コニーが梯子の隙間から顔だけ出して、僕も仲間に入れと誘ってくれたが、曖昧な笑みと言葉でそれを断った。

本に目を戻そうとした瞬間、楽しそうに机を囲む皆の姿が目に入った。
この部屋はランプの頼りない灯りしかなくて薄暗い筈なのに、その光景はとても眩しく見えた。


そして、それは急にキた。

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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:17:02 ID:BOVqpC62

ズグン、と腹の奥から何かが生まれた。
自分の鼓動がやけにはっきりと聴こえる

くるしい。
いたい。
いきが、

そのよく分からない感情に押し上げられ、じわじわと目に涙が溜まる。今にも零れ落ちてしまいそうだ。
見られないように顔を伏せながらそっと部屋を出た。
ライナーに声をかけられたが、震える声を抑えながら、トイレ、とだけ答えた。


ベルトルト「…うう、うわぁ、あ」


外へ出て、誰もいない宿舎裏で泣いた。涎と、涙と鼻水が混じったものが次から次へと顔を伝い、暗闇に落ちては消えていった。呼吸が浅く、切れ切れになる。

徐に、ポケットに忍ばせた折りたたみナイフを取り出す。

3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:18:45 ID:BOVqpC62

震える手でナイフを広げ、その先端を手首の皮膚に押し当てる。
徐々に力を込めると、ブツ、と音を立てて冷たい金属が肉に食い込んだ。
そのままナイフを下に滑らせる。

張っていた皮膚の表面が決壊して、そこから溢れる、
血が、血が、血が。

手首に激痛が走り、思わずナイフを落としてしまった。


ベルトルト「いたい、はぁ…いたいよぉ…」


こんなことをしても、自分からは逃げられないことはわかっている。

それでも、感情の逃げ場所を無くした僕は、凝り固まった膿を出すかのように時々こうして手首を切った。

痛みに耐えかねて、どうせすぐに治してしまうのだけれど。


ベルトルト「情けない、な…」



「なにをしてるの?」

4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:21:49 ID:BOVqpC62

ベルトルト「!?」


見られた。こんなところを。
ー誰に?

恐る恐る振り返ると、そこには、夜目にも美しい黒髪をたたえた、1人の少女が立っていた。


ベルトルト「ミ、カサ…?」

ミカサ「…」

ベルトルト「あ、待ってくれ!行かないで」

ミカサ「!」

ベルトルト「…ごめん、その、変なところ見せて…」

ベルトルト「あの…このことは誰にも言わないでくれ。頼む」

ミカサ「…」

ベルトルト「…ミカサ?」

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:23:04 ID:BOVqpC62

ミカサ「元より、言い触らす気はない。ただ、出血が多いので、誰かを呼ぼうと思っただけ。」

ミカサ「でも、他人に見られたくないと言うのなら、呼ばない…」

ベルトルト「そうしてくれると助かるよ」

ミカサ「…」


彼女は何か思いつたように、自分のスカートのポケットに手を入れ、刺繍の施されている白い布ーハンカチを取り出した。

そして僕の前に膝をつき、そのハンカチをそっと手首に巻いてくれた。

その全ての動作が細工物のように洗練されている、そう思った。


ベルトルト「汚れちゃうよ」

ミカサ「構わない。」

ベルトルト「ごめん…ありがとう」


鮮血は染み渡り、あっという間に白いハンカチを紅に染めた。

沈黙が怖い。何か言わなければと目を泳がせていると、ふと彼女の首元に目がいった。

6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:24:27 ID:BOVqpC62

ベルトルト「は、はは、マフラーとお揃いになったね」

ミカサ「は?」

ベルトルト「…その、えっと…これ、色が」

ミカサ「笑えない」

ベルトルト「ごめん」

ミカサ「早く医務室に行くといい」

ベルトルト「大丈夫だよ。見た目より傷口は浅いから、多分」

ミカサ「…」



ミカサ「なぜ自分で切ったの?」

ベルトルト「…」


8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:25:42 ID:BOVqpC62

ベルトルト「ごめん…気持ち悪いよね、こんなの」

ミカサ「別に。ただ、純粋に疑問なだけ。…自分で自分を切っても、痛いだけで得るものはないから。」

ベルトルト「うん、痛いよ」

ミカサ「うん、痛そう」

ベルトルト「分かっているんだ。切っても、痛いだけだって。でもこうすると、少しだけ楽なんだ。…許されるような気がして」

ミカサ「何が?」

ベルトルト「僕が存在することが、かな…」

ミカサ「あなたは罪人なの?」

ベルトルト「…」

ミカサ「…余計な詮索だった。もうしない」

ベルトルト「…ああ、助かるよ」

9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:27:11 ID:BOVqpC62

ミカサ「それでも、手首を抉ってしまったら訓練に支障がでる。ので、次にやるときは、もう少し切る場所を選ぶといい」

ベルトルト「…」

ミカサ「…何?」

ベルトルト「あ、いや…ごめん、意外だなと思っちゃって…」

ミカサ「意外?」

ベルトルト「君はエレンのことにしか興味がないのかと思っていたから、その、少し驚いた」

ミカサ「それは心外」

ベルトルト「そうだよね。ごめん」

ミカサ「アルミンにもある。アルミンは私の大切な親友」

ベルトルト「その他は?」

ミカサ「…」

ベルトルト「…はは」

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:28:59 ID:BOVqpC62

ミカサ「…あなたの言うとおり、2人以外にはあまり関心が持てないのは事実。」

ミカサ「エレンは家族、アルミンは親友。そしてその他は」

ベルトルト「家族?」

ミカサ「何か?」

ベルトルト「君とエレンって、恋人同士なんじゃないのか?」

ミカサ「は?」

ベルトルト「そ、そんな怖い顔しないでくれ。いつも一緒にいるから、その、勘違いしてたみたいだ。ごめん…」

ミカサ「…」

ベルトルト「…」

11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:29:57 ID:BOVqpC62

ミカサ「…エレンには、昔、命を救われたことがある。」

ベルトルト「…そうなの?」

ミカサ「ええ、このマフラーはその時もらった」

ベルトルト「それでいつもしてるんだね、それ」

ミカサ「うん」

ベルトルト「大切なものなんだ」

ミカサ「…うん」

14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:32:40 ID:BOVqpC62

ミカサ「…私はここにいる人達を、大切な仲間だと思っている。それでも1番優先すべきはエレン。その次にアルミン。」

ベルトルト「順番があるんだね」

ミカサ「ええ。」

ミカサ「優先すべき命を自分の中で発揮りさせて置かないと、窮地の時に迷いがでる。…一瞬でも迷っては駄目。人は、簡単に死んでしまう」

ベルトルト「…」

ミカサ「…私の目に映る範囲と、この両手で守れるものには限界があるから」

ベルトルト「………そう、か」



ーああ、そうか。

15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:35:10 ID:BOVqpC62

コニー『おい、ベルトルト。1人で本読んでねぇでお前も混ざれよ。』



ベルトルト「そう、だよね」

ミカサ「…ベルトルト?」

ベルトルト「両手に溢れるくらい、たくさん抱えたらさ、抱えきれなくて、零れちゃうのに、ね」



ジャン『俺が勝ったらお前ら、明日朝食のパン俺に献上だからな!』



ベルトルト「そんなの、自分が辛いだけ、なのに。苦しいだけ、なのに…」



ライナー『ポーカーに1番向かなそうな奴が何言ってやがる。ははは…』



ベルトルト「どうして、そんな、簡単なことも、分からない、かなぁ」

16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:36:21 ID:BOVqpC62

ミカサ「…何の話をしているのか分からない」

ベルトルト「…ご、めん」

ミカサ「分からないから、私には何もできない。ので、泣かないで欲しい」

ベルトルト「ごめん、…」

ミカサ「…もう行く。あなたも、落ち着いたら戻るといい」

ベルトルト「…ああ…」

18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:37:27 ID:BOVqpC62

ベルトルト「あ、ハンカチ!…その、洗って返すよ」

ミカサ「いい。その様では多分洗っても落ちない。そのまま捨ててくれて構わない。特に思入れのある品でもないから。」

ベルトルト「……そう」

ミカサ「では、お大事に。」

ベルトルト「ミカサ」

ミカサ「?」

ベルトルト「ありがとう」

ミカサ「…どういたしまして」

19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:39:00 ID:BOVqpC62
ーーーーーー
ーーーー
ーー

ミカサ「おはよう、エレン」

エレン「おう」

アルミン「おはよう、ミカサ」


ベルトルト「…あ、ミカサ!」

ミカサ「?」

ベルトルト「おはよう、少しいいかな?」

アルミン「おはよう、ベルトルト」

ベルトルト「おはよう、アルミン。エレンも」

エレン「よう。珍しいな、ミカサに用事か?」

ベルトルト「うん…あの、よかったら2人にしてくれないか。少しだけ」

アルミン「いいよ。行こうか、エレン」

エレン「おう」

20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:40:59 ID:BOVqpC62

ミカサ「何?」

ベルトルト「あの、これ」

ミカサ「ハンカチ?」

ベルトルト「新しいのを買ったんだ」

ミカサ「気にしなくていいと言ったのに」

ベルトルト「うん、でも流石にね」

ミカサ「…綺麗な色」

ベルトルト「その…赤色、好きなのかと思って…赤にしようと思ったんだけど」

ミカサ「濃紺」

ベルトルト「ああ」

21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:42:27 ID:BOVqpC62

ベルトルト「汚れて、ボロボロになったら…躊躇なく捨てて欲しいと、思ったから」

ミカサ「…」

ベルトルト「…その」

ミカサ「…ありがとう。使わせてもらう」

ベルトルト「うん。それじゃあね」







ジャン「おい!おいおいおいベルトルト!」

22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/16(金) 20:45:14 ID:BOVqpC62

ベルトルト「ジャン、おはよう」

ジャン「おはようじゃねぇよ!どういうこった!?お前もミカサ狙いなのか!?」

ベルトルト「そんなんじゃないよ」

ジャン「本当だな!?嘘ついてないだろうな!?」

コニー「ベルトルトが相手じゃ勝ち目ねぇもんなぁ、お前」

ジャン「んだとぉ!?」

ライナー「ジャンよりいい奴なのは確かだな」

ジャン「てっめぇ!」

ベルトルト「あはは…」



大丈夫。

大丈夫。

僕は


捨てられる。





31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:06:20 ID:hhDLW4Ks

続きらしきものができたので更新する
でも話してるだけでなんの面白みもない

最近痔になってホモに気持ちが少しわかった。

32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:09:17 ID:hhDLW4Ks

対人格闘訓練にて




ミカサ「ベルトルト」

ベルトルト「ミカサ」

ミカサ「調子はどう?」

ベルトルト「ああ、手かい?それならお陰様でこの通り」

ミカサ「そう。では私と組んでほしい」

ベルトルト「僕と?いいけど、ライナーは?時々組んでるじゃないか」

ミカサ「彼ならあっちで別の人と組んでいる」

ベルトルト「あ、ほんとだ。何時の間に。」

ミカサ「ライナーは人気。対人格闘においてのみ」

ベルトルト「兵站行進や野営でも人気だよ」

ミカサ「あなたは意外とノリがいい」

ベルトルト「それほどでも」

33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:19:17 ID:hhDLW4Ks

ベルトルト「エレンとは組まないの?」

ミカサ「あそこ」

ベルトルト「ああ、アニか…」

ミカサ「これは訓練だからエレンが誰と組もうと別に構わない。もしあの女が変なことをしようとしても、この距離なら届く。」

ベルトルト「何が?」

ミカサ「ベルトルトが」

ベルトルト「投げる気!?」

ミカサ「冗談」

ベルトルト「それなら笑って言ってくれ、ほんの少しでいいから」

ミカサ「では、はじめよう」

34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:27:40 ID:hhDLW4Ks

シュッ バシッ



ミカサ「本気を出していい」

ベルトルト「本気だよ」

ミカサ「ダウト」

ベルトルト「うわっ」


ミカサ「あのハンカチ」

ベルトルト「っ!」

ミカサ「とても気にっている」

ベルトルト「気にってほしく、ないんだって、ば」

ミカサ「そうだった、では」

ベルトルト「!」

ミカサ「捨てる時には見る影もない程引き裂いて燃やして、灰は川に流そう」

ベルトルト「まるでお葬式のようだ」

35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:35:44 ID:hhDLW4Ks

ミカサ「あなたに貰ったハンカチなど毛程も気にってないけれど」

ミカサ「あの色はとてもいい。」

ベルトルト「染料の違いかな。おっと。…一点物の手染め製品が売りのお店なんだ」

ミカサ「今度そのお店を教えてほしい」

ベルトルト「だめ」

ミカサ「どうして?」

ベルトルト「お値段がばれちゃう」

ミカサ「気にしない」

ベルトルト「気にして」

37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:43:43 ID:hhDLW4Ks

ミカサ「抵抗しないと負ける」

ベルトルト「んっ」


ベルトルト「なら、少しだけっ」

ゴッ


ミカサ「…」

ベルトルト「…?」

ミカサ「あつい」

パタリ

ベルトルト「ミカサ…?」



ベルトルト「ミカサ!」


コニー「おいミカサが負けたぞ!」

アルミン「まさか。そんなことあるわけ」

アルミン「うわぁ」

38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:48:30 ID:hhDLW4Ks

ーーーー
ーー


ミカサ「…」

ベルトルト「あ、起きた?」

ミカサ「…ん」

ベルトルト「ごめんね、そんなに強くしたつもりはなかったんだけど」

ミカサ「謝らなくていい。訓練だから」

ミカサ「ここまで運んでくれたの?」

ベルトルト「ああ」

ベルトルト「僭越ながらお姫様抱っこというものをさせてもらったよ」

ミカサ「覚えている。重かったでしょう」

ベルトルト「そんなことないさ」

ミカサ「ダウト」

ベルトルト「砲弾の箱を持ったときと似ていた。腰にきたよ」

39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/18(日) 23:57:23 ID:hhDLW4Ks

ベルトルト「いや、僕よりミカサだよ。…熱中症かなぁ。君がが倒れるなんて相当だ」

ミカサ「熱中症もあると思うけれど原因はわかっているので平気」

ベルトルト「え?…病気、とか?」

ミカサ「…心配ない。女は定期的に体調を崩す」

ベルトルト「え?そうなの?なにかの持病?でも性別で差がでる病気なんて…」

ミカサ「女、体、定期的。このキーワードで察して欲しい。」


ベルトルト「…………………あ」

ミカサ「…」

ベルトルト「ごめん、その」

ミカサ「謝らなくていい。」

ベルトルト「…」

ミカサ「…」

40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 00:08:10 ID:1T.y0BwA

ベルトルト「…あの、女の子は凄いよね、その…子供が産めるんだから」

ミカサ「…」

ベルトルト「体の中で別の生命が育つなんて、まったく想像つかないよ」

ミカサ「はぁ」

ベルトルト「え」

ミカサ「謝らなくていいとは言ったが、あまり楽しくお喋りできる題材ではない。男女間では特に」

ベルトルト「すいません」

ミカサ「一度濁したのに、どうしてそこを掘り下げるのか」

ベルトルト「ごめんなさい」

ミカサ「ここはあなたの普段の無口さを発揮すべきところ」

ベルトルト「許して」

ミカサ「悪意はなさそうなので許そう。」

ベルトルト「…」

ミカサ「ベルトルト」

ベルトルト「はい」

43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 00:51:20 ID:TONCsV/A

ミカサ「こっちにきて」

ベルトルト「怒らないで」

ミカサ「怒らない」

ベルトルト「…え?何?うわぁ」


ギュ


ベルトルト「ど、どうしたの?」

ミカサ「うん、だっこされているときに思った。やはり似ている」

ベルトルト「似てる?」

ミカサ「臭いが」

ベルトルト「に、臭い?」

ミカサ「お父さんと臭いが似ている」

44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 00:54:10 ID:TONCsV/A

ベルトルト「…それ僕がジジくさいってこと?」

ミカサ「それは飛躍し過ぎ。もっといい意味に捉えていい」

ミカサ「ううん、なるほど。はぁ」クンクン

ベルトルト「嗅がれている」

ミカサ「よくお父さんに肩車されたことを思い出す。うん」

ベルトルト「手持ち無沙汰だから抱きしめ返してもいい?」

ミカサ「どうぞ。」

ベルトルト「あぁ、柔らかい…固定砲みたいだ」

ミカサ「いまここに一つの矛盾が生まれた」

ベルトルト「ねぇミカサ」

ミカサ「何」ゴロゴロ

45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 00:58:23 ID:TONCsV/A

ベルトルト「男に『抱きしめたい』なんて言われても簡単にOKしないほうがいい」

ミカサ「心配しなくても人は選ぶ。ジャンなら断ってた」

ベルトルト「ジャンには下心があるからなぁ」

ミカサ「あなたにはないの?」

ベルトルト「ないとは言い切れないけれど、僕は妄想型のムッツリだから」

ミカサ「妄想型?」

ベルトルト「想像はしても実行には移れない」

ミカサ「ヘタレ」

ベルトルト「そうとも言う」


47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:01:55 ID:TONCsV/A

ミカサ「昔は、寂しくて泣いてるときにエレンによくこうして貰った。懐かしい」ゴロゴロ

ベルトルト「君達の関係って本当に家族?」

ミカサ「家族でも抱き合うくらいはする。違う?」

ベルトルト「わからないんだ。家族がいないから。…………あ。」

ミカサ「しまった、という顔をしている」

ベルトルト「しまったかもしれない」

ミカサ「詮索はしない」

ベルトルト「君の無関心さには救われる」

ベルトルト「ああ、でも、寂しいときはライナーに抱きしめて貰ったな。昔の話だけれど」

ミカサ「今は?」

ベルトルト「そんなことしないよ。気持ち悪いだろう、男同士で」

ミカサ「そういうもの?」

ベルトルト「そういうものなんだ。…寂しいけれど。だから僕は手首を切っていたのかもしれない」

ミカサ「笑えない」

ベルトルト「冗談じゃないよ」

48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:05:40 ID:TONCsV/A

ミカサ「ううん、でもエレンに抱きしめられたときとはやはり何か違う。」ゴロゴロ

ベルトルト「それは君がエレンが好きで、僕のことは好きじゃないからだよ」

ミカサ「あなたのこと嫌いとは言ってない」

ベルトルト「『好きじゃない』と『嫌い』は違うんだ」

ミカサ「そうなの?」

ベルトルト「うん、きっと。ニュアンス的に」

ミカサ「難しい」

ベルトルト「好きには色んな種類があるから。僕もそれで困ってる」

ミカサ「そうなの?」

ベルトルト「ああ」

ミカサ「詳しくは聞かない」

ベルトルト「助かる」

51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:11:41 ID:TONCsV/A

ミカサ「好きな人がいるの?」

ベルトルト「詳しく聞かないって言ったのに!」

ミカサ「思わず興味が湧いてしまった。これでも年頃の女の子」

ベルトルト「僕に無関心な君が好きだった」

ミカサ「好きだなんて言われると照れる」

ベルトルト「相変わらず表情筋がピクリとも動いてない」

ミカサ「訂正しよう。ニュアンス的には照れてなくはない」

ベルトルト「ややこしい」

ミカサ「ん?照れてなくなくない」

ベルトルト「それは最終的に照れてないと言っている」

ミカサ「なくなくなくなくない?」

ベルトルト「もういいよ」

52 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:15:53 ID:TONCsV/A

ミカサ「話が逸れた」

ベルトルト「逸らしたんだよ」

ミカサ「それでベルト」

ベルトルト「君のお父さんの話をしよう」

ミカサ「話が戻った」

ベルトルト「戻したんだよ」

ベルトルト「お父さんは元気?」

ミカサ「両親はすでに鬼籍に入っている」

ベルトルト「それは…すまない」

ミカサ「気にしなくていい。エレンやアルミンのお陰で大方立ち直っている。」

ベルトルト「…よかったらお父さんとの思い出話を聞かせてくれないか」

ミカサ「いいだろう。父とは…最後に何を話したっけ…?」

ベルトルト「いきなりそんなヘビーなとこからいく?」

ミカサ「…ああ、そうだ」


ミカサ「赤ちゃんの作り方を聞いたんだ」

53 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:19:38 ID:TONCsV/A

ベルトルト「み、み、みかさ、はなして」

ミカサ「どうかした?」

ベルトルト「僕に下心ないと言ったのは嘘だ。いや、今嘘になった。ドキドキしてきた」

ミカサ「なら離そう」パッ

ベルトルト「ふぅ…びっくりした」

ミカサ「それはこっちのセリフ。青少年の下心の芽生えに立ち会ってしまった。」

ベルトルト「君が変なこというからだ」

ミカサ「変なこと?子作りは変なことではない。子作りしなければ人は生まれない。両親が子作りしたから今ここに私やあなたがいる。違う?」

ベルトルト「子作り子作り言うのをやめてくれ!」

ベルトルト「あと『あなた』って呼ぶのよして、恥ずかしい」

ミカサ「名前が長いからこう呼んでるだけ。他意はない」


55 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:22:53 ID:TONCsV/A

ベルトルト「君の発言もだが、シュチュエーションもよろしくない」

ミカサ「医務室が?」

ベルトルト「医務室が」

ミカサ「妄想型の発想はイマイチわからない」

ベルトルト「今君、襲われたって文句言えないよ」

ミカサ「何故?襲う方が悪いに決まってる。襲われた時点で私にはあなたの全身を跡形も無く削ぐ権利が発生する」

ベルトルト「…うん、それはそうなんだけど。でもね、少しは発言に配慮した方がいい。思春期の男の子はタカが外れやすいから」

ミカサ「私の言動によって?」

ベルトルト「そう。シュチュエーション作りの手助けをしてしまうことがあるんだ」

ミカサ「わかった。では私がその要因の一つになってしまったときには、右腕だけ残してあげよう」

ベルトルト「君の優しさって攻撃的」

56 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:26:03 ID:TONCsV/A

ミカサ「話していたら調子が戻った」

ベルトルト「そうか。ならよかったよ。」

ミカサ「あなたは落ち着いた?」

ベルトルト「うん、大丈夫だ。大丈夫」

ミカサ「もう少し休んでいく?」

ベルトルト「どうしてそんな優しい声かけながら拳を作っているんだ君は」

ミカサ「医務室で休むには口実がいる」

ベルトルト「口実のために命は張れないな」

ミカサ「そう。では出よう。」

ベルトルト「ふぅ」

ミカサ「どうやら疲れさせてしまったみたい」

ベルトルト「いや、話せて楽しかったよ」

ミカサ「そう」

57 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:28:01 ID:TONCsV/A

ベルトルト「ミカサ」

ミカサ「何?」

ベルトルト「もしまた僕のつまらない話を聞いてくれるのなら、今度は肩車してあげてもいい」

ミカサ「それは楽しみ」

ベルトルト「目が笑ってないけどその言葉を信じよう」

ミカサ「エレンもいい?」

ベルトルト「いいよ」

ミカサ「じゃあ、また」

ベルトルト「お大事に」


ーーー
ーーーー


ベルトルト「あ、ジャン。…何持ってるの?」

ジャン「…ミカサは?」

ベルトルト「帰ったよ。もう大丈夫だって。もしかしてお見舞いにきたの?」

58 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:29:53 ID:TONCsV/A

ジャン「…まあな」

ベルトルト「お花摘んで?」

ジャン「うるせー」

ベルトルト「後で渡しなよ。喜ぶよ、多分」

ジャン「おい」

ベルトルト「はい?」

ジャン「…なんもしてねぇだろうな」

ベルトルト「ミカサに?まさか。削がれちゃう」

ジャン「だよなぁ」

ベルトルト「下心は芽生えたけれど」

ジャン「はぁ!?」

ベルトルト「怒らないで。肩車してあげるから」

ジャン「いらねぇよ!」





59 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:31:56 ID:TONCsV/A

読んで下さってありがとうございます。
あーバラしちゃったよー。何書いた人間かバラしちゃったよー。でも嘘つくのもなぁ…もうこれまとめられちゃったかなぁ。恥ずかしいなぁ

まあいいか。おやすみなさい。
痔には気をつけて

60 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:53:00 ID:bO8OYjCM

おつです
こういうのだいすきやで

61 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/19(月) 01:56:18 ID:tCnxMJXo

おもしろかった!乙!



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