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おかえり、シャルロット

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/06(月) 22:09:51.69 ID:7mExSTOs0

IS打ち切りかの記事に触発されて、自己終結かけた結果です。
初ss投下ですが、お手柔らかにお願いします。


シャルロットデュノアは考えた。IS学園に入って早2年、
あのとき一夏に助けられ、自分という存在を自覚できるように
なってから、相応の時がたっていた。すなわち、タイムリミットが
近づいていたのだ。IS学園特記事項、この自分を自分たらしめる存在も
あとわずかで意味が無くなる。そう、卒業が迫っていた。数ヶ月後には、
フランスに帰るか、それとも別の道を行くのか、それとも…。どのみち、
今の自分に残されて選択肢は少なく、また、時間も同じように少なくなっていた。

「日本に残れればいいのに…。」


IS <インフィニット・ストラトス> 第4巻 [Blu-ray]

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/06(月) 22:14:33.53 ID:7mExSTOs0

ベットに潜り込んでも眠れない夜はある。いつか同室のラウラとお揃いで買った
猫パジャマのフードをとり、上体を起こすと、安らかな寝息のラウラを後目に
溜息を付いた。時計を見ると、短針は4を少しずれた場所を指している。
窓に掛かるカーテンに手を掛ければ、夜も明け切らぬ暗い空が目の前に広がった。
夜明けまでの時間は長い。対して自分に残された時間は少ない。この貴重な時間を
どう過ごすか、シャルはもう一度溜息を付くと、猫から人へと変身を遂げるため
タンスへ手を伸ばした。今日は夜が明けても授業はなく、自由な一日が待っている。
三年もこの時期になると、選択科目の都合から一日offの日も出現するなど、
学生らしからぬ自由が生まれる時がある。今日はちょうどそんなチャンスに恵まれた日なのだ。

「一夏は調整日だっけ」

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/06(月) 22:16:50.10 ID:7mExSTOs0

彼もoffならどこか一緒に…。と行きたかったが、生憎予定が詰まっていることを
シャルは知っていた。相変わらずの唐変木な一夏であったが、何というか、
気づき始めたのか、最近の彼は、いつもの5人から距離を置き始めた様な感じがする。
というのも、一夏とoffが重なる日が5人共に無いのだ。ISの調整などは、
専用機持ちの場合、特に本人の都合が優先されるので、意識しない限り一日ぐらいは
5人の誰かと合ってもいいはずなのに、それがない。自分を除く4人に対しては喜ばしくもあり、
自分はというと、あえない苦しみに耐えなければならず、また、相談したい事もあって、
もどかしくもあった。なにを着ようか…。少し考えたシャルは、特に出かけることもない今日という日を、
私服ではなく制服で過ごすことにした。この服を着ていれば、学園内を闊歩でき、
かつ色々なところに顔を出せることができる。もしかしたら一夏と逢えるかもしれない。
そんな望みを胸に秘め、制服のYシャツに袖を通す前に、女のたしなみに手を伸ばす。

「あれ、無い…。」

4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:19:41.08 ID:7mExSTOs0

昨日、突然の雨にやられ、肩を落としたところで紅茶をひっくり返し、
染み抜きのため、水につけたためシャルのブラジャーは全滅していたことを
思い出した。この寮の衣装入れは台にもなっているが、そこで本を
読み始めたのが失敗だった。時刻は4時過ぎ。あのあと干し直した下着類は
乾くわけもなく、昨日脱いだブラジャーは汗くさい。また着けるのははばかれよう。
染み抜きの下着は水に沈んだままの現在、シャルに残された手段は、そのままYシャツに
袖を通す事だった。

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:20:56.09 ID:7mExSTOs0

夜明けが大部遅くなったにしろ、夜明け前の気温は、彼女のまとう制服のほかに
何かを羽織る必要のない程度で、未明の散歩には若干肌寒いものの体が動けば
気にならない。若干胸元が寂しいが、それも手伝ってかシャルは寒さを感じることも
なかった。時間も早いし、どうせ同姓しかいないこの学園、シャルは気分転換のつもりで
外に出た。彼女の悩み、そう、あのとき先送りしてしまったデュノアとの確執だ。

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:24:12.85 ID:7mExSTOs0

改めて見てみると、文字量がすごいことになっていますね。
読みにくいかもしれませんが、ご容赦をば。え、誰も読んでいない?あれま。


外に出て見たものの、それだけで悩みが解決できれば、こんなに苦しい思いはしないでいい。
確実に迫るタイムリミットに焦る。でも、決定的な解決方法が見つからない。あのとき一夏は、
彼女の抱えている問題は卒業までに解決法を見つければいいと言ってくれたが、結局現在まで
見つからずじまいだった。

一夏と離れる。このままでは、最悪の結果になってしまう。そう思うとシャルの胸は締め付けられ、
とたんに考えがまとまらなくなる。

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:26:32.76 ID:7mExSTOs0

いい方法は…。堂々巡りだ。こんな時、一夏がいてくれたら、いや、今は困る。
なにせ今の私は重要なアイテムが一個足りない。それが一夏に知れたら、変な女の子って思われてしまう。
ノーブラで散歩、痴女。乙女はそんなことしないから、結婚相手に選ばれない。困る。とても困る。
そうじゃない、とにかく折角一人で考える時間ができたんだから、少し頭を冷やしておかなければ。でも、一夏が…。

そこまで頭が回ったところで不意に冷静になった。

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:29:17.98 ID:7mExSTOs0

結婚…。確か、日本の法律では、男性は18になったら結婚できるはず。そうすれば、
妾の子供である私をデュノアは面倒見ずに済むようになり、無関係になれる。あとは
織斑先生を説得して判を押させて、うぅいちばん難しそうだけど、やらなければ未来はない。
今まで、夢物語か幻想かと思っていたことが、急に現実味を帯びてきた。今までは、
ただ単なる乙女の純情のみで一夏にアタックしていたが、もしかすると一夏を射止めることが
私にとって最良の方法なのでは?と。思い起こせば、性別がばれた時に始まり、同棲、
お風呂とほかの女の子と比べると比較的有利な自分がいる。いや、肌を見られただけともいうが、
ともかく、学園でも女房役に徹してきた私ならば、あと一押しで決定打を打てるのでは
ないだろうか。では、その決定打とは何になるのだろう。

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:30:48.46 ID:7mExSTOs0

夜明け。青から赤へ色移ろう空、抱きしめてくれる人はいない。思考は尽きなかったが、
夜明けの散歩もそろそろ飽きてきた頃、シャルは自分の部屋に引き上げようと踵を返した。
建物に近づくにつれ、部屋の窓がはっきりと目に映る。ついつい、一夏の部屋を探してしまう
シャルは、次の瞬間、自分はまだ寝ぼけているのではと疑った。夜明け直後にもかかわらず、
一夏の部屋に灯りがともっていた。

一夏がいた。上半身裸で。

「あぁ、ごめん」

一夏は手にしたTシャツを着込むとシャルを部屋に招き入れた。

「僕の方こそ、こんな朝早くに押し掛けて迷惑じゃなかった?」
「いや、おおかたこの時間に起きているから。それよりシャルはなんかあったのか。」

うん、一夏のことを考えてたら目が覚めちゃったんだ。などとは口が裂けても言えず、さりとて口は
滑らかに動かず、256人のこびとシャルに支えられたシャル本人は、沸騰する頭を抑えつつ、
紅潮した顔を少しだけ俯かせて口を開く。

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:32:45.44 ID:7mExSTOs0

「たまたま朝早くに目覚めちゃって。散歩してたら一夏の部屋に灯りがついたから。ほら、
最近すれちがいが多かったからどうしてるかな~って」

当たり障りのない答えを出してしまった自分に辟易したものの、このチャンスをどう生かすかに
考えが及ばない。赤面したのは、ほら、不意に一夏が裸だったからなどと誤魔化したものの、
それが良かったか悪かったか。恋する乙女は何かと不自由な存在なのだ。

久しぶりに入る一夏の部屋は、自分の記憶とさほど変わっていなかった。かつては自分の部屋で
あったこともあり、その記憶は割とはっきりしている。そう、女であることがばれたのもここだった。
シャルがこの部屋を出てからはずっと一夏一人で使っていたようだ。

「一夏は、卒業後の進路は決まったんだっけ」

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:36:58.79 ID:7mExSTOs0

この季節ともなれば、学園を出た後の進路も決まってくる生徒が多くなってくる。現に、クラスメイトの半分が
国の研究機関や、民間会社などに決まっていて、ほかのクラスでは、日本の代表に選ばれた人も出た。

「男って事もあって代表には選ばれなかったけど、お陰様で倉持技研に決まったよ。白式も一緒にね。」

ISのコアは、博士しか作れないという鉄則は、最近になって崩れてきていた。そう、一夏の存在が
そのきっかけを与えたのだ。その研究を行っていたのが倉持技研で、おそらくその縁だろう、
一夏の就職が決まったのは。なにせ、ISの存在はちょっと間違えれば戦争になりかねない事もあって、
国がコアの解析を強力に進めたとあっては、それだけで宣戦布告の材料となる。それ故、半官半民の
倉持技研に研究をさせ、あくまで国は無関係を装う。そんな政治的背景が伺い知れた。白式が一緒なのも
その辺の事情なのだろう。

「ということは、春から社会人?おめでとう一夏。そしたら今度、お祝いしなきゃね。」
「ありがと、シャル。まだ決まっていない人もいるから、せめてみんなが行く先を決めてから
お祝いしよう。で、なんだけど。」

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:38:37.61 ID:7mExSTOs0

唐突に一夏がまじめな顔になる。続いて一夏の口からは予想通りというか、よく覚えていたと言うべきか、
言葉が続いた。

「シャルは、卒業後どうなるんだ。いまのところ」

心臓がぎゅっと縮まる思いがした。いや、実際に縮まったのだろう。一瞬気が遠くなっていったのがよくわかった。
シャルは、すぐさま返答ができなかった。正直、答えが出ていない。なにもしなければ、おそらくデュノア社に
帰ることになるが、フランス代表になり損ねた今の自分はデュノアにとって価値のない存在だ。
経営危機から立ち直ったはいいが、余計な人材を養うほどの体力は残っていない。それに、父の命令に背いた件の
処分は、IS学園特記事項が幸いし保留となっており、それが卒業することで効力を失えば、良くて
牢屋往きの状況は、あのときのままとさして変わらなかった。シャルの顔から血の気が引いていくのが
一夏にも判ったのか、悪いと一言断ると一夏は沸かしていたポットからお茶を入れ始めた。

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:40:37.59 ID:7mExSTOs0

「あのとき、特記事項があるから、卒業までに考えればいいって言ったと思う。でも、あと半年ぐらいで
卒業するんだから、そろそろ作戦を決めておかないとと思ってたんだ。」

ほい、と湯飲みを渡す一夏。ところがシャルは気が動転したまま湯飲みを受け取ってしまったものだから、
湯飲みの熱さまでは気が回らず、思い切り湯飲みを握ってしまった。放り出してしまった湯飲みの中身は、
そのまま一夏の腕に命中した。

「あつっ、いてててて…」
「ふぁ、大変冷やさなきゃ、あぁ赤くなってる」

慌てる二人、腕を蛇口から出る冷水につける一夏にしがみつくシャル。いつぞやかと同じ光景に一夏は
腕を冷やしながらも笑った。

「あのときと変わらないなぁ、それよりシャル、このあとの台詞覚えてる?」
「えっ、確か…当たって…。」

またも慌てて一夏から離れると、顔を真っ赤にして思い出す。

「一夏のえっち」

懐かしいにおいがした。何か解決するかも知れないとも思った。ブラジャーが着けられなかったのはこの伏線かとも
思った。イヤ、たまたまだが。ただ、それまで抱えていた重い気分が一瞬にして晴れたのも事実だった。久しぶりに
笑顔になれた気がした。そう、こんな瞬間の積み重ねがここにはあったのだ。いっそこのまま抱いてくれとも思ったが、
そこは乙女、口が裂けても、きっかけがなければそれを告げるのは到底不可能だろう。でも、きっかけって何だろうか…。

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:43:11.51 ID:7mExSTOs0


冷水から腕を放した一夏は濡れた腕を拭きつつ話を前に戻した。布越しに伝わる淡い感触は頭の隅に
追いやるとして、今考えなければならないのは、シャルの胸が柔らかすぎた件について、もとい、
近い将来についてだ。デュノア社に背いたことで訴えられる可能性がある限りは、何らかの手だてを
打たなければならないことは分かり切っていたが、今の今までいい方法が見あたらずにいた。もしかしたら、
不問になっていることを期待したいが、確認が取れない以上、それに頼るのは無謀といえよう。
いっそのこと留年…。

「なぁ、シャル。留年ってできるんだっけ。」
「無理だよ。IS学園は留年=退学だから。それに、できたとしても織斑先生が許さないでしょ。」

確かに、その通りだった。テストの点が悪かっただけでは、千冬姉にしごかれておしまいだ。正直、
専用機持ちは特記事項がずっと有効とかいった法律があれば、こんな苦労はしないのではないだろうか。
ずっと有効…。

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:44:59.80 ID:7mExSTOs0

「いっそ、IS学園の教官になるというのは。」
「!!」

出任せのつもりで一夏は言ってみたが、もしかするとがあるかも知れない。シャルほどの器用さと
実力を兼ね揃えていれば、教官は無理だとしても、助手くらいはできる。幸い、毎年の
卒業生の中から、1,2人は助手として採用することが慣例となっているそうだから、それに望みを
掛けるのもいいかも知れない。

「一夏、ありがとう。もしかしたらもしかするかもしれないよ。朝ご飯が済んだら、早速、
学園事務所に行って聞いてみる。」

希望が見えた瞬間だった。日本に居続けられ、しかも一夏の近くに居られる。フランスに
帰らなくて済み、父との確執もIS学園の関係者となることで少しは改善されるかも知れない。
良かった。やっぱり一夏は私のナイト様だ。好きになって良かったとシャルは一夏を見つめ直すと、
抱きつこうかどうしようか一瞬悩み、ノーブラだったことが原因でそうしようとした自分に対して
赤面し、その仕草を一夏に笑われるのであった。

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/06(月) 22:46:55.29 ID:7mExSTOs0

朝食を一夏と摂ったシャルは、一夏の部屋で話したとおり、学園の事務所に足を延ばした。
担当の先生は不在だったが、申し込むための書類がいとも簡単に出てきて少し拍子抜けしたぐらいだった。
悪いことが起こるかも、いや、そんなこと無い。今までが悪すぎたんだから、これくらい
あってもいいよね、と自分に言い聞かせ、もらった書類をノーブラな胸に抱き、部屋へ急いだ。
部屋に戻るとラウラがなんだかそわそわしていた。

「ラウラ、どうしたの。」
「あぁ、今し方教官が来ておまえに言付けを頼まれた。教官室まで来るようにとのことだ。」

書類に目を通すのが先か、それとも織斑先生のところに行くのが先か、少し悩んで、部屋を出た。
書類に目を通すのは後だ。むしろ、助手の件について書類と一緒に織斑先生に相談してしまえ、
とひらめいたシャルは、善は急げとばかりに教官室へと急いだ。

「デュノアです。失礼します。」

教官室に入ると、そこには織斑先生のほかにフランスのIS次官がソファに座っていた。言いしれぬ
妙な空気に、ただごとではない事を察したシャルは少し身構え、勧められるままに二人の対面に腰を
下ろす。真正面から見た二人の顔は、苦虫をかんだような苦悩に満ちていた。

「シャルロット・デュノアさん、残念ながら退学です。」


21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/07(火) 23:39:44.07 ID:ZEnZWqzQ0

信じられなかった。何かの間違いであって欲しかった。折角、希望が見えてきたのに、こんな仕打ちを
神様はするのだろうか。しかし、事実は淡々と語られる。

「デュノア社が倒産しました。いや、正確には日本時間で今日の15時に倒産します。」

倒産?だって経営危機から立ち直ってこれから再起をかけるって新聞に…。

「どうやら粉飾決済を行っていたようで、実際の負債は経理操作によって巧みに
誤魔化されていたようです。加えて、貴女の父君もさきほど逮捕されました。」

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:41:12.85 ID:ZEnZWqzQ0

シャルは声が出なかった。淡々と続ける次官の声に耳を傾けるのが精一杯であった。
学園に行くことも絶たれ、唯一の身内が逮捕され、この瞬間、シャルは一人になって
しまった。そして追い打ちがかかる。

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:42:39.35 ID:ZEnZWqzQ0

「貴女には一刻も早くデュノア社に戻っていただかないといけません。これはフランス政府の決定です。
デュノア社は一時的に国営となり、IS開発を続けますが、父君の息が掛かった研究者は軒並み粉飾決済に
関わっていたため逮捕され、基幹を支える人間が貴女だけとなってしまいました。よって、可及的速やかに
研究室に入った頂きます。」

すぐに帰れ。詰まりはそう告げられた。いつ?と問うまでもなく渡された航空券は、
明日の17時と印刷されていた。


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:44:43.80 ID:ZEnZWqzQ0

「デュノア。手続きは、フランスに帰ってから書類をこちらに送ってもらうことになる。
別れをいう暇もないが、できる限りの配慮はするつもりだ。」

暫くの静寂が教官室を支配する。ややあってシャルは口を開いた。

「判りました。取り敢えず、いつもの5人には、私から伝えます。クラスのみんなには、
先生の方から宜しく伝えてください。」


27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:48:20.38 ID:ZEnZWqzQ0

茫然自失のまま教官室を出ると、気付く頃には自分の部屋に帰っていた。道中どうしたか
覚えていない。自分の過ちを叱責する人間が泡となって消え、道連れとばかりに一夏と
身内を奪い去っていった。これから自分はどう生きていけばいいのか。一夏が示してくれた道も
音を立てて崩れ去り、胸の書類も只の紙きれとなり果てた。残された道はフランスに帰ること。


28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:50:35.78 ID:ZEnZWqzQ0

徐々に頭が冷えていったシャルは、おもむろに立ち上がると
当面の荷物をまとめる為、スーツケースをクロゼットから
引っぱり出した。もう、抵抗すらできない状況に、シャルは
あきらめるという選択肢を選ばざるを得なかった。


29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/07(火) 23:52:44.29 ID:ZEnZWqzQ0

「一夏…。」

力無くつぶやくシャル。それを見て、今まで黙っていたラウラは
シャルの様子に耐えきれず話しかけてきた。シャルは、そうだね、
と意を固めると掻い摘んで教官室の出来事を話しはじめた。なんだかんだで
気の合うルームメイト。いちばん初めに話すのは、ラウラでいいと思う。
彼女なら、笑って送ってくれるかな。故郷も隣国だし。と、困っちゃうよね
といった軽さで話を進めていたが、ふとラウラを見ると、普段にない
うつむき加減にシャルは少し驚いた。そして、さらに驚く羽目になる。
アイパッチを外したラウラの瞳から涙が零れていた。口元はへの字。
シャルは不謹慎にも可愛いと思ってしまった。そして、泣いてくれている
友の表情を見て、ここにいた時間は自分にとって本当に大切な宝物なんだという事を確信した。



32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 23:17:24.99 ID:JTyjweJc0

「~~~!…。」

声にならないうわずりを発しながら抱きついてくるラウラ。
ほらやっぱり可愛いじゃないか。この可愛さを最初に発見したのは
僕だぞ。とラウラの頭を撫でつつシャルは一瞬の幸せを噛み締めた。

33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 23:19:34.89 ID:JTyjweJc0

無情にも時は流れてゆく。専用機持ちの5人には自分から事を伝えると
言った手前、すでに事を伝えたラウラ以外を探さなければならなくなった
シャルは、各々の予定を確認するため、再び教官室に赴いた。道中、
染み抜きのために水に沈めていたブラジャーやら、生乾きの洗濯物類を
乾燥機に放り込む事も忘れない。時間はいくらあっても足らないのは
承知済みだ。少しでも効率よく動かないと、一時的にしろ置いて
行かなければならない。なけなしの小遣いを機械に放り込むと、
生地が痛むのを承知で湿った衣類を乾燥機につっこみ、乾燥後は改めて
ブラジャーを着けると、堅く誓いながら洗濯場を後にした。教官室の扉を
くぐると織斑先生は、それならばと箒、鈴、セシリアを呼び出し、ここで
話すようにと手を貸してくれた。努めて暗くならないように話したつもり
だったが、シャルの目の前に並んだ3人は、一様に驚き、肩を落とした。暫く
黙したままの3人であったが、やがて鈴が口を開く。

「せめて、夕食ぐらいみんなで食べよ。急だけど、送別会ってことで。」

34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 23:20:56.03 ID:JTyjweJc0

ちょっと早めの時間帯に食堂に集まった女子4人とシャルは、
一つのテーブルに腰を下ろすと、座っているメンバーの顔を流し
見た。考えてみれば、このメンバーが集まるのも久しぶりなのでは
ないか。最近、個別の課程が増え、なかなか時間が合わなくなっていたし、
休みもずれてしまったために、出かけることも少なくなっていた。
一夏がこの場にいないのも、調整がずれ込み、解放されるのは深夜に
なるかもと連絡があった為だ。シャルの送別会は、一夏抜きで始まった。


35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/08(水) 23:22:20.93 ID:JTyjweJc0

話すことと言えば、この2年近くのことばかり。それは様々な事がおき、
みんなで解決していった。専用機持ちの面々は、学園が思っていた
以上に結束し、実力を強めていた。その結束も、一夏という存在があったから
こそで、彼女らがみな一夏に染まっているからこそできた結束でもある。
しかし、今回その1ピースが欠けるとあって、残された4人の中に
ちょっとした不安が広がっていた。なにもできない悔しさに自分の力のなさを
見せつけられ、でも、一夏を囲むライバルが一人減る事におはちが
廻るチャンスと、そんな中で、一夏にふれても良いのかという良心と、
それは様々な感情が入り乱れ、総じて不安に繋がっていた。そんな中、
シャルはある決意を固めると口を開く。

「一夏に告白しようかと思うんだ。」



40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:48:36.80 ID:ZQ8MCvu20


こんな時にずるいと言われてしまうかな?と思ったが、残された時間が
すでに24時間を切っているシャルにとって、日本にいる理由になっていた
一夏への想いは、とっておくには大きすぎた。ただ、みんなが知らないのは
卑怯すぎる。知らないうちに抜け駆けされたら僕なら泣いちゃう。
その後は…。どうしてくれようか。うつむき加減のシャルに、またも驚きが
隠せないみんなであったが、やがて、ラウラが肩に手をやり、

「一夏は私の嫁だが、シャルロットの想いも大事だ。一日ぐらい貸してやろう。」


41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:49:21.75 ID:ZQ8MCvu20

がんばってね。誰かは判らないが、そんな声も聞こえた。鈴も勢いづいたのか

「あんたなら許す!行くとこまで行っちゃえぃ」

一同、きゃーと黄色な悲鳴を上げ、女子だけの空間を楽しんだ。
行くとこまで…。鈴の冗談がいつまでも耳に残る。


42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:51:10.69 ID:ZQ8MCvu20

夕食終わって、乾燥した洗濯物を抱えつつ自室に帰ると、ラウラが
すでに猫になっていた。今着ているのは3着目、よっぽど気に
入ったのだろう。あれからというものラウラは寝間着、部屋着といえば
猫スーツである。そんなラウラも、IS学園に来たすぐの頃は、
なんだか刺々しくて、機械みたいだった。解け始めたのは臨海学校の時からか、
ルームメイトになったばかりのシャルに相談があると、買ったばかりの
水着を着て見せた。ちょっと大胆で、それでいて可愛らしさを保っている
紺色の水着は、ラウラの肌の色と相まって、思わず抱きしめてしまったほど
だった。一夏に見せたいと必至になって思考を巡らせるラウラを
眺めていたのがすごく楽しかった。

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:52:22.74 ID:ZQ8MCvu20


「行くのか?」

シャワーを浴びてからね、とラウラに返事をするとシャルは
バスルームに向かう。結局、今日一日ノーブラだった…。ばれてないよね。
と自分に言い聞かせ体を清めると、自分の目の前にある鏡に、濡れた
肢体を映す。髪から滴る水が肌に落ちると、きれいにはじき返す。まだどの
異性もさわったことのない至宝の身体。一夏になら捧げる価値があると
いうものだ。そしてさらに磨きを掛けて、女としてのたしなみも忘れず、
勝負に出る。折角、みんなが応援してくれて居るんだ。ここでやらなきゃ
女が廃る。一生後悔する。改めて決意を固め、バスルームを出ると
ラウラが一言かけてきた。


「ブラジャーはちゃんと着けたか。」


44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:53:11.24 ID:ZQ8MCvu20

本日2回目の一夏の部屋、ドアの前で呼吸を整えるとノックする
前に扉が開いた。不意を付かれたシャルは、一瞬言葉に詰まり、
身体を堅くしていると、幸い一夏は声をかけてくれた。勧められるまま
部屋にはいると、ベットの上には寝間着だろうか、服が散らばっていた。
危ない、もう寝る時間だったか。タイムリーな行動にシャルは
心の中で肩をなで下ろしたが、これからもっと大きなハードルが控えている。
さて、どうやって話そう。

「あのね、ちょっと聞いて欲しいの。驚かないでね。」

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:55:07.77 ID:ZQ8MCvu20

前置きをしたものの、話が進むにつれ、一夏の顔が引きつっていく。
やっぱりなぁ。朝話したばっかりだし、明日に帰るからもう
逢えないなんて突然言われたら、誰だって驚くよねぇ。と、シャルは思いの外、
冷静に一夏を見ることができた。これなら告白もうまくいくかも。
一夏が好き、大好き。一夏が好き、大好き。一夏が好き、大好き。

「一夏が好き、大好き。」

46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:55:53.86 ID:ZQ8MCvu20

「!!~~!!」

一夏から発せられた音は、シャルの耳にも届いていたが、正直、
なぜそんな音が発せられたかシャルには判らなかった。もしかして、
口に出してた?一夏は頷くと天を仰いだ。シャルはと言うと、笑うしかなかった。

「あ~、あの、冗談じゃないからね。勢いでいっちゃったけどほんとだよ。」

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 11:56:37.51 ID:ZQ8MCvu20

返事できる?との問いに一夏は戸惑いながらもこう告げた。

「ごめん、今、判断できない。」

そっか、しょうがないよね。と俯いた顔を上げると自然に涙が零れた。
あれ?そんなつもりじゃないのに。しかし、止めどなく溢れる涙。涙。涙。
シャルは居たたまれなくなり、一夏の部屋を飛び出した。


49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:18:27.09 ID:ZQ8MCvu20


朝と比べると、そんなに寒くない屋上は、下階の喧噪もここまで伝わる
こともなく静かであった。折角許されたチャンスも、涙で流れてしまった。
自分に残された時間は残りわずかなのに。もう、挽回もできないかなぁ。
そう思うとまた涙が溢れた。いちばん好きな人にごめんと言われてしまった
訳だから、もう無理なのかも知れない。一夏は、どんな人にも優しいからなぁ。
そう思うと、今までしてもらった優しさが、急に何か別なものへと変貌を
遂げる。自分にとって大切なものは、他人にとって必ずしも大切ではない。
まさにこれに当てはまるのではないか。後ろ向きな思考が止まらず、涙に
暮れるシャル。肌寒くもなったので、自室に帰ると、またもラウラが
言付けを伝えてきた。


50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:19:11.99 ID:ZQ8MCvu20

「朝飯前に部屋に来て欲しい」



51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:20:08.51 ID:ZQ8MCvu20

シャルロットデュノアは時計を見た。何の皮肉か、昨日と同じ時間に
目が醒めた。する事が無くもないが、ラウラが寝ている手前、あまり
騒がしいこともできない。おもむろに体を起こすとシャルは、
制服に袖を通す。この制服も、今日で着納めだ。昼前には、学園に
返さなければならない。出発は時丁度。空港行きのバスに乗り、
そのまま機上の人となる。また散歩に行こうかな。そう思うと
シャルは扉を開けた。

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:22:11.93 ID:ZQ8MCvu20

昨日より少し肌寒くなった夜明前。寮に目を向けると一夏の部屋に
灯りがともった。そうか、こんな朝早くに起きているんだ。と、
ここでふと、昨日ラウラから伝えられた一夏の伝言を思い出した。
朝飯前に部屋に来て欲しい。丁度、朝ごはんの前だ。ちょっと
早すぎかもしれないが、早速部屋に行くことにした。

「一夏、起きてる?」

53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:23:34.23 ID:ZQ8MCvu20

扉が無施錠だったので、少し開け、声をかけると、寝間着姿の一夏が
椅子を用意してくれた。約束通りに部屋に来たシャルに感謝を
告げる一夏、ただ、シャルの気持ちはあまり晴れない。

「話ってなに?」

フラレ女に構わないでとばかりに一夏を急かすと、一夏はおもむろに
頭を下げた。

「昨日は誤解させた。と思う。ただ、いろんな事がありすぎて、
うまいこと返事できなかったんだ。」

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:24:26.88 ID:ZQ8MCvu20

ドキリとした。シャルは、フラレたと思っていたが、そうではない
みたいで、少しは望みがあるのかも、いやいや、一夏のことだから、
夢が砕け散る音がもうすぐ聞こえて…。

「たぶん、好きなんだと思う。」

砕けた。シャルの心が腰砕けになった。

「こんな時間のない状況で、それを言うのも酷かと思ったけど…」

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:25:55.41 ID:ZQ8MCvu20

元々、思い詰めていたこともあって、話がほとんど聞こえていない
シャルは、わずかに動く頭を容量一杯フル回転させ、状況を整理した。
一夏と僕は両想い。僕はもうじきフランスに帰る。思い出を作るなら、
今しかない。今、二人きり。一夏は朴念仁。示すならこれ以上ない手段。
そこまで頭を回すと、シャルは制服のスカートに手をかけた。

「一夏ぁ…。」

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:29:45.56 ID:ZQ8MCvu20

自分でも驚くぐらい甘えた声を出すと、お構いなしに一夏ににじみ寄る。
例によって一夏は後ずさっているが、ベットまで追い込むとそのまま
倒れ込んだ。良し勝った。

「最後の想い出、僕にちょうだい。」


58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:32:02.54 ID:ZQ8MCvu20

なんだ、僕って女の子だったんだなぁ、などと自分に対する一夏の視線を
再確認すると、女の武器を全開にさらし、一夏に覆い被さった。めくった
スカートの中身が見えなくなれば、今度は、肌をさらす。制服のボタンに
手をかけると、ワンピースは素早く脱ぎ捨て、Yシャツのリボンを取る。
なるべく身体を押しつけ、さらされた太股を見せつけるよう意識しながら、
今度は、直接一夏にふれてみる。いつか、水着を買った時みたいに目を瞑って
ぶつぶつ言い始めたから、その口を塞いでやろう。その前に頬。続いて
耳たぶを甘がみすると、閉じていた目が開かれる。シャルはちょっと目を
合わせると、一夏の唇をふさぎに掛かった。シャル、最後なんだから大胆にだよ。
と、自分に言い聞かせると、ゆっくりと一夏の中に自分を押し進めた。
キスってこんなにやらしかったけ?と、幼いときにしてもらったキスとを
比べてみたが、比べものにならないほど気分も気持ちも良い。もっとも、
幼い子供にこんなことしたら、余計なものまで目覚めてしまう。今の私だから
許されるのだ。もっとしてしまえ。Yシャツのボタンをさらに外すと、
塞いだ唇をひとまず離し、今度はYシャツからさらされた乳房を一夏の唇まで
近寄せる。さて、一夏は手を出してくれるかな。女の勝負としゃれ込んでは
見たものの、朴念仁はやっぱりで、相変わらず一夏は固まったままだ。
そろそろ諦めて手を出してくれても良いのにと思ったが、一夏の鈍さは承知済み。
今日のシャルさんは、そんなことではへこたれません。きれいな曲線を描く
シャルの胸を包みこむブラジャーを少しだけずらし、まだ、本人以外は誰も
弄んだことのない乳首を晒す。これを直接一夏の唇にもっていけば、さしもの
一夏も耐えらまい。ゆっくりと、しかし、着実に一夏の唇に到達したシャルの乳首は、
シャルの望み通りとなった。

「ん、ふぅん。」

59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:33:56.66 ID:ZQ8MCvu20

思わず、声が漏れてしまう。その声に反応してか、反対側の乳房に
一夏の手が伸びてきた。ブラジャーを掻き上げ、乳房の曲線に沿って
指先が乳首に到達する。

「や、はぁん。」

自分でも判るぐらいに濡れている。下着を染み渡らせ、太股まで
垂れているかもしてない。シャルは、一夏の頭を逃がさないように
抱きしめていた腕を解くと、そのまま自分の股間に手を伸ばした。
やっぱり濡れてる。そして、敏感になった秘部まで指をはわすと、
ふれるだけでものすごい快感がシャルを襲う。

「ん、んん、はぁっ」

60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 21:35:19.27 ID:ZQ8MCvu20

身体をのけぞらせ、突然襲ってきた大波に耐えたシャルは、さっきまで
自分の先端を責め立てていた一夏とにらめっこをしてしまった。
一夏の顔が顎から真っ赤になっていくのがよくわかる。責め立てたのと、
息がし辛かったのと。ここで、赤ちゃんみたいと口にしようものなら、
一夏の興奮も醒めてしまうかも知れないと、シャルはそのまま口を塞ぎに
掛かる。さて、次の手は…。上を攻めたから、今度は、えと、下を攻めてみます。

61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:41:25.18 ID:ZQ8MCvu20

Tシャツをまくり上げ、体中にキスをしながら下半身へ到達すると、一夏のそれは、フリース地のズボンからでもはっきり判るぐらい堅く盛り上がっていた。ズボンの上から甘がみすると一夏が少しだけ反応する。ちょっと楽しくなったシャルは、羞恥心をかなぐり捨て、好奇心と性の高ぶりのみに感情を残し、中身の開拓へ取りかかる。中から出てきた逸物は、シャルが想像していたよりわずかに大きく、脈々と天へ衝き立っていた。肌より黒く艶のある表面に、これが…。と改めて実物を見る感動を味わっていた。

「あー、そんなに見つめられるとなんだ、恥ずかしいんだけど。」

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:42:32.56 ID:ZQ8MCvu20

僕はもっと恥ずかしい格好なんだよ、と心の中で抗議をしながらも、
尽きぬ興味はシャルの動きをより淫靡にする。先端にキス。
ちょっとあまがみ。しばし、反応を確かめて、それから総てを
口の中に包み込んだ。

「っっっ、」

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:43:20.59 ID:ZQ8MCvu20

一夏の口から声にならないうめきが漏れる。満足な反応を得たシャルは、
捉えた一夏を口で弄ぶ。うれしい、楽しい、大好き。感情が次から
次ぎへと溢れいでて、何でもできる。そう、今なら、何でもできる。
シャルは、口から一夏を解放すると、確認するまでもなく
濡れぼそった自分の股間に一夏をあてがった。

「一夏、嫌いにならないでね。」

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:44:18.96 ID:ZQ8MCvu20

ゆっくりと、しかし、着実にシャルは一夏を自分の中に迎え入れた。

想像を超える、経験したことのない感覚に戸惑いながらも、

シャルは腰を沈めていく。やがて、自分の内蔵が突き上げられる

感覚に襲われた。と、同時になにも考えられなくなった。

いま、自分の身体でさえ把握ができない。唯一はっきりと判るわずかな

痛みが、大人の女になったことをシャルに自覚させた。

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:45:12.45 ID:ZQ8MCvu20

火照った身体を抱きしめる。したたり落ちるほど吹き出た汗以外にも、

太股辺りを伝う汗とは違う水分に、一夏に抱かれた事をシャルはつよく

実感した。布団をたぐり寄せ、身体に巻き着けると、一夏と自分のにおいが

布団から漂ってくる。強力に語る布団に、さっきまでの事情は夢でなかったと

シャルを自覚させた。これで、思い残すことは無い。タオルを投げてよこす一夏に

そのままの姿で抱きつくと、少しだけ愚痴をはく。

「日本に残れればいいのに…。」

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:46:08.18 ID:ZQ8MCvu20

空港。ゲートの奥に姿を消したシャルの影をおいかける一夏。短時間で

できることは限りがあって、二人ができる思い出作りは、空港の出発ロビーが

最後となった。情報社会の恩恵を受けて、連絡だけは容易に取れるように

なったものの、実際に顔を合わせられないつらさは、昔と変わらない。

はれて恋人同士となった二人の距離は、この瞬間果てしないものになって

しまった。そう、物理的な距離はそのまま大きな壁となったのだ。

そして、時間は流れる。


67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:47:54.99 ID:ZQ8MCvu20

「織斑!昼飯だぞっ。」

課長の声が掛かると、一夏の班は昼休みとなる。一夏の班を担当する課長は

時間にうるさく、時間通りに仕事をこなす神ががり的な技を持っている。

課員の管理もそれに漏れず、いちいち声をかけてくれるので、なにも気にせず

仕事ができる。一夏の所属は、倉持技研開発研究部構造躯体課。IS学園を

卒業した後、白式ごと就職した彼は、そのままIS関連の仕事に就き続けた。

フランスに帰ったシャルと少しでも同じ環境を保ちたいという気持ちがあったためだ。

68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:48:41.37 ID:ZQ8MCvu20

そんなシャルもフランスに帰った後、開発者の一員として

デュノア社の再建、今度は国営からの脱出をになうメンバーとして、かなり

幅を利かせた活躍をしていた。二人は距離があったとはいえ、たびたび連絡を

取り合い現況を話したりするなど細々ながらも関係を続けていた。ただ、

ずっと逢えずじまい。寂しさは募るばかりだ。今日も食事を済ませて一服。

煙草をくゆらせた一夏は、ずれた帽子を直しつつ、あのころは煙草なんかに

手を出して無かったよなぁと一人ごちた。一本目を根本まで吸い尽くし、

二本目に火をつけようとした時、足のサイドポケットにある携帯入れが震えた。

着信だ。


70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:49:29.10 ID:ZQ8MCvu20

「はいはい、今出ますよっと。」

おじさん臭くなったなぁと思いながらも、携帯のディスプレイを覗くと、

そこにはシャルの名前が記されていた。おぉ、久しぶり。

71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:50:10.45 ID:ZQ8MCvu20

『一夏、ご無沙汰だね、』

久しぶりに聞くシャルの声は、張りがあって、とても軽やかに聞こえた。

こういう声を出すときは、決まってなんか良いことがあった証拠だ。

電話だけのやりとりも長くなると声で判るようになる。しばしの雑談、

くわえ煙草も火がつかないまま時間が流れる。いや、こんな姿シャルには

見せられないなぁ。おじさんになっちゃったし。そんな思いとは裏腹に会話は流れる。

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:53:12.18 ID:ZQ8MCvu20

『もうそろそろ、お金が貯まったから、一夏を見に行きたいんだよね。

どんだけおじさんになったかとか。』

「まだまだ、若いさ。シャルの方こそ、おばさんになってない?」

『あはは、もうすごいおばさん。一夏が来てくれないから。』

「ごめんな、課長が若いうちは修行に明け暮れろ。色恋など厳禁だって旅行させてくれない。」

『フランスは遠いからね。もうこっちから行くしかないね。』

「そうだなぁ、仕事やめれば行けるんだろうけど、生活がなぁ。」

『じゃぁ、しょうがない。行ってあげる。そばに行ってあげるよ。』

「ありがとうな、近いうち何とかするから。」

「うん、大丈夫。着いたよ、一夏。」

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:54:00.19 ID:ZQ8MCvu20

振り向けばそこにシャルが居た。すげぇ美人になってた。

タイトスカートのスーツが似合ってた。一夏は、火をつけ損ねた

煙草をずり落とすと、呆然とシャルを見つめる。シャルは、

一夏の顔に手を伸ばすと、数年ぶりの感触を確かめ、慈しむ。

「お互い、大人になったね。」


75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:55:43.64 ID:ZQ8MCvu20

潤んだ瞳が目の前に拡がり、唇がふさがった。

「織斑、ちっと会議しつっっ、失礼。」

課長が迎えに来たが、思い切りシャルとキスしているところを見られた。

後でなんと言われるか判ったものじゃない。と、戦々恐々としていると。

すっと唇を離したシャルに助けられた。

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:56:20.68 ID:ZQ8MCvu20

「今、行きます。」

この声に課長はすんなり引き下がった。シャルの変わり様にまた、

驚いた一夏。シャルに勧められるまま会議室に赴くと、そこには会社の

首脳陣と研究メンバーが勢揃いしていた。会議室に拡がる重々しい

雰囲気。重要な発表?まさか倒産?


77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:57:29.14 ID:ZQ8MCvu20

「デュノア社と倉持は、合弁会社を設立する。ここにいる研究メンバーは、

倉持から合弁に出向する形で参加してもらうことになった。」

よかった。出向とは驚いたが、頸になるわけでも無し、働く場所が少し

変わるだけだから、何の心配もない。しかしだ、なにやら予感めいたものが

頭をよぎるのは、どういう訳か。

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:58:02.38 ID:ZQ8MCvu20

「それでは、諸君の上司に当たる合弁会社社長を紹介する。女性だぞ。」

課長に促されて会議室に入ってきたのは、今さっきまで一夏のそばにいた人物。

そう、シャルロット・デュノアその人だった。

「シャルロット・デュノアです。宜しくお願いします。」

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:58:50.47 ID:ZQ8MCvu20

会議室に満ちる声は、さっきと変わらない。舞台度胸というか、

女は強いと一夏は思った。椅子に座るちょっとの仕草に、こちらに

手を振る余裕も見せて、こいつだけ何故という同僚目線が背中に

突き刺さる。その目線の中には、既婚の課長のも含まれていたが、

この際、なにも言うまい。会議室から出るシャルに声をかけようかと

思った一夏だが、シャルに追いつく前に、課長に呼び止められた。

定時に応接室へ。そのまま退社して良し。開発は残業が多い職種だが、

シャルと一夏の仲を察してか、それともそういう指示が出ているのか、

ともかく、たまの定時帰りは有り難いものだった。

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/11(土) 23:59:26.93 ID:ZQ8MCvu20

「お先でーす。」

定時帰りのタイムカードを切ると、そのまま研究開発とは別棟の応接室へ

向かう。比較的広い敷地にある技研の研究所は、郊外に立地して居るとも

あって、住宅街とはちょっと違う雰囲気がある。

「おにいさーん。」

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/12(日) 00:00:19.74 ID:+1cJHv0t0

小さい女の子に声をかけられた。日本人とは違うブロンドも少し

くすんだ毛色に夕日が当たってすごくきれいだ。しかし、ここは研究所。

しかも私有地とあっては、このような小さな子は明らかに場違いだ。

お母さんは?と訪ねるとその子はこっち、と指を差して案内をし始めた。

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/12(日) 00:01:48.00 ID:+1cJHv0t0

【応接室】

その小さな女の子の指さす場所は、一夏の目的地と合致した。

そして、心当たり。その女の子を見て、何となく、いや、間違いないな

と覚悟を決める。いくら唐変木な一夏とはいえ、この状況で、その事実を

否定するのは、シャルに失礼と言えよう。いや、只の馬鹿か。ともかく、

扉を開ける。一夏は、扉を開ける。ISが結びつけたこの縁と、離されて、

待たされた色々な思い。そういった思いを総てひっくるめて、扉を開ける。

さ、新たな一歩目は、なんて言葉で迎えよう。扉の向こうに居るであろう、

自分の思い人に投げる言葉を拾いつつ、一夏は一歩目を踏み出す。




「お帰り、俺のシャルロット。」

     -終-


83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/12(日) 00:04:44.86 ID:+1cJHv0t0

以上でお話は終了です。

次、出すことがあれば、改行のコツをもちっと研究してから上げようかと思います。

拙い文章にお付き合いいただき、有り難うございました。


90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:05:53.19 ID:+/qM9e7v0

ラウラの車選び


ラウラ・ボーデビッヒは考えた。自分にふさわしい車は何であろうかと。

IS学園を卒業し、その後、本人の希望もあって一般大学の工学部に進んだラウラは、

入学したての頃は電車で通っていたが、三年の夏頃、一夏の勧めもあって不必要と

思いながらも自動車の免許を取ることにした。近所の教習所に入学し、自転車で

通い始めたが、始めの一月はどうにもうまくいかず教官に怒られっぱなしだった。

途中嫌になって、教習の予約をすっぽかすこともあったが、坂道発進が上手く

行くようになり、教官にやれば出来るじゃないかと誉められてから、むしろ積極的に

車に触れようと、暇を見つけてはゲームセンターやら教習所のハンドルモデル

(取り回し練習用の)にへばりつくようになった。

91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:07:35.56 ID:+/qM9e7v0

仕舞いには、自分がのる予定の教習車を洗車し始める始末。教習始めのころは

自分の運転に酔うどころか、自分の運転で酔うという必殺技を発動し、1時間も

乗れなかったが、試験場に行く頃には、仮免許練習中の表示を常に鞄に潜ませる

ほどのめり込んだ。免許証が発行された時には、すでに免許を取ってから

3年経過していた一夏を無理矢理引っぱり出し、行きは仮免許、帰りは本免許で

運転を楽しんだ。車を貸すハメになった一夏をもって

「アレは重傷。」

と言わしめたほどだ。ISに通ずる物があったのだろうか。それとも、何かと規制の

かかるISより、自由の利く自動車に何かの魅力を感じたのか、最近は、顔を合わせる毎に車の話で持ちきりになった。


92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:10:11.52 ID:+/qM9e7v0

「聞いて良いか?今、貴様が乗っている車に決めた理由を教えてくれ。」


車に乗って通学してくる学生に対し、そんなことを聞いてくるラウラは、

学部内ではもう、有名人だ。果たして彼女は、どんな車を手に入れるのか。

大学の自動車部では、彼女が何を選ぶか、賭が行われているぐらいであった。

その自動車部に彼女が現れたのは、至って自然なことであった。何せ

ここには、部車と呼ばれる車がいくつも有るのだから。

93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:11:51.62 ID:+/qM9e7v0

「たのもう」


油臭いアスファルトと、簡単な屋根に覆われた自動車部のエリアに突然、

現れた銀髪の美女。高翌嶺の花が突然現れたと有って驚き固まる部員達。

エンジンを車から離脱させる作業の真っ直中、それに対応できる部員は皆無であった。

94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:12:31.87 ID:+/qM9e7v0

ややあってエンジンをおろし終えた部員達は、銀髪の美女に見取れつつ、

その主から発される声にまたもや驚くハメになる。何故か。それは、見目麗しい

彼女の外見からは想像だに出来ない内容だったからであった。


「私にふさわしい車を探せ。報酬ははずむ。」

95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:13:53.13 ID:+/qM9e7v0

いっそのこと、自動車部に入部してみればと部員達はラウラに勧めたが、

彼女はレースなどに出るつもりはなく、部活に出る時間が有るなら、その分

走っていると返答。交通安全とダートトライアルに己の青春をそそぎ込む彼らに、

ラウラを口説き落とすのは土台無理であった。それならばと、せめて学内で

1,2位を争う美女に少しでもお近づきになろうと思うのが人情、それもあっけなく

嫁宣言で砕かれれば、最早、部員達に残された選択肢は、素直にラウラの

望みを叶えることだった。

96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:17:07.45 ID:+/qM9e7v0

「で、どんな感じの車がいいの?」


元々、人が良いのが揃っている自動車部。腹が決まれば、親身になって

ラウラの相談にのるのも車好きの使命と意気込んだが、ラウラ自体が車の

種類に詳しくなければ、具体的な車種まで名が及ぶことはない。とりあえず、

4つのタイヤとエンジンが付いているものが最低条件だと冗談だか本気なんだか

判らない事をラウラから言われ、困り果てた部員の1人が旧車のバモスを

勧めたところ、意外にも反応が上々、何となく方針がつかめた部員が、今まで

持っていた彼女に対するイメージを一新し、ジープや旧車のランクル等を

勧めてみた。本当は、ちょっとかわいげのあるカブリオレなんか似合うんじゃないか

と部員達は考えていたが、それならばとロードスターを薦めたところ、


「防御がしにくい」


と却下されてしまった。良い車なんだが…。ちなみに、旧車のバモスを一言で

表すならば、鉄のアングルにタイヤを着けた車。と言った具合か。

97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:17:56.97 ID:+/qM9e7v0

1____
 ○ ○

↑本当にこんな車だ。ロードスターと変わらぬオープンの車なんだが、

4人乗れるか荷物が積めるのが条件のひとつだと語り始めたことから、

堅実な車の方がよいのでは?と部員達は気づき始めた。ただ、軽トラックは、

さすがに嫌みたいで、そこは女の子と言ったところだろうか。否、

後でひっくり返されるのだが。

98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:18:52.85 ID:+/qM9e7v0

程なくして、日が落ちてしまったこともあり、部活動も解散せねばならず、

ラウラの車相談は一旦お開きになった。帰り際、自動車部部長がラウラに


「友人に、持っている車を聞いてみればいいかも。」


と、アドバイスをくれたので、ラウラは早速手近な友人に電話を

掛けることにした。一人目は、シャルロットだ。

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:19:49.46 ID:+/qM9e7v0

とある事情で故国フランスに帰ったシャルロットに事情を話すと、

シャルロットは相変わらずの優しさでラウラの疑問に答えた。


「フィアット500って言う車だよ。今の僕には、これくらいの大きさの方が

 性に合ってるし、それにちょっと事情があって、しょっちゅう買い物に

 出かけないといけないからね。」

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:21:06.34 ID:+/qM9e7v0

仕事場と家の往復では?とラウラが尋ねるとシャルロットは、少し

動揺したのか、なぜか声が上擦りながら答えた。


「ほら、1人だとなかなかね、面倒というか、纏めないと大変で、えと、

 無くなると大惨事だし…。変な車だと乗せるときに頭とかぶつけて…。

 なんでもない。」


全く参考にならなかった。ただ、人によって事情が変わるから、車の種類も

変わるのではと言うことだけは判ったラウラだった。

101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:22:42.35 ID:+/qM9e7v0

翌日、早朝から休日の一夏をたたき起こしたラウラは、

一夏に車を選んだ理由を尋ねた。


「通勤で使うから、運転しやすい車にしたんだ。ただ、

 金がなかったから、大した車買えなかったけど。」

102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:24:11.95 ID:+/qM9e7v0

そういうと、ベッド脇に脱ぎ捨ててあったつなぎに手を伸ばし、ポケットから

カギを差し出す。ラウラは、それを奪い取ると、勢いに任せ一夏の頬にキスを

かまし、脱兎のごとく部屋を出た。閉まりかけた部屋のドアから、やたら騒がしい

騒音が聞こえたが、ラウラは全く気にしない。部屋を出た勢いを保ったまま、

駐車場にある一夏の車に初心者マークを投げつけると、そのまま運転席に飛び乗った。

シートポジションをなおしたら、続いてイグニッション。ニュートラルを確認して、

クラッチを踏み込みキーを回す。この瞬間は、どんな車に乗っても一夏の車独特の、

もっとも教習者も同じだったが、ミッション車の醍醐味だとラウラは確信して止まない。

ただ、勿体ないことにラウラは、一夏が所有するこの車の名前を知らなかった。

103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:24:49.23 ID:+/qM9e7v0

水温が上がるのを待っている間、ダッシュボードにある車検証入れを取り出して名前を調べると、

名前と共に、この車がいかに古いかが判った。HONDA today 平成8年式のマニュアル。

骨董品とも言えるこの車は、廃車寸前を一夏が8万円で買い取った車だ。車体が小さいので、

取り扱いもしやすい。税金も安い。しかし、走った距離は、判らない。正確には

メーターが1周以上してしまった上に、メーター自体が壊れ、別の車から移植したため、

多分、と言った具合にしか判らないのだ。それでも、22万kmちかく走っていると

一夏から知らされてから、なんだか、歴戦の戦士と共にいる様な気分。ラウラは、

遙か先輩に胸を借りるようにハンドルを握り、気持ちよく走れる川沿いの道目指して

走り出した。他人の車で。


「やはり、マニュアルは楽しい…。」

104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/16(木) 23:25:46.64 ID:+/qM9e7v0

ひとしきり運転を楽しんだラウラは、朝ご飯はおろか、危うく昼ご飯まで

逃すんじゃないかという時間に一夏のアパートまで帰ってきた。そのまま、

一夏に連れられ昼ご飯をたかる。一応、燃料は満タンにしておいたので、

収支はトントンだ。ただ、自分の悩みはコントンのまま。


「セシリアとかにも聞いてみれば?」


とのたまう一夏に感謝をし、昼ご飯をかっこむと、飯屋の駐車場でセシリアに電話をかけた。


108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:37:23.73 ID:IIzqthqi0

「私のくるまですの?実は、私も最近免許を取りまして、自動車を

買い求めたので、皆さんにご覧に入れようかと思いますの。お時間下さる?」


願ったり叶ったり。早速、待ち合わせの場所へ足を伸ばすと、セシリアは

すでに待ち合わせの駐車場に来ていた。浜辺の公園にある駐車場。まばらに

止まる車の中に、ボディが一段と手入れされた大きな車が止まっていた。

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:39:30.36 ID:IIzqthqi0

「ご覧下さって、ラウラさん。」

内装を見るよう勧めるセシリアを程々無視し、運転席に直行したラウラは、

座ってみるなりシートの柔らかさに顔をしかめた。しかも、前が見にくい。

長身のセシリアならいざ知らず、背の低いラウラには、この車は不向きのようだ。

車種を尋ねると、セシリアはこう答えた。トヨタアルファード。こういった

車は選ぶまいとラウラは固く心に誓った。

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:43:42.59 ID:IIzqthqi0

さて、ここまで来ると概ね自分の乗りたい車が大まかながら固まってくる。

基本的にオートマ車は却下だ。あまり楽しくない。それから、椅子の高さが

選べる車が良い。セシリアのアルファードも高さが変えられたが、シートを

ふかふかにされたせいで、高さが大して稼げなかった。そして、堅実なデザインと

空間の広さ。人が沢山乗れるか、若しくは荷物が沢山乗るか。出来れば、便利で

変わった装備が付いていると、なんだかお得感があって良いかもしれない。お金に

糸目は付けないので、軍属の私にふさわしい堅牢な感じの車を探そう。ラウラは

コンビニにおいてある中古車雑誌のとあるページに注目すると、先日登録したばかりの

自動車部員達に電話を掛けた。


トゥルルルルルルルルルルルル…

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/02/17(金) 21:44:27.66 ID:IIzqthqi0

数ヶ月たったある日、一夏の携帯に一本の電話が掛かった。相手はセシリア。

23時と言う時間もあって、何やらよぎる嫌な予感に一夏は、出ようか出まいか

一瞬悩み、ため息を一発放つと、覚悟を決めて電話に出た。

112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:45:12.63 ID:IIzqthqi0

「おいhなちvふぉいえjcうぇtjwws;おいwwてm;んう゛」

切ろうかと思ったが、そう言うわけにも行かない。セシリアが落ち着くの

を待つと、何事かと聞いてみることにした。

113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:45:57.12 ID:IIzqthqi0

車をぶつけましたの…。

期待通りと言うべきか、ほらやっぱりどうしようもない。と、よぎった

悪い予感に感謝しつつ、何処にいるかを聞き出した。どうしようもなく山の中に

一瞬呆れながら、一夏は、一度は脱いだ仕事着にもう一度袖を通すと、車を

走らせセシリアの元に向かった。

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:47:00.99 ID:IIzqthqi0

ざっくり刺さっていた。完璧にガードレールとキスしたセシリアの車は、

エンジンもかからず、山の中に取り残されていた。シートベルトをしっかり

締めていたのと、携帯電話の電波が届いたのが救いだったか、ともあれ

セシリアは、ひとまず温かい一夏の車に冷えた体を吸い込ませる。彼女曰く、


「下りからカーブを曲がろうとしたら、曲がりませんでした…。」

115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:49:02.32 ID:IIzqthqi0

何の奇跡か良く谷に落ちなかったと、セシリアを無傷で生還させた

ガードエールとエアバックに感謝した一夏は、そのガードレールから

セシリアの車を引き外そうと試みたが、がっちり食い込んで離れない。

もっとも、一夏の車は、セシリアのそれに比べると遙かに軽い軽自動車。

だてに黄ナンバーは付けていなかった。仕方なく、一夏は、さらなる

応援を召還することにした。

116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:49:38.71 ID:IIzqthqi0

何の奇跡か良く谷に落ちなかったと、セシリアを無傷で生還させた

ガードエールとエアバックに感謝した一夏は、そのガードレールから

セシリアの車を引き外そうと試みたが、がっちり食い込んで離れない。

もっとも、一夏の車は、セシリアのそれに比べると遙かに軽い軽自動車。

だてに黄ナンバーは付けていなかった。仕方なく、一夏は、さらなる

応援を召還することにした。

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:50:03.14 ID:IIzqthqi0

何の奇跡か良く谷に落ちなかったと、セシリアを無傷で生還させた

ガードエールとエアバックに感謝した一夏は、そのガードレールから

セシリアの車を引き外そうと試みたが、がっちり食い込んで離れない。

もっとも、一夏の車は、セシリアのそれに比べると遙かに軽い軽自動車。

だてに黄ナンバーは付けていなかった。仕方なく、一夏は、さらなる

応援を召還することにした。

118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:52:03.02 ID:IIzqthqi0

おや、なぜか2回?


「どなたを呼んでいただけますの?」


ラウラだよ。と軽い返事。それを聞いたセシリアは、あからさまに顔をしかめた。


「ラウラさんですか?そう言えば、彼女、とっても名前の優しい車を買ったと

お喜びになっていましたが、彼女の車で本当に助かるのですか?」


もっとも、ラウラの車を見たことのないセシリアにとって、ラウラみたいな小柄な

女の子の乗る車に頼りたくないと言った具合だろうが、一夏の判断が間違いで

なかったことに1時間後、セシリアは気付かされた。応援にふさわしい、

ラウラの愛車。ここに現る。

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:53:21.61 ID:IIzqthqi0

力強いエンジン音。実用性に富み、無骨で頑丈なボディ。6個の大きな

タイヤに支えられた車体。日本の物流を支え、一台で荷役までこなす

腕までついた頼れる車。自動車部諸君らのつてをたよって紹介を受けた

ディーラーで、2年の保障を付けて貰らい、細かい整備まで受けた

一生物の宝物。可愛い名前もお気に入りの逸品。


いすゞ エルフ。


セシリアは、人生で初めて合点がいった事を体で表した。

120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:54:46.15 ID:IIzqthqi0

うなりを上げる車載クレーンに引っ張られたセシリアの車は、あれほど

食い込んでいたのにも関わらず、ガードレールからいとも簡単に引き離され、

そのまま愛車の荷台に乗せられた。ラッシングベルトで締め付けられる

セシリアのアルファードは、見るも無惨なフロントを後ろに晒し、寂しく佇む。


「これが妖精なんですの?騙されましたわ…。」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:56:34.62 ID:IIzqthqi0
エルフの助手席に乗り込んだセシリアにラウラは、お茶缶を差し出す。

長距離でも耐えられるよう設計されたラウラの愛車、エルフ3トンは、

冷温庫もついたワイド車で、トラックの癖してなかなか余裕の大きさだ。

トラックというものに触れたのも初めてなセシリアにとって、意外と

乗りごごちの良いキャビンは、何か悪い冗談に引っかかったかのような気分に

なった。自分の車が後ろに乗せられたことも含めてだ。しかし、

ラウラはそんなセシリアの驚愕も全く気にすることなくハンドルを握る。

友人の役にも立てたので、すこぶる上機嫌だ。

122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 21:59:47.44 ID:IIzqthqi0

ラウラの口から鼻歌も飛び出し、この珍しい状況にセシリアは、助手席に

座りながら悪い夢でも見ているんだと信じ込むことにした。町を目指す

ラウラの愛車に身を委ねたセシリアは、夜明けの町に近づく車に運ばれて、

ラウラの歌を子守歌に、ほんの少しの間だけ目をつぶることにした。

目が覚めたら、この悪夢がさめていますように、と、叶うことのない

願いを頭の中に思い浮かべながら。



いつまでも いつまでも 走れ走れ、いすゞのトラック
どこまでも どこまでも 走れ走れ、いすゞのトラック

みなぎるチカラ ブルンブルン… がんばるチカラ ブルンブルン…


抜粋 「いすゞのトラック」
歌:KAZCO 作曲:奥居史生 作詞:ツカダマコト 著作:いすゞ自動車株式会社


-終-

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 22:07:07.51 ID:IIzqthqi0

以上でネタ切れです。お付き合いいただき有り難うございました。

ちなみに、ラウラが免許を取ったのは、旧時代の設定です。現在、初心者で3トン
は乗れませんので、悪しからず。

本当は、日野レンジャーにしようかと思ったのですが、いすゞの歌を知って、エルフにしました。
いすゞのHPに公開されていますので、知らない方は参照して下さい。

では、いづれ。


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