1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 22:42:30.46 ID:XPg3DVKe0
尭深「は、はい!今年は」
照「…そう」
尭深「宮永先輩は…?」
照「私は、毎年、寮に残る」
尭深「そうなんですか…」
照「うん」
尭深「……」
照「……」ペラッ
尭深「……」
照「……」ペラッ
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 22:46:16.13 ID:XPg3DVKe0
尭深「し、静かですね…」
照「…みんな、帰省してるから」
尭深「いつも、そうなんですか?」
照「この季節はいつもそう」
尭深「へぇ…」
照「……」
尭深「……」
照「……」ペラッ
尭深「……」
照「……」ペラッ
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 22:48:20.21 ID:BvTGIaB30
支援
http://amzn.to/1dNzY6f 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 22:51:13.93 ID:XPg3DVKe0
尭深「えっ…と、なんだか別世界みたいですね?」
照「…そう?」
尭深「だって、みんながいるときは、もっと騒がしくて」
照「あぁ」
尭深「こんなに静寂が続くなんて、嘘みたいです…」
照「たしかに」
尭深「いつもは、淡ちゃんがイタズラしたり」
照「あー…」
尭深「誠子が巻き込まれたり…」
照「…菫が叱ったり?」
尭深「そうですそうです」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 22:59:07.10 ID:XPg3DVKe0
照「尭深は、だいたい黙って見てるだけだけど」
尭深「あはは、そうなんですけど…」
照「…けど?」
尭深「私、その雰囲気が結構好きで」
照「…へぇ」
尭深「その…白糸台の麻雀部ってもっと厳しいところかなって思ってて」
照「強豪だからね」
尭深「しかも、寮生活だなんて、不安だったんです」
照「あぁ。そういうものなんだ?」
尭深「はい、私は。でも、虎姫はすごくアットホームで」
照「…そうだね」
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:04:15.26 ID:XPg3DVKe0
尭深「なんだか、家族みたいじゃないですか?」
照「…家族?」
尭深「弘世先輩がしっかりもののお母さんで…」
照「あぁ…そんな感じ」
尭深「誠子がお父さんで」
照「娘に舐められそう…」
尭深「ふふ、淡ちゃんが可愛くて生意気な末っ子です」
照「やっぱり…」
尭深「宮永先輩は…そうだなぁ…」
照「私は…」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:08:15.34 ID:XPg3DVKe0
尭深「寡黙な姉って感じですね!」
照「姉…」
尭深「あんまり喋らないけど、優秀で、みんなに尊敬される…」
照「…そんなに大したものじゃないよ」
尭深「えっ?」
照「……」
尭深「……」
照「……」ペラッ
尭深「……」
照「……」ペラッ
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:15:15.92 ID:XPg3DVKe0
尭深「えぇっと…いい天気ですねー」
照「…そう?」
尭深「……」
照「……」
尭深「あ、このお茶美味しいです」
照「…私は、お茶の味とか分からない」
尭深「……」
照「……」
尭深「……」
照「……」ペラッ
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:22:03.50 ID:XPg3DVKe0
尭深「あ、あのっ!」
照「!!」
尭深「え、えっと」
照「…どうしたの?」
尭深「…先輩はどうして帰省されないんですか?」
照「……」
尭深「……」
照「……」
尭深「あ、もしかして言いにくいこと…」
照「…尭深は?」
尭深「えっ」
照「尭深はどうして帰省しないの?」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:29:16.69 ID:XPg3DVKe0
尭深「あ、うちはその、いつもは普通に帰るんですけど」
照「……」
尭深「今年は、母の出産がもうすぐなんです」
照「…出産?」
尭深「はい。この年になって急に」
照「へぇ…」
尭深「母も父も、そのことで頭がいっぱいですし。今年は控えようかなぁ、と」
照「そうなんだ…」
尭深「この年で、急にお姉ちゃんになるって言われてもびっくりですよね」
照「…そうかもね」
尭深「でも、やっぱり楽しみです。家族が増えるなんて」
照「…私が」
尭深「?」
照「私が帰省しないのは、家族がバラバラだから」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:33:07.66 ID:XPg3DVKe0
尭深「えっ…」
照「私には本当は妹が一人いて、4人家族だった」
尭深「は…初めて聞きました…」
照「でも、すれ違いや、偶然が重なって、仲が悪くなってしまった」
尭深「先輩…」
照「私は、家に居るのが嫌で、寮のあるこの学校に入った」
尭深「そうだったんですか…」
照「麻雀の強豪校だったから、みんな納得したけど、私はただ逃げたかっただけ」
尭深「そんな…」
照「母や、父や、妹の気持ちなんて考えなかった」
尭深「……」
照「だから、みんなから尊敬される姉なんて…」
尭深「あっ…」
照「私には相応しくないよ」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:36:54.75 ID:XPg3DVKe0
尭深「……」
照「……」
尭深「…え…っと…」
照「…ごめんね。急にこんな話」
尭深「あ!い、いえ!」
照「みんなには言わないで。気持ちのいい話じゃないし」
尭深「は、はい…」
照「じゃあ、するなって思うかもしれないけど…」
尭深「やっ、そんなことは…」
照「…お腹空かない?」
尭深「……え?」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:40:10.11 ID:XPg3DVKe0
照「私は空いた」
尭深「えぇっ…と…夕飯の時間はもうすぐですけど…」
照「え?」
尭深「…え?」
照「この期間は食堂もお休みだよ?」
尭深「えっ…そうなんですか?」
照「うん」
尭深「知りませんでした…」
照「夕飯の用意とかは…」
尭深「全く…」
照「…そう。じゃあなにか作るよ。軽いものでよかったら」
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:42:54.89 ID:XPg3DVKe0
尭深「えっ」
照「一人分も二人分も変わらないし」
尭深「そ、そんな…」
照「気にしないで」
尭深「じゃ、じゃあ私も手伝います!」
照「…分かった」
尭深「えぇっと、なにを作るんですか?」
照「サンドイッチ」
尭深「本当に軽いものですね…」
照「りょ、量の調節が簡単だから…」
尭深「そ、そうですね!」
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:49:32.40 ID:XPg3DVKe0
照「私は、たまごサラダを作るから、尭深は適当にパンとか具材とか切ってくれればいいよ」
尭深「分かりました」
照「……」カチッ
尭深「……」トントン
照「……」
尭深「……」トントン
照「……」
尭深「…どうしてそんな話を私に?」
照「えっ」グツグツ
尭深「あ、沸騰してますよ」
照「あぁ、うん」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:54:27.30 ID:XPg3DVKe0
尭深「どうして、内緒にしている家族の話をしてくれたんですか?」
照「あー…」
尭深「……」
照「尭深に、その、妹ができるって話を聞いて…」
尭深「えっ」
照「私みたいにならないように、その、家族を大切にしろっていうか…」
尭深「……」
照「私が偉そうに言えたことじゃないんだけど…」
尭深「…くすっ」
照「わ、笑わないで…」
尭深「あはははっ先輩!」
照「ちょ…そんなに…」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/25 23:57:22.34 ID:XPg3DVKe0
尭深「…ふ…ふふっ…私…妹なんて一言も言ってませんよ?」
照「えっ…」
尭深「今度、生まれるのは男の子です。弟ですよ」
照「っ…!」
尭深「妹さんのこと、気になってるんじゃないですか?」
照「!!」カァアアアア
尭深「…会いにいけばいいのに」
照「……」
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:01:07.23 ID:og2rKKUr0
尭深「…どうしたんですか?」
照「…それは無理だよ」
尭深「どうしてですか?」
照「妹は一度、私に会いに来た」
尭深「え!よかったじゃないですか?」
照「でも、私は一言も口を聞かなかった」
尭深「え…」
照「口を開けば、言い訳しかでてこないと思ったから」
尭深「そんな…」
照「そうしたら、きっと、妹は軽蔑すると思ったから」
尭深「……」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:04:37.70 ID:og2rKKUr0
照「だから、なにも言わなかった」
尭深「……」
照「妹は、私が怒ってると思ったみたい」
尭深「……」
照「それで、今さらどうするの?」
尭深「……」
照「……」
尭深「…茹であがってますよ」
照「えっ、あぁ、うん」カチッ
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:08:02.28 ID:og2rKKUr0
尭深「…妹さんってどんな人なんですか?」
照「えっ…」
尭深「教えてください」
照「えぇっと…おとなしくて…」
尭深「はい」
照「優しくて…」
尭深「見た目の特徴でお願いします」
照「えっ…と、髪は…短くなってた」
尭深「…私くらい?」
照「より短い」
尭深「そうですか…」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:11:52.34 ID:og2rKKUr0
照「身長は…あ」
尭深「?」
照「尭深と同じくらいかな」
尭深「…そうですか」
照「うん」
尭深「じゃあ、私を妹だと思ってください」
照「えっ…っとうわっ!」ガチャン
尭深「…大丈夫ですか!?」
照「尭深、今なんて…?」
尭深「私を妹だと思ってください」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:14:43.75 ID:og2rKKUr0
照「えっ…無理だよ…」
尭深「どうしてですか?」
照「だって、咲…妹は眼鏡かけてないし」
尭深「今はかけてるかもしれません」
照「…たしかに」
尭深「ほら、妹ですよ」
照「…そんなに胸、大きくないし…」
尭深「今は大きくなってるかもしれません」
照「えー…それは…」
尭深「……」
照「ないと思う…」
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:17:51.10 ID:og2rKKUr0
尭深「…お姉ちゃん!!」
照「!?」ビビクン
尭深「お姉ちゃんは…私のなにを知ってるんですか…?」
照「ちょ…尭深…」
尭深「なにも…言ってくれなかったくせに…」
照「うっ…」
尭深「言い訳でもなんでも、私はお姉ちゃんの言葉が聞きたかったです…」
照「……」
尭深「悪いと思ってるなら…行動で示してください…」
照「でも…」
尭深「お姉ちゃん!」ギュッ
照「!?」
尭深「会いたいです…お姉ちゃん…」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:20:49.44 ID:og2rKKUr0
照「……」
尭深「……」
照「…尭深」
尭深「…尭深じゃありません」
照「…妹は、私に敬語は使わないよ?」
尭深「あっ…」バッ
照「……」
尭深「ごめんなさい…」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:24:57.47 ID:og2rKKUr0
照「どうして謝るの?」
尭深「勝手なことを言って…」
照「ううん」
尭深「…?」
照「…ありがとう」
尭深「!!」
照「…たまごサラダはできたけど」
尭深「えっ、あっ、こっちも切れてます」
照「じゃあ、適当に挟んで食べようか」
尭深「は、はい」
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:27:39.01 ID:og2rKKUr0
照「…いただきます」
尭深「い、いただきます!」
照「……」ムグムグ
尭深「あ、甘いですね…このたまごサラダ…」ムグムグ
照「…そう?」ムグムグ
尭深「はい」ムグムグ
照「……」ムグムグ
尭深「……」ムグムグ
照「…うちは、いつもこんな味だったけど」
尭深「そうなんですか…」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:31:20.67 ID:og2rKKUr0
照「……」ムグムグ
尭深「……」ムグムグ
照「…また、家族で食べれる日がくるかな?」
尭深「!!」
照「……」
尭深「きますよ!だって…」
照「だって…?」
尭深「先輩は、白糸台の理想のお姉ちゃんですから!」
カン!
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:32:28.76 ID:8ixnu+gl0
このタカミー孕ませれば弟と同い年の子供ができるね
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [] 2013/09/26 00:32:41.81 ID:og2rKKUr0
白糸台が寮と聞いて、つい書いてしまいました
照は帰省とかしないんだろうなぁ
では、支援してくださった方がたありがとうございました!
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