34 :1:2014/01/15(水) 18:39:43 ID:edFSKD9E
――美木杉の部屋――
美木杉「……つまり、君はこう言いたい訳だ。今まで僕と色々あんなことやこんなことをしてきたのは、全て鮮血に甘く美味なる血を与えるためだったと」
流子「いや、決してそう言いたい訳じゃ」
美木杉「てっきり僕は、互いに好いて好かれたが故に一線を越えたとばかり思っていたが、どうやら思い過ごしだったようだね」
流子「だから、そんなつもりじゃないって」
美木杉「じゃあどんなつもりだったのかな」
流子「それは……」
美木杉「大事な神衣の為に僕にその身を委ねていたという訳か。なんという自己犠牲の精神、すごいねぇ尊敬しちゃうねぇ纏くん」
流子「確かに鮮血は大事だけど、そんな」
美木杉「竿要員なら他をあたってくれ。気性はともかく、君の顔と身体なら放っとく男なんていないだろう」
流子「…………」
35 :1:2014/01/15(水) 18:40:41 ID:edFSKD9E
流子「私も酷いこと言ったかもだけど、あんただって相当だな」
流子「私がそんなこと出来る訳ないって、分かってて言ってのけるんだから」
美木杉「出来るさ。簡単だ」
流子「…………解った。無理だと思うけど、やるだけやってみる。邪魔したな」
美木杉「……我ながら、何というみっともなさ」
美木杉「……いい大人が、小娘泣かせて何やってんだか」
36 :1:2014/01/15(水) 18:41:34 ID:edFSKD9E
――無星生徒用ケーブルカー内――
流子「…………」
鮮血「……泣くな、流子」
流子「ん……、悪ぃな、鮮血」
鮮血「まさか本気で男を引っ掛けに行くつもりはないだろうな?」
流子「……まさか」
鮮血「それを聞いて安心した」
流子「確証はないけど、解るんだ。私の血を甘くすることが出来るのは、あの先公だけだって」
鮮血「ああ。確証はないが、私もそう思う」
37 :1:2014/01/15(水) 18:42:36 ID:edFSKD9E
――満艦飾家・風呂場――
流子「…………」ザブー
マコ「流子ちゃん? お邪魔するよ」ヒョッコリ!
流子「わ、マコ! 狭いって」
マコ「二人で入れば薪代の節約になるって母ちゃんが。……あと、流子ちゃんなんか落ち込んでるみたいだから」
流子「……ごめんな、なんか気ぃ使わせちまって」
マコ「気なんか使ってないよー。ちょっと流子ちゃんの心身を案じただけー」
流子「そういうの、気ぃ使うって言わね?」
マコ「……やっぱ二人で入ると狭いね」ザブー
流子「ドラム缶風呂に二人は、相当無理があるな」
マコ「……で? また先生絡みでしょ? 流子ちゃんを落ち込ませることが出来るのなんて、先生位のもんだから」
流子「言葉が足りないせいで、どうにも誤解が生じてしまってな」
38 :1:2014/01/15(水) 18:43:38 ID:edFSKD9E
マコ「足りない分の埋め合わせはちゃんとしないとねぇ」
流子「埋め合わせ?」
マコ「私もあんまり言葉は知らないけど、言わなきゃわかんないことっていっぱいあるよね?」
流子「簡単に言えればそう苦労はしないんだけどな」
マコ「簡単じゃなくても言うべきことは言っといた方がいいんじゃないかな?」
流子「……まぁな」
マコ「なんだったら、今から行ってきたら? 父ちゃん達には、私から言っておくから」
流子「ありがとな、マコ。……じゃ、ちょっと行ってくる」ザブー
マコ「待って流子ちゃん! ……もうちょっと、あったまってかない?」
流子「?」
マコ「流子ちゃんが上がったら一気にお湯が減っちゃって……さ、寒い」
39 :1:2014/01/15(水) 18:45:11 ID:edFSKD9E
――スラム街・場末の飲み屋――
美木杉「…………」
流子「……先公?」
美木杉「……早速、男を引っ掛けに来たのかい?」
流子「ああそうさ。……ただし、あんたをな」
美木杉「よくここにいると解ったな」
流子「私だったら、こんな日はあの部屋には居たくないからな。……随分と、探したぜ?」
美木杉「……それはまたご苦労様。多々ある場末の飲み屋から、よく見つけ出せたね」
流子「入り口からざっと店内を見渡して、綺麗な顔の男がいなかったらサヨウナラ。その繰り返しだ」
美木杉「……とりあえず、出ないか? こんな所、君みたいな娘が居ていい場所じゃない」
40 :1:2014/01/15(水) 18:46:22 ID:edFSKD9E
美木杉「出たはいいけど……さぁどうしようか」
流子「スラム街に、深夜営業のカフェなんて小洒落たもん期待すんじゃねぇぞ……へくちっ!」
美木杉「大丈夫かい? ……って、髪が冷たいな」
流子「風呂上がって、髪乾かすのもそこそこに出てきたからな。湯冷めしちまったみたいだ」
美木杉「このままそぞろ歩いていてもお互い冷え込むだけだな。……あんなところに、妖しいネオンの宿が」
流子「…………」
美木杉「…………」
流子「……寒いから」
美木杉「……話がしたいから」
流子「……仕方ないよな」
美木杉「ああ、仕方ないね。……入るか」
41 :1:2014/01/15(水) 18:47:33 ID:edFSKD9E
――連れ込み宿――
美木杉「海の見える小綺麗なホテルじゃなくて悪かったね。……温まったかい?」
流子「どうせ話をするだけだ。あの書類だらけの狭い部屋が連れ込み宿に変わった所で、今更どうってことねぇよ。」
美木杉「風呂上がりなのにまた鮮血を着込むとは無粋だね」
流子「話をするだけなのに上半身裸でスタンバイしているあんたの方がおかしいんだよ」
美木杉「鍛え方が違うから大丈夫さ」
流子「普段から脱いで脱いで脱ぎまくってるもんな」
美木杉「……なぁ流子くん、僕らはそんな話をする為にここに入ったのかい?」
流子「……そうじゃない」
42 :1:2014/01/15(水) 18:49:26 ID:edFSKD9E
美木杉「核心に触れるのは正直怖いが、その辺はきちんと話し合っておこう。流子くん、改めて訊くけど……」
流子「…………」
美木杉「僕と一線を越えたのは、鮮血により甘く美味な血を与えるため?」
流子「……そうじゃない」
美木杉「……」
流子「と言ったら、嘘になる」
美木杉「…………そうか」
流子「そんなあからさまにがっかりすんな。こっちだって正直あんたにゃがっかりしてんだ」
美木杉「どうして?」
流子「私が惚れてこいつだけって思って一線を越えた相手が、大人のくせに服にまで嫉妬してしまうような度量の狭い男だったとはな、って」
美木杉「それは君だって同じだろう。最初の時にそんなことを言ってたくせに」
流子「そこを突かれると痛い。……とりあえず、私は言ったからな」
美木杉「何を?」
流子「ちゃんと聞けや! …………その、惚れた、って」
美木杉「おやおや」
43 :1:2014/01/15(水) 18:50:33 ID:edFSKD9E
流子「もう二度と言わねぇからな」
美木杉「何回でも聞きたいのにな」
美木杉「では僕も認めよう。流子くん、君の言う通り僕は鮮血に嫉妬していた。君と鮮血との絆を承知した上でだ」
流子「……」
美木杉「いい年した大人が、服にだよ? 我ながらなんたるみっともなさだ」
流子「……本当にみっともないな」
44 :1:2014/01/15(水) 18:51:32 ID:edFSKD9E
美木杉「僕だって人の子だ。こんなに格好良いけど嫉妬もするしトイレだって行くさ。まさか木の股から生まれたとでも思っていたかい?」
流子「…………」
美木杉「思っていたのか」
流子「いや、自分のことを格好良いって言い切るその性根にドン引きしてた」
美木杉「嫌いじゃないくせに」
流子「みっともないよ」
美木杉「君だってみっともないさ。必死こいて僕を探し回ったくせに」
流子「お互い様か……っておい、抱くな迫るな頬ずりすんな」
美木杉「そんなみっともない同士が今からするのは?」
流子「…………知らねぇよ」
美木杉「気持ちいいこと」
45 :1:2014/01/15(水) 18:52:23 ID:edFSKD9E
流子「……天井が、違う」
美木杉「天井?」
流子「あんたの肩越しに見る天井が違うなって。……そういえば、あの部屋以外でするのって、初めてだ」
美木杉「天井のシミでも数えておくかい?」
流子「数えられる程の理性が残ってればいいけど」
美木杉「本気で乱れた時の君は凄いからな。まぁ、君のそんなところも好きだよ」
流子「…………!!!」
美木杉「どうした? 流子くん、そんな突然真っ赤になって」
流子「……初めて言われた」
美木杉「何が?」
流子「その…………、好き、って」
46 :1:2014/01/15(水) 18:55:28 ID:edFSKD9E
美木杉「言ってなかったっけ?」
流子「ねぇよ! 今まで、ただの一回も」
美木杉「てっきり言ってたものとばかり」
流子「可愛いとか、その辺は汲んでくれとかは言われたけど……」
美木杉「…………もしかして、君が散々嫌い嫌い連呼していたのって」
流子「言うな」
美木杉「本当に、なんて面倒くさい女の子なんだ君は」
流子「言うなってば」
美木杉「でも、その面倒くささが僕は堪らなく好きなんだ」
流子「もういいから! 言うなって」
美木杉「ごめんなぁ流子くん。僕の方こそ言葉が足りなかった」
流子「…………言うな」
美木杉「いいや今夜は何回でも言わせて貰うよ。……好きだ、流子くん」
47 :1:2014/01/15(水) 18:56:54 ID:edFSKD9E
――早朝・スラム街――
流子「……ふあぁ……太陽が黄色いぜ……」
鮮血「大丈夫か、流子」
流子「んー、すっげぇ目がシパシパする。ねみぃ」
鮮血「寝る間を惜しんで励むからだ」
流子「もうちょいオブラートに包もうな?」
鮮血「……流子、私から言わせればな」
流子「?」
鮮血「お前ら二人とも面倒くさい」
流子「返す言葉もねぇや」
鮮血「何故お前たちは、もっと素直に愛することが出来ないんだ」
流子「昨夜は素直になったんだからいいだろ」
鮮血「結果オーライというやつか」
流子「そうそう素直になってたら、こっちの身が持たねぇよ。あいつにゃあん位で、丁度いい」
48 :1:2014/01/15(水) 18:58:15 ID:edFSKD9E
――早朝・満艦飾家――
流子「ただいまー……って、朝からバタバタ何やってんだ?」
マコ「あ、おかえりなさい流子ちゃん! 又郎とガッツが朝からふざけてたら襖が外れちゃって、ハメ直してたところなんだ」
薔薇蔵「……で? 流子ちゃん達はハメたら直ったのか?」
流子「おかげ様で……ってオイ! マコ、おじさん達になんて言ったんだ!?」
マコ「えーと……先生んちの襖が外れちゃって調子がおかしいから、ハメ直してくる? みたいな?」
流子「上手いこと言ったつもりか」
49 :1:2014/01/15(水) 18:59:28 ID:edFSKD9E
おしまい
最後までエロくならなくってごめんなぁ流子くん
50 : ◆44WQS/8FDE:2014/01/24(金) 18:30:47 ID:woAvC/tI
乙
キルラキル ガッツのもふもふスマホケース
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