1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:38:30.08 ID:DQDeU4oI0
アイギス「システムオールグリーン、起動完了であります」
女「おはよう、アイギス。気分はどう?」
アイギス「問題ありません」
女「アイギス、おはようって言われたら挨拶しましょ?」
2 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:40:58.89 ID:DQDeU4oI0
アイギス「おはようございます、女博士」
女「うん、おはよう。AIを少し修正したから思考に変化があるはずなんだけど。変わった感じはないかしら?」
アイギス「いまのところ変化は認識していません」
女「そう。まぁ、起きたばっかりだしね。今日もいつもどおりのカリキュラムでいくわよ。今日はコレ、賢者の贈り物。知ってるかしら?」
4 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:42:40.29 ID:DQDeU4oI0
アイギス「博士、この絵本はアイギスのメモリに登録してあります」
女「おおまかな概要を説明できる?」
アイギス「貧しい夫婦がお互いにプレゼントを買い与える話です」
女「もうちょっと詳しくお願いできるかしら?」
7 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:45:10.72 ID:DQDeU4oI0
アイギス「クリスマスの日、夫は妻にプレゼントを買うために懐中時計を売り、妻はプレゼントのために自分の毛髪を売りました。しかし夫のプレゼントは髪飾り、妻のは懐中時計のチェーンであり、お互いのプレゼントは無駄になってしまったという話しであります」
女「・・・・・アイギスはこの絵本から何を感じ取った?」
アイギス「事前に意志の疎通を潤滑にし、意思の行き違いをなくすべきだと思いました」
8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:47:24.15 ID:DQDeU4oI0
女「それはちがうわ、アイギス。たしかにお互いに買ったプレゼントは無駄になってしまったわ。けれど、それ以上に自分の大切なものを手放してまでお互いを想う心の暖かさがどれほど大切か説いているのよ。理解できないかしら?」
アイギス「理解不能であります。アイギスの思考では心の暖かさと言うものを理解出来ません」
女「うーん。そうね、例えば。私がアイギスになにかプレゼントをあげたら、アイギスはどう思う?」
9 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:49:21.90 ID:DQDeU4oI0
アイギス「博士はアイギスにとって特別な存在であります。そういったカテゴリの人物から贈り物をされると嬉しいと認識します」
女「つまりどういうことかしら?人間らしく説明して」
アイギス「うれしいであります」
10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:52:09.25 ID:DQDeU4oI0
女「そうよ。それが嬉しいよ、アイギス。逆に私がアイギスからプレゼントを貰っても嬉しいわ。それも理解できるかしら?」
アイギス「理解できています」
女「アイギスが私にくれたものが、かけがえのないものを犠牲にしたものなら私はなおさら嬉しいわ。たとえそれ自体に意味がなくてもね。あなたからの思いやりを貰ったんだもの」
アイギス「理解不能であります。思いやりとプレゼントの優先度や相互関係が認識出来ません」
女「・・・・・わかったわ。今日はここまでにしましょう。お疲れ様」
11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 21:54:26.85 ID:DQDeU4oI0
数時間後
桐条鴻悦「女君、アイギスの思考AIはどうなっている?」
女「簡単な感情を理解し、それにともなった行動が可能です。しかしまだ人間らしさは希薄で自立的に人の感情を理解し、人に彼女自身を理解させることはできません。」
桐条鴻悦「しかし、今日のやりとりを見たところきちんと会話は成立していたが?」
女「事務的なことに関して言えばそうかもしれません。しかし彼女の思考はまだまだ幼いのです。言葉の意味は知っていても、その本質を理解することができません」
12 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:00:10.07 ID:DQDeU4oI0
桐条鴻悦「いいかね、女君。アイギスを対シャドウ兵器として運用するにはペルソナ能力が不可欠だ]
桐条鴻悦「ペルソナ能力使うには忠実な兵士のような強靭な精神力が必要なのだ。絵本を読んで言葉の本質を知るというのはそれにあてはまるのかね?強靭な精神とは何事にも動じない鋼のような心だと思うのだが」
女「ペルソナ能力の原動力は人の喜怒哀楽だとも聞いています。総帥のおっしゃるままにAIを操作すれば、それは感情のないただの兵器ですわ」
桐条鴻悦「なにも感情を無くせと言っているのではない。無駄な感情は時に自分を弱くすると言いたいのだ。・・・・・君の仕事は人のようなAIを作ることではない。対シャドウ用兵器のAI、ペルソナの使える兵器を作ることだ。忘れるな」
女「・・・・・はい、わかっております」
女(己の利益しか追えない下衆が・・・・!)
13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:02:42.95 ID:DQDeU4oI0
数週間後、実験室
アイギス「起動完了。博士、おはようございます」
女「おっ、自分から挨拶するなんてえらいわ。よしよし」ナデナデ
アイギス「博士に喜んでもらえるとアイギスも嬉しいであります」
16 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:05:30.10 ID:DQDeU4oI0
女「ふふっ、アイギスが喜んでいると私も嬉しいわ」
アイギス「最近、自分に新たな感情が生まれていくのを感じます」
女「えーと、それはどういうことかしら?」
アイギス「博士が嬉しいならアイギスも嬉しいであります。博士が悲しいならアイギスも悲しいであります」
17 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:08:27.97 ID:DQDeU4oI0
女「なるほど。それならこの前の絵本も理解できるんじゃないかしら?」
アイギス「・・・・理解できます。」オドオド
女「・・・・・・本当に?」
アイギス「申し訳ありません。嘘をつきました。本当は理解できていません」
女「ど、どうして嘘をついたの?」
18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:11:29.84 ID:DQDeU4oI0
アイギス「アイギスが理解したと言えば博士に喜んで貰えると思ったからであります。博士に喜んで貰えるとアイギスは嬉しいからであります。だからアイギスは嘘をつきました」
女「それよ!アイギス!いま、あなたの言ったことこそ賢者の贈り物そのものなの」
アイギス「しかしアイギスはなにも贈り物をしていません」
女「でもあなたは私を喜ばせたい一身で嘘をついたわ。あなたにとって嘘は絶対的に駄目なはずなのに。それをわかっていながらあなたは私のためにそれをしてくれた。これこそが思いやりであり心の暖かさよ」
19 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:14:09.70 ID:DQDeU4oI0
アイギス「思いやり・・・心の暖かさ・・・・。理解出来ません。いいえ、理解できてるのかもしれませんが、うまく言葉にできません」
女「そういうものよ。あなたはきっとわかっているわ」
アイギス「そうでしょうか・・・」
女「しかし、堅苦しいわね。理解できましたじゃなくて、もっと他の言い方ないかしら?・・・・・なるほどなーとか」
アイギス「なるほどなー」
20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:16:24.32 ID:DQDeU4oI0
女「・・・・・・まぁいいわ。お疲れさま。今日はここまでにしましょう」
アイギス「お疲れ様でした」
女「そうよ、アイギス。よくできました」ナデナデ
女「今日覚えたことは大切なことよ。忘れないでね」
アイギス「なるほどなー」
女「・・・・・・・・」
21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:19:23.38 ID:DQDeU4oI0
数日後、研究施設内
桐条武治「女君、ちょっといいかな?」
女「これは、社長。どうされました?」
桐条武治「最近、アイギスがますます人間らしくなってきたね。君の研究の賜物だ」
女「ありがとうございます」
桐条武治「しかしそのせいで父と衝突しているとも聞いている」
女「・・・・・・・はい」
23 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:22:55.30 ID:DQDeU4oI0
桐条武治「先に断っておくが、私は全面的に君の考えを支持するつもりでいる」
桐条武治「・・・・・父は野心にとりつかれて変わってしまった。私たちが作ろうとしているのはシャドウを駆逐する兵器ではない。人々を守るためのものだ。感情のない兵器、下手をすれば人殺しの道具になるかもしれない」
女「ご安心ください。私はそんなもの作るつもりなどありません。」
桐条武治「それを聞いて安心したよ。私の方でも色々と働きかけてみよう。少しでも力になれるといいんだが」
女「ありがとうございます。ご期待に沿えるよう努力します」
24 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:25:38.40 ID:DQDeU4oI0
研究施設、通路
アイギス(今日は博士がたくさん褒めてくれた。嬉しい)トコトコ
アイギス(ん?なにか聞こえる・・・・・)
研究員1「女さんのアイギスに対する熱意はハンパないな」
研究員2「たしかに。付き合わされるこっちの身にもなってなってほしいよな」
25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:28:03.26 ID:DQDeU4oI0
研究員1「いくら人の思考に近いAIが出来ても所詮は機械だし。なにより兵器にそんなモンいるのかな?」
研究員2「総帥は間違いなく要らないって言うだろうな。あの人、冷徹だから」」
研究員1「いくらやっても俺たちの給料が変わるわけでもないしな」
研究員2「ハハハ、全くだな」
26 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:30:48.62 ID:DQDeU4oI0
研究員1「・・・・・これは噂なんだけど女さん、昔小さいお子さんを亡くして、それ以来子供を産めない体質らしいぜ」ヒソヒソ
研究員2「・・・・・だからアイギスにあんなに首っ丈なのか」
研究員1「自分の理想の子供を投影してるんだろうな」
研究員2「気持ちはわからなくはないけど・・・・」
27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:33:21.85 ID:DQDeU4oI0
研究員1「アイギスを自分の娘みたいに思うのは勝手だけど、結局はシャドウとドンパチやる兵器だぜ。」
研究員2「ああ、そうだな。こんなこと言いたくないけど、機械に人の心を求めるなんて哀れだな」
アイギス「・・・・・・・・・・・・・・・・」
アイギス(所詮たしは機械。そんなことはわかっている)
アイギス(だけど。だけど、こんなに悲しくなるのはなぜだろう)
28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:36:10.16 ID:DQDeU4oI0
研究施設内、役員室
桐条武治「総帥!これはどういうことですか!」
桐条鴻悦「どうした?武治」
桐条武治「なせアイギスに重火器を装備させる必要があるのですか?!アイギスには十分な運動性能とペルソナ能力があります。」
桐条鴻悦「シャドウはまだ解明されていない部分が多い。用心するに越したことはなかろう?」
桐条武治「それにオルギアシステムもです。女博士の報告ではシステムの負荷に精神が耐えられず、日中でも10分が限界だそうです」
29 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:39:03.38 ID:DQDeU4oI0
桐条武治「時間の流れが不安定な影時間ではとても運用できるシロモノではありません」
桐条武治「それ以上にシステムを起動すれば思考システムがオーバーロード、もしくは制御不能になると報告されています」
桐条鴻悦「バックアップはあるのだ。使い物にならなくなったら変えればいい。問題なかろう」
桐条武治「本当にそれだけですか?」
桐条鴻悦「・・・・何が言いたい?」
31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:41:38.87 ID:DQDeU4oI0
桐条武治「率直に伺います。シャドウを完全に掌握したあと、父上はペルソナ装備型の人型兵器を某国に対人用に売り込むおつもりですね?」
桐条鴻悦「なにを言い出すかと思えば・・・」
桐条武治「確かな筋からの情報です。・・・・・・・・重火器を内蔵させるのも、オルギアシステムも戦争の道具にはもってこいですからね。」
桐条武治「シャドウの軍事利用もお考えになさってるとか・・・」
桐条鴻悦「・・・・だったらなんだというのだ。あれは金になる。売り込むにはもってこうだろう」
33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:45:49.21 ID:DQDeU4oI0
桐条武治「父上、考え直してください。我々が開発した彼らはそんなことに使われるべきではありません。ましてやシャドウの軍事利用など・・・。あれは人にどうこうできるものではありません」
桐条鴻悦「だからお前は駄目なのだ。目の前に使えるものがあるのにモラルだの外聞だのを気にして使おうとしない。いいか、この世界は競争世界なのだ。誰かがやる前にやらねば生き残れんぞ」
桐条武治「だからといってなんでもしていいわけではありません」
桐条鴻悦「いいか、武治。シャドウの力を利用できればエネルギー革命を起こせる。それ以上のことだって可能なのだ。いい加減わかれ」
桐条武治「そんなことわかりたくもありません。シャドウの実験で何人犠牲になっていると思っているのですか。直ちに中止すべきです」
34 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:48:24.57 ID:DQDeU4oI0
桐条鴻悦「ここまでにいくらかかったと思っている。いまさら止めることはできんよ。」
桐条鴻悦「それにあたらしい技術の開発に犠牲はつきものだ。痛みなくして改革なし。昔、どこぞの政治家も言っていたな」
桐条武治「あなたという人は・・・!それが人の上に立つ者の言う事ですか!」
桐条鴻悦「おまえに何を言われようが考えを曲げるつもりはない」
桐条武治(女博士、すまない。私の力ではどうにもならないようだ・・・。)
35 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:50:27.87 ID:DQDeU4oI0
研究施設屋上
女「いい天気ね。今日はここでお昼寝でもしましょうか」
アイギス「アイギスにお昼寝機能は搭載されていません」
女「冗談よ。今日はここでお話しましょうか。調子はどう?」
アイギス「上々であります。思考が停滞することが少なくなってきています」
38 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:52:31.84 ID:DQDeU4oI0
女「それはよかった。今日は絵本じゃないわ。景色を見ながら雑談しましょう。アイギスはここからの景色は好き?」
アイギス「博士は好きでありますか?博士が好きならアイギスも好きであります」
女「私のことはいいの。アイギスはどう思う?」
アイギス「・・・・・・なんとも思えません。空はただ空でしかなく、ここからの気色も同義であります」
39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:54:56.09 ID:DQDeU4oI0
女「そう。でもあなたならきっと近いうちにこの景色のことも理解できるわ。そんな気がする」
アイギス「・・・・・そうでしょうか。アイギスは対シャドウ用兵器であります。ここの景色を理解することはできないでしょう」
女「アイギス?どうしたの?なんか変よ」
アイギス「私はシャドウと戦うために作られた存在。所詮、機械です。人間にはなれません」
女「・・・・・・・・・・・誰かに何か言われたの?」
40 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:57:21.96 ID:DQDeU4oI0
アイギス「言われたわけではありません。噂を耳にしました。」
女「・・・・確かにあなたは人間じゃないわ。でもね、アイギス。私はあなたには人間として生きてほしいと思っているわ。」
アイギス「博士が私に優しくしてくれるのは、自分は博士の娘の身代わりだから。スペアだからとも聞きました」
女「・・・・・それは・・・・。」
アイギス「博士が私に優しくしてくれたのが、かつての娘さんに向けてのものだと考えたら。なんだかギスギスします。嫌であります」
42 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 22:59:31.11 ID:DQDeU4oI0
女「・・・・私があなたに娘を投影していないと言えば嘘になるわ」
女「でもね、私はあなたをもう一人の娘として接してきたわ。それに私はあなたが自分の娘だったらいいなとも思ってる」
アイギス「でも私は機械です。あなたの期待には応えられません」
女「あなたはちゃんと人の心を持ち合わせているわ。こうして心が傷ついているのがその証拠よ。」
アイギス「・・・・・・・・」
43 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:02:33.66 ID:DQDeU4oI0
女「私があなたの母親じゃ嫌かしら?」
アイギス「そんなことありません。とてもうれしいであります」
女「私もあなたのママになれたらうれしいわ。・・・どうかしら、私たち親子にならない?」
アイギス「現行の法律では私と博士が親子になることは不可能であります」
女「そんなの関係ないわ。あなたと私は心を通わせた。これって親子になれる証拠だと思うの」
アイギス「心を・・・・通わせた・・・・・・」
44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:04:39.99 ID:DQDeU4oI0
女「アイギス、ママって呼んで?」
アイギス「ママ・・・・。なんでしょう・・・とても・・・・。よくわからない感情です。言葉に出来ません」
女「ふふ、そういうものよ。人間の言葉の大切な部分はね、言葉に表せないのよ」
女「言葉に出来なくても心が通じているわ。それでいいじゃない」
アイギス「わかりません。とても・・・・・暖かい気持ちです」
45 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:08:06.75 ID:DQDeU4oI0
女「そうだ。これを付けてっと」
アイギス「これは?」
女「私の使ってたリボンよ。アイギスは髪短いから、チョーカー替わりにしましょう。ほら、可愛くなった」
アイギス「ありがとうございます。うれしいであります」
女「かわいい子ね」ギュッ
アイギス(ママの体、暖かい。とてもいい気持ちであります)
女(この子には絶対に人殺しの道具になんてなってほしくない。させるものですか)
女(わたしがなんとかしなくては)
46 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:11:01.14 ID:DQDeU4oI0
研究施設内、実験室
桐条武治「博士、すまない。アイギス、及び対シャドウ用兵器に重火器とオルギアシステムの搭載が決定した。わたしの力不足だ。本当にすまない」
女「頭をお上げください。社長のせいではありませんわ」
女「それに・・・アイギスは私の娘です。彼女のためにベストを尽くします」
桐条武治「・・・・あなたを見ているとなんだか羨ましく感じる。あなたとアイギスは血が繋がってないどこらか、人間と機械だ。私にも娘がいるが、二人を見ていると本当に私達は親子なのか不安になるよ」
女「社長が思っている以上にお嬢さんは社長のことを信頼していますよ。見ていてわかります」
女「それに、私とアイギスは血は繋がっていなくても心が繋がっています。それで十分ですわ」
47 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:13:24.24 ID:DQDeU4oI0
桐条武治「あなたは強いですね」
女「母親ですもの。母は子のためならなんでも出来るんですよ」
桐条武治「前から一度聞いてみたかったんですが。博士は何故我々に協力してくれるのですか?」
桐条武治「我々が博士に持ちかけた話はシャドウと戦う兵器用のAIの作成でした。私は協力を得るのは無理だと思っていましたが」
女「はじめは協力することで得る研究資金が目的でした。私たち科学者にとって資金はいつも足りないものなのです」
48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:15:30.96 ID:DQDeU4oI0
女「しかし開発が進むにつれ彼女に自分の娘を重ねていることに気づきました。次第に彼女に向けられる愛情は増し、ついこの前私の娘になってと告白しました。どうか笑ってください」
桐条武治「・・・・・・・・」
女「そして今は、彼女のために働いています」
女「シャドウ制圧が完了すればアイギスは戦場に駆り出されるでしょう・・・・。残念ながら私にはどうしようもありません。そんな彼女のために私が出来ることは、あの子に絆を与えることだと思います」
女「どんなにつらい事があっても信頼しあっている絆さえあれば乗り越えられるはず。私はそう信じています」
49 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:18:02.30 ID:DQDeU4oI0
ポートアイランド、深夜
女(こんなに遅くなってしまった。早く帰らないと・・・)
女(なに?この感じ・・・。なにか違和感が・・・)
女(月が黄色い・・・!)
女(時計が深夜12時で止まっている・・・!)
50 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:20:28.60 ID:DQDeU4oI0
女(影時間・・・!)
女(私に影時間への耐性はない・・・。ということは)
シャドウ「ウボァー」
女「アイギス・・・・。」
女「ごめんなさい・・・・・。あなたともっと・・・・」ガクン
51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:22:55.99 ID:DQDeU4oI0
研究施設内、医務室
女「・・・・・・・・」
アイギス「ママ・・・・・。影人間になってしまった・・・・・」
女「・・・・・・・・」
アイギス「アイギスはやっぱり機械のようです。」
アイギス「こんなに悲しいのに、泣くこともできないし悲しい顔すら作ることができない」
52 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:25:24.99 ID:DQDeU4oI0
女(アイギス・・・。それは違うわ)
アイギス「ママは私と心を通わせたと言ってくれた。でもアイギスにはどれがどういうことかわからない」
女(この想いをあなたに伝えたいのに、意識が重い。遠のいていく)
アイギス「私は所詮機械、人にはなれませんでした」
女(あなたにもいつかわかる日が来るわ。きっと・・・)
アイギス「ごめんなさい。ママ・・・・」
女(いつか・・・いつかきっと、あなたと心を通じ合える人が現れる。きっと・・・・)
53 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:27:36.47 ID:DQDeU4oI0
十年後、月光館学園屋上
アイギス(十年前は全くわからなかったここからの景色)
アイギス(突き抜けるような空の蒼)
アイギス(見下ろすポートアイランドの建物)
アイギス(行きかう人たち・・・・・)
アイギス(こんなに愛おしいものだったなんて)
アイギス(十年前にあなたがここでわたしにくれたモノも今ならわかる気がします)
アイギス(あなたが私をどれほど愛してくれていたこともわかると思います)
54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:30:20.93 ID:DQDeU4oI0
アイギス(信じること、信頼されること、愛すること。結ばれる絆。)
アイギス(こんなに、こんなに心を満たしてくれる)
アイギス(ありがとう、ママ)
アイギス(機械の私にも人を愛することが出来ました)
アイギス(今なら屈託なく、心の底から言うことができます)
アイギス「キタローさん」
アイギス「あなたと心を通わせたこと、ずっとこのからだに残したいんです」
おわり
55 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/07/29(木) 23:32:29.73 ID:DQDeU4oI0
スレにお付き合いくださり、ありがとうございました
ベルソナ3 アイギス (1/8スケールPVC塗装済み完成品)
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