1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:08:37.63
のんたん聖誕祭に乗り遅れるわけにはいかない!!
希BDSS……かな?
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:09:18.48
絵里「急でごめんね、希。今日はちょっとだけ練習の開始時間を遅らせることになったの」
希「あれ、そうなん?」
にこ「そうなのよ~、やっぱりにこったらどこでも引っ張りだこでー、学校の仕事の助っ人が必要なんですって!」
絵里「私は生徒会の会議があるし、」
海未「私はというと弓道部の用事がありまして……」
ことり「こ、ことりは穂乃果ちゃんと一緒に衣装の買い出しに……」
穂乃果「そうそう!」
真姫「わ、私は新曲の最終調整があるから!
凛「凛はねー、花陽ちゃんと一緒にかざりt
花陽「そう!! 次のステージで使う小道具の調達に行かなきゃなんだよね!!!!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 03:10:02.26
希「そ、そうなん……? でも、エリち、生徒会の仕事ならウチも行かなくてええん?」
絵里「いいのいいの。生徒会長だけで済む話し合いだからね。ということで、申し訳ないんだけど、希はどこかで時間でも潰してもらえると……」
希「そっかー。部室で本でも読んでおこうかな?」
8人「ぶ、部室はダメ!」
にこ「そうなの、ダメなのよねー、えーと、……海未が弓道部の部室に鍵置き忘れちゃって、全くもう海未ったらほんと忘れん坊で何やってんだかって感じよね~!! あははは」
穂乃果「そ、そうそう! 海未ちゃんってばー穂乃果のこと言えないおっちょこちょいなんだから~」
海未「そ、そうなんですよー」ピキピキ
ことり「そ、そうそう! ……あはは」
希「……え、っとぉ、……じゃあ、図書室にでもおるよ!」
絵里「そうして! ええ! そうして貰えると準備がはかどるわ!」
バシっ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:10:43.13
絵里「いたっ、あ、そう、そうなの、会議の準備がはかどるわー、そうなのよー。……急な話だけど、ごめんね?」
にこ「……ま、まぁゆっくりしてなさい!? 一応今日の部活は16時半からスタートの予定よ!! その時間になったら来るのよ!」
花陽「じゃ、じゃあまたあとでね!」
凛「楽しみにしててにゃー!」
バシ!
凛「いったーい!」
希「はいはい」
希(まったく、みんな嘘をつくのが下手なんやから……ふふっ)
絵里「じゃあまたあとでね!」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 03:11:16.93
希(今からウチの誕生日会の準備でもするんやろなー。どのメンバーの時もやってるんやし、もうそろそろ隠さなくてもいいんやない?)
希(と、まあ、すっごくうれしいんやけどね)
希(やることもないし、有言実行で図書室でも行こかな?)
ガチャ
希(ん……!! な、なに? 急に眩しい光が……!)
**
希「……、あー、びっくりした!」
希「何やったんかな。……って、あれ?」
希「……ウチ、図書室に入ったはず、やんな……?」
希「ここ、教室やん」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 03:11:47.54
穂乃果「……誰?」
希「って、穂乃果ちゃん?!」
穂乃果「なんで穂乃果の名前知ってるの!?」
希「なんでって、当たり前やん」
穂乃果「……だ、誰?」
希「……ん?」
穂乃果「……ここは穂乃果しかずっと居ないはずの場所なのに、誰?」
希「穂乃果ちゃん、ウチが、わからんの……?」
穂乃果「……わからないや」
希「……なんか不思議な世界に来てしまったみたいやね。しかも、よーく見ると、穂乃果ちゃん、心なしか幼い……?」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 03:12:47.71
穂乃果「ここは穂乃果の心の中の世界だよ。だから、誰も入ってこれないはずなのに、あなた誰?」
希「ウチは、東條希って言うんやけど……。穂乃果ちゃんは……今、いくつなん?」
穂乃果「15歳、中学3年生だよ」
希「中学生か! ということは、ここは中学生の穂乃果ちゃんの心の中の世界ってこと? 何でこんなとこに来てしまったんやろ? ……うーん、スピリチュアルやね」
穂乃果「どこかで会ったことある?」
希「うーん、今は無いかも知れないけど、そのうち、会うと思うよ?」
穂乃果「そのうち……?」
希「ってまぁそれは置いといて、穂乃果ちゃん、なんだか元気ないみたいやん?」
穂乃果「! ……なんでわかるの?」
希「……うーん、いつもの穂乃果ちゃんを知ってるから、かな」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 03:14:32.36
穂乃果「……変なの」
希「ウチも変やと思うし、早くもとの世界に戻りたいけど、……そんな顔してる穂乃果ちゃんはほっとけないしね」
穂乃果「東條、さん……」
希「なんかその呼び方されるとくすぐったいなぁ。いつもみたいに、希ちゃん、でええよ? さ、何か悩んでるなら、このウチに何でも言ってみ?」
穂乃果「希ちゃん……。希ちゃんは、友達に、置いてかれるような……そんな気持ちになったことある?」
希「友達かー、っていうと、海未ちゃんか、ことりちゃん?」
穂乃果「何でわかったの!? 何で海未ちゃんもことりちゃんも知ってるの!? も、もしかして、希ちゃんって……女神様なんじゃ……」
希「そんな大げさなものやないよ……ふふふ」
穂乃果「そうなんだ……。2人の、ことだよ」
希「置いて行かれるって、どういうこと?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:15:22.34
穂乃果「……2人がずっと先に行ってて、このまま穂乃果も置いて行かれたらどうしようって、思うの」
希「そんなことはないと思うんやけどなぁ。何でそう思うん?」
穂乃果「進路の、こと……。ことりちゃんは、お母さんが理事長をやってるから、もう進路を音ノ木坂学院っていう高校に決めてるんだ。成績も合格圏内だって言ってた」
希「ふむふむ」
穂乃果「……海未ちゃんも、高校はもう音ノ木って決めてるみたいなんだ。海未ちゃんなら、賢いし……当然だよね」
希「で、穂乃果ちゃんは?」
穂乃果「……2人とも、ずっと小さい時から一緒にいた。だから、もちろん高校だって一緒のところに行きたい! ……でも、でも、お母さんも、学校の先生も、みんな、穂乃果には無理だって」
希「なるほどねー。穂乃果ちゃん、ちょっと勉強面では心配やからなぁ」
穂乃果「もう! 希ちゃんまで! でも、確かに穂乃果にはレベルが高いし、……このまま、みんなの言う通り自分のレベルにあった学校に行こうって決めて、今日の進路相談で先生にもそう報告したんだ」
希「……そっか」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:16:43.49
穂乃果「2人は、穂乃果の先を、ずっとずっと先を歩いてて……。穂乃果だけ、置いてかれてる気がして」
希「穂乃果ちゃん。穂乃果ちゃんが本当に行きたいのは、音ノ木坂なんやろ?」
穂乃果「……うん」
希「……じゃぁ、答えは出てるやん。音ノ木坂を目指して、頑張らないとね!」
穂乃果「で、でも! 今からじゃもう穂乃果にはどう頑張ったって……」
希「そんなの無茶。……だから、諦めるん?」
穂乃果「……」
希「……夢がある。やりたいことがある。だから、やる。だから、がむしゃらに頑張る。それが、穂乃果ちゃんやないん? 少なくとも、ウチが知ってる穂乃果ちゃんはそうやけどなぁ?」
穂乃果「希ちゃん……」
希「……きっと2人も、少し先で、穂乃果ちゃんを待ってるはずよ? ……だから、諦めたら、ダメ」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 03:34:02.13
穂乃果「……そうだよね! えーい! 何で弱気になってたんだろ!! 頑張らないと! もっともっと頑張って、2人と一緒の学校に行きたい!!」
希「ふふ。その意気や! ……にしても、ずっと皆を引っ張ってる穂乃果ちゃんも、置いてかれるような気持ちになることもあるんやね」
穂乃果「穂乃果だって悩みくらいあるよー! でも、」
希「その度に、誰かが助けてくれる。そうやって穂乃果ちゃんも、ウチも、……μ’sは、今までやって来たんやから」
穂乃果「みゅーず……石けん?」
希「そ。石けんではないんやけどね。穂乃果ちゃんには、もう少ししたらスクールアイドルを……μ’sを結成して貰わないといけないんやから頑張ってもらわないと! ……ちょっとでも気抜いたら、わしわしMAXをお見舞いやよ~!」
穂乃果「ヒイ!? 何それ!? もう、希ちゃん何を言ってるのかわかんないよぉー!」
希「まーまー、そのうちわかるはずよ」
穂乃果「希ちゃんは、一体何者……?」
希「うーん、穂乃果ちゃんの未来で出会う、μ’sを支える、μ’sの一番のファンで、μ’sの……一員、かな?」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:34:33.87
穂乃果「未来!? ……なんのことかわかんないけど、μ’sっていうのが希ちゃんにとって大切なものっていうのはわかったよ」
希「そういうこと。って、もう少しで約束の時間やん! ここから出られる方法、知ってる?」
穂乃果「知らないけど……そこの入り口から入って来たんだから、そこから戻れるんじゃ無いかな?」
希「そうか! 穂乃果ちゃんもいつもみたいな元気な顔になってくれたし、ウチはお先に! みんなが待ってるからね!」
穂乃果「……希ちゃん、行っちゃうの?」
希「ふふ。もう少し成長したら、また、会えるよ。音ノ木で、待ってる!」
穂乃果「そっか! じゃぁますます頑張らないとね!」
希「そうやで! さぼってたらわしわしMAX! 忘れたらあかんよー!」
穂乃果「ヒィ!!」
希「ふふ。じゃあね!」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 03:35:05.28
穂乃果「……希ちゃん!」
希「ん?」
穂乃果「希ちゃん、ありがとう。すっごく元気になったよ! 穂乃果、頑張る。頑張って頑張って、絶対に海未ちゃんやことりちゃんたちと同じ学校に行く! だから、それまで、待ってて」
希「ふふ。……待ってる」
穂乃果「それと……お誕生日おめでとう!」
希「え!? な、なんで知ってるん?!」
穂乃果「あれ!? ほんとだ……でも、何でだろう、何でか言わないとって思って・…・」
希「ほーんま、スピリチュアルやね。穂乃果ちゃん、ありがと!」
穂乃果「うん! また、またね!」
希「……まだもう少し時間はあるけど、早く戻らないと!」
ガラっ
希(過去の、穂乃果ちゃん……ほんま、不思議な話やったな。あとで穂乃果ちゃんに話そっと!)
希「わわわ!! ま、また! まぶしっ……!!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 04:38:16.25
希「……って、戻れてない!! 図書室じゃない! 教室でもない! ここは……ど、道場?!」
???「だれですか!」
希「!! こ、この子……、海未ちゃん!?」
海未「なんでわたしのなまえをしってるんですか……?」
希「いや、小さいけど確実に海未ちゃんや……!」
海未「なんなんですかあなたは! いきなりはいってきて、だれですか?!」
希「えーと、ウチは、希っていうんやけど……、海未ちゃんは、いくつ?」
海未「5さいです!」
希「か、可愛い……!」
海未「キャー!! たすけてー!!」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 04:38:56.02
海未「キャー!! たすけてー!!」
希「わわわ、ちょ、海未ちゃん!?」
海未「知らないあやしいひとにあったらこうやって大声をあげましょうってようちえんの先生がいっていました。キャー! たすけてー!」
希「待って! ウチは怪しくないよ! 怪しくないから!」
海未「だって、わたしのせかいに入ってくるなんて……あやしいです!」
希「海未ちゃんの世界……って、さっきの穂乃果ちゃんのみたいなあれか! だ、大丈夫、怪しくないよー、ほら、ウチ、……女神様! そう、女神様やから! ……って苦し紛れすぎる……?」
海未「……!! 神さま……? わたしを、助けにきてくれたんですか……?」
希「さ、さすが子供やね……。そうなんよー、ウチ、女神様! って、海未ちゃん、助けって……なにか困ったことでもあるん?」
海未「……友だちに、きらわれちゃったんです」
希「あちゃぁ。これまた、穂乃果ちゃんに、かな?」
海未「そうです! やっぱり神さまはなんでもしってるんですね」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 04:39:44.97
希「ふふ、当たり前やん? それで、どうして嫌われてしまったん?」
海未「ほのかが、私の、……私のこと、ばかって言ったんです」
希「あら」
海未「それで、それでね、私も、ほのかの方がもっとばかですって言ったら、ほのかがわたしのこと、もうきらいって言ってね……それでね、それでね、……ほのかが……ぐすっ」
希「そっか。……ほら、海未ちゃん、泣いたら可愛いお顔が台無しよ? ほら、ウチのお膝においで」
海未「……ぐすっ」トテトテ
希「ふふっ。でも、なんで、そんなことになったんかな?」
海未「いっしょにプリキュア見ようねっていって、ほのかが、むかえに来てくれたのに、私がおきてなくて……。せっかくきたのにって、ほのかがおこって」
希「ほう……海未ちゃんも小さい時は寝坊もしたんやね」
海未「それで、そしたらね、ほのかが、わたしのことばかっていったんです……!」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 04:41:12.33
希「まーたかわいらしい喧嘩やね」
海未「けんか……?」
希「そうそう。けんかって、知ってる?」
海未「……しりません」
希「友達とか、大切な人とか、家族とか。そういう人たちと、時にはくだらないことで、時にはとっても大事なことで、思いをぶつけ合って、ごっつんこしてしまうことよ」
海未「ごっつんこ……。だから、だから……きゅーって、いたいのですか?」
希「きっと、そうやね。穂乃果ちゃんは、海未ちゃんと一緒にプリキュアを見るのが楽しみで仕方なかったんやろうね。嫌われたんじゃなくて、悲しかったんと違うかな?」
海未「……!」
希「喧嘩をしたらね、仲直りしないとダメなんよ?」
海未「……なかなおり?」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 04:42:01.05
希「そう。また一緒に、仲良く遊べるようにならないと、ね?」
海未「あそび、たい……ぐすっ」
希「そう。だったら秘密の呪文があるん。それはね、ごめんなさい」
海未「ごめん、なさい……」
希「そ! ごめんね、って。また、穂乃果ちゃんと一緒に遊びたいよ、って。穂乃果ちゃんに言うんよ。そしたらきっと、穂乃果ちゃんも、ばかって言ってごめんねって、言ってくれるはずや。出来る?」
海未「……うん。がんばります……!」
希「そうそう。きっと、海未ちゃんは……この先多分何度か穂乃果ちゃんとこうやってごっつんこすると思う。でも、その度に、ごめんねって、穂乃果ちゃんが言うんかも知れないし、海未ちゃんが言うんかも知れない」
海未「うん……」
希「そしたら、仲直りや! その後は、もっともーっと、相手のことを好きになってるはずよ」
海未「けんか、仲直り……」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 04:43:56.40
希「そう。……これから大きくなったら、今の海未ちゃんじゃわからないような難しいことで喧嘩もしてしまうと思う。でも、ごっつんこしたらその分だけ、ずっとずっと仲良くなれるんよ! だから、ぶつかることを恐れないで! ウチとの、約束!」
海未「……はい! ゆびきりげんまん、します!」
希「ふふっ、かーわいーなー! もう、元気になった?」
海未「はい! 希……ありがとうございます!」
希「ふふふ、ええんよ! あ、ウチもそろそろいかなきゃ」
海未「行っちゃうの、ですか?」
希「そんな顔せんでよー! ウチにも帰る場所があるんや。大丈夫! また、あえるよ。海未ちゃんが、大人になったらね!」
海未「おとな……!」
希「そう! やから、それまで、穂乃果ちゃんと、ことりちゃんといっぱい遊んでてね!」
海未「はい!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 04:45:04.64
希「じゃあ、ウチは行くね。ばいばい、海未ちゃん!」
海未「ごきげんよう! あ! 希!」
希「ん? どしたー?」
海未「おたんじょう日、おめでとうございます!!」
希「ま、また! 何で海未ちゃん、誕生日って知ってるん?」
海未「……なんでかな? わかりません! でも、おめでとうございます!」
希「ふふふ、ありがとうね! じゃあ、また、ね!」
ガチャ
希(ほんと、スピリチュアルや……。にしても海未ちゃん、可愛かった! 次こそ戻れる……といいなぁ)
希「んー! まぶしい……!」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 05:40:48.04
希「ぐう……やっぱりというかなんと言うか……」
希「こ、これは、ラーメン屋?! まさか……」
凛「にゃ、にゃー!?! 誰!?」
希「やっぱ凛ちゃんやったか……。中学生くらいかな? これ、μ’sのメンバーの過去の心の世界への旅みたい……」
凛「な、なんで凛の名前を知ってるの? っていうか、誰ー!? 凛のラーメン王国に何しに来たの!?」
希「え、えっと、ウチは希! 何かしに来たっていうか……元の世界に帰りたかったのにここに来ちゃったというか……」
凛「……まさか凛のラーメンを奪いに来たの!?」
希「もう、ちがうよー。ここって、やっぱり凛ちゃんの心の中の世界なん?」
凛「そうだよ! ラーメン食べ放題! いいでしょー?」
希「……あはは」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 05:41:40.09
凛「希ちゃん、ラーメン食べる?」
希「んーと、じゃあ、頂こうかな?」
凛「はい! お待ちぃ!」
希「あ、ありがとう」
凛「どうぞー!」
希「……凛ちゃんは食べないん?」
凛「凛は……今日は食欲なくて」
希「ふむ、何か、悩んでる、とか?」
凛「……」
希「話してみなさい! ウチはなんたって女神やからね!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 05:42:27.53
凛「……それ、寒くないかにゃー?」
希「まさか、にこっちやなくてウチが言われるなんて」
凛「……今日、スカート買ったんだ」
希「そっか。ええね!」
凛「良くない! なんで、なんで、あんなの買っちゃったんだろって……自分で嫌になって」
希「んー? なんで?」
凛「だ、だって! 凛、こんな髪の毛も短いし、全然女の子らしくないのに! なのに、なのに……バカみたいだよね」
希「……そんなこと、ないよ?」
凛「そんなことある!!」
希「誰にだって、なりたい自分っていうのはあると思うよ」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 05:43:23.55
凛「……でもやっぱり凛なんかがこんなの、おかしいよ」
希「凛ちゃんは、憧れがあるんよね。……でも実際、なりたい自分になろう! って思うのは、すごく、難しいことなのかもしれないね」
凛「っ……」
希「自信が無かったり、あとちょっとの勇気が足りなかったり」
凛「……勇気」
希「そう! それでも、誰かが背中を押してくれることで踏み出せることもある。そんな背中を押してくれる人に、きっとこの先、凛ちゃんは出会えるはずや」
凛「そう……かな……」
希「うん。そのとき、凛ちゃんも勇気をだせば、本当になりたい自分になれる」
凛「……」
希「人は、悩んで悩んで、その分だけ、成長できるんや」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 05:43:59.40
凛「うん……!」
希「これから何度も思い悩むかも知れない。でも、そのときは絶対来るから、待っててね。凛ちゃんは可愛いんやから、自信を持ってもいいのに!」
凛「……へへへ。希ちゃんが女神って言うのも……なんか本当かもって思っちゃった」
希「うん、凛ちゃんは元気なのが一番よ! これから同じことで悩んだとしても、ウチの言葉を思い出してくれて、ちょっとは気が楽になるといいんやけど、ね……」
凛「……ありがとう、希ちゃん! 元気になれたよ!!」
希「なら、よかった。今はこんなことしか言えへんけど、タイミング、っていうのがあるから、堪忍ね?」
凛「うん! 凛、そのときになったら、きっと、勇気を出してみる……」
希「うん。ウチも、そのときは一緒に背中を押すから」
凛「希ちゃんが?」
希「そうよー? ウチと凛ちゃんは、また少し後でまた出会うんやから!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 05:44:59.65
凛「少し後? 未来、とかってこと……?な、なんか信じられないような話だけど……希ちゃんが言うなら本当なのかも!」
希「ふふふ。……ごちそうさまでした。それじゃ、ウチは行かなきゃ」
凛「行っちゃうの?」
希「うん、待ってる人たちがおるからね」
凛「……凛も、希ちゃんとまたあえる時を、待ってる!」
希「ふふ! それじゃ、またね!」
凛「ん!? あ、そうだった、今日は……! 希ちゃん! お誕生日おめでとにゃー!!」
希「……なーんでみんな知ってるんかなぁ」
凛「凛はなーんでも知ってるよ! ふふ、じゃあね!」
希「うん!」
カランカラン…
希(やっぱりμ’sとであって、みんな、それぞれ変わって行けるんやね。……早くみんなに会いたくなっちゃった。でも、これ、戻れるんかな……?)
希「ひゃー、相変わらずまぶしいっ……!!」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 22:34:07.20
希「……またダメやったか。っと、真っ暗で何も見えへん……ここは?」
???「……まさか、お客さん? 遅いよぉ! もうステージは終わったにこっ☆ ……最後の、ステージがね……」
希「その声、にこっち?!」
にこ「……って、その制服、うちの生徒じゃないですかぁ! 3年生の先輩ですかぁ~? にこっ!」
希「そう、ウチは3年生! 音ノ木坂の制服を知ってるということは、にこっちはもう入学したあとなんやね。1年生か、2年生の時か……」
にこ「……って、もしかして、ファンの人じゃない? じゃあ誰……?」
希「ウチは希! ちょっとわけあってあなたの世界に迷い込んでしまったスピリチュアルな存在や!」
にこ「はぁ? 何よ、全く意味が分からないわ! っていうかファンじゃないならサービスして損した!」
希「相変わらずやね……それより、にこっち、最後のステージってどういうこと?」
にこ「……あぁ、それね。にこは、アイドルを辞めたの。……ううん、辞めるも何も、アイドルになることすらできなかった」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 22:34:33.16
希「……なんで?」
にこ「今日、一緒にアイドル研究部やってた子たちが退部届け出してきたのよ。もう、ついていけない、辛いだけだ、って」
希「にこっち……」
にこ「確かに、お客さんの数だって全然だった。あんなに頑張ってビラ配りしたのに、会場はガラガラ……。あげく、メンバーも辞めて行って!」
希「……そう、なんやね」
にこ「やっぱり夢物語なのよ、にこがアイドルになろう、だなんて。こうやって心の世界でステージを開催して、お客さんが埋まったって……、そんなの何もうれしくない」
希「だから、辞めることにしたん? ここでの、ステージも」
にこ「……そうよ」
希「……そっか。なら、仕方ないね。にこっちはアイドルに向いてなかったんかも」
にこ「……な、!」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 22:35:30.74
希「夢は、所詮、夢やもんね」
にこ「あ、あんた、何なのよ! 急に人の世界に現れて!! そんな、そんなことを言いに来たの?! にこを笑いに来たの!?」
希「……ほら、やっぱり怒った。ここで納得されたらどうしようかと思ったんやけど、そんな心配なかったね? そうでないとスーパーアイドルはつとまらんよ?」
にこ「っ……あ、あんたねぇ……」
希「ふふふ!」
にこ「……悔しかった! 辛かった! でも、でも、どうにもならない……! どうしたらいいの……」
希「夢を抱くのは、他人やない。自分よ? にこっち、自分の気持ちだけは偽ったらだめ。自分の夢だけは、自分が大切にしてあげないと。 夢は抱くだけで、おっきなエネルギーになる。それに、その夢が、……その思いが、他の人ともつながったとき、もっともっとおっきなエネルギーになるんよ?」
にこ「……夢、か」
希「にこっち、夢を捨てないで。きっとその夢は叶うから」
にこ「……な、なによ、偉そうに……、そんなの、わかんないじゃないの……」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 22:36:29.62
希「ううん、わかるよ! だってウチは、女神様やからね!」
にこ「……ハァー。あんた相手にしてると疲れるわ、馬鹿みたい。ほんと、バカ、みたい……ぐすっ」
希「ふふふ」
にこ「諦めなくて……いいのよね? 夢を、夢を、捨てなくたって、わかってくれる人が、現れるのよね……?」
希「そうよ! ウチを信じて?」
にこ「……わかったわ。もう、挫けない。もう、にこは夢を捨てない!」
希「それでこそスーパーアイドルにこっちや!」
にこ「おだてたって何もでないんだからねっ! ……ねぇ、希。ありがと! それから、お誕生日……おめでとう」
希「! ふふ、ありがとう。なんやにこっち、ずいぶん素直なんやね? にっこにっこにーなんてやってるよりよっぽど可愛いよ?」
にこ「べ、別にいいでしょそれくらい! っていうかにっこにっこにーって何よ……」
希「あ、この時はまだなかったんか……じゃぁ、ウチが伝授してあげよう! にこっちの必殺技! こうやってポーズしながら、にっこにっこにー! ってやるんよ!」
にこ「……悪くない、かも!」
希「へっへーん。じゃ、ウチはそろそろ行くね! にこっち、また!」
にこ「……また、会えるの?」
希「もちろん! やから、夢を抱いて頑張ってね」
にこ「……変な奴。まぁいいわ! ありがと! 元気でたわ。また、ね!」
希「うん!」
ガチャ
(……ふぅー。これ、μ’s全員の世界にいくんかな? ……ちょっと、楽しみなウチもおるんやけど、早く帰らないと約束の時間になってしまう)
希「ええい! 眩しい光よ、今度は目を瞑る!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/09(月) 23:19:39.22
希「……って、やっぱりダメ、か。ここは誰の心の中やろ? にしても真っ白で、なにもない部屋……」
???「だぁれ?」
希「むむ! ことりちゃんや! 可愛らしいふわふわの世界でも出てくるかと思ったけど、意外やね」
ことり「……ことりのこと知ってるの?」
希「知ってるよ! ウチは希! ことりちゃんは、今いくつなん?」
ことり「15歳だよ! 希ちゃんかぁ、よろしくね!」
希「う、うん! 順応性高いなぁ、ことりちゃん。」
ことり「へへへ。ことりの心の世界へようこそ」
希「それにしても、ずいぶんと真っ白な部屋やね?」
ことり「……心の中を、表しているからね」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 23:20:12.37
希「どういうこと? ことりちゃんの心の中は、こんな真っ白なん……?」
ことり「そう。ことりには、何も無いから」
希「んー。ことりちゃんも、やっぱり何か心にわだかまりがあるんやね」
ことり「……? わだかまり? そんなのないよ?」
希「え? そ、そうなの?」
ことり「うん、ことりには、なーんにもない、それがことりだから!」
希「つまり、もう、それが自分やって受け入れてるって、こと……?」
ことり「そう。ことりは、こうなんだ。私の幼なじみ……、海未ちゃんは高校に入ってからも、弓道部に入ってかっこいい海未ちゃんのままだし、穂乃果ちゃんはやっぱりずっとクラスの中心だし……それに比べて、私は、小さい時からずっと、後ろから2人を見てるだけ。……でも、もういいんだ。これがことりなんだから。何にも無い、それが、私……」
希「……そんなこと、ないよ」
ことり「?」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 23:20:56.39
希「ことりちゃん、ことりちゃんは、優しいよ。みんなを見守って、それで、支えてあげる、優しさ。ことりちゃんに何も無いなんてことない、優しさが、ある」
ことり「……そんなこと、ないよ……」
希「海未ちゃんが、かっこいいのは、穂乃果ちゃんが、そうやってみんなを引っ張っていけるのは……ことりちゃんが居るから。2人が少し疲れたとき、ふと後ろを見たら、にこにこって笑ってくれることりちゃんが居るから、だからまた頑張れるんよ!」
ことり「……そうなのかな」
希「そう! だから、何も無い、なんて思ったらダメよ? ……それに、きっとこの先、もっともっとことりちゃんにしかできないことが見つかるはず」
ことり「うん……! ……なんだか、とっても元気になれました。希ちゃん、ありがとう!」
希「ふふ! どういたしまして! って、うわぁ」
ことり「……わぁ!」
希「ことりちゃんの心の中の世界が、ふわふわした雲の上みたいになったよ!」
ことり「すごいね! ふわふわして、気持ちいぃ~。……なんだか、希ちゃんの優しさに包まれてるみたい! なんて……」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/09(月) 23:21:40.65
希「……ふふ、これは、ことりちゃんの優しさよ? っと、あかん! もうそろそろ行かないと……!」
ことり「えぇ? 行っちゃうの? もうちょっとゆっくりしていったらいいのに!」
希「ウチも忙しいんや! ……μ’sのみんなを、助けてあげたいからね!」
ことり「みゅ、みゅーず?」
希「そう! ことりちゃんと、ウチらが出会う場所でもあるんよ。だから、待ってるね!」
ことり「……そっか、また、会えるんだね!」
希「そう! それじゃ、また、ね!」
ことり「うん!」
希「あ、そうそう! ちょっとしたアドバイスやけど、例えば、メイド喫茶とかで働いてみたらいいんと違う?」
ことり「えぇ? め、メイド喫茶……?」
希「ふふふ! ま、ほんの冗談よ」
ことり「ふふ、希ちゃんって、不思議。まるで、女神様みたい! ……あ、そうだ、希ちゃん、お誕生日おめでとう!」
希「もう驚かないよー! ことりちゃん、ありがとう! じゃあね!」
ことり「うん!」
希「って、帰ろうにもドアがない……ど、どうしたらええん? ……って、うわぁ!! ま、眩しい光が……!」
希(次は誰やろう……。過去のみんなの、心に抱えてる、わだかまり……ウチが、少しでも、楽にしてあげれたら、な……。でも、いつになったら帰れるのー!?)
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/10(火) 00:08:54.33
ドスン!!
希「てててて……! や、優しさの世界からの移動はちょっと手厳しいんやね……」
???「だ、誰ですか!?」
希「……声を聞くまでもない、このアイドルグッズにまみれた部屋は……花陽ちゃんやね!」
花陽「!? ど、どうして、私の名前を……」
希「ウチは希! わけあってちょっと花陽ちゃんの心の中の世界にお邪魔したんよ」
花陽「エェ!? び、びっくりしました……。……はぁ」
希「ウチもびっくりよ。……って、その浮かない顔、やっぱり花陽ちゃんにも悩みがあるみたいやね?」
花陽「!! どうしてそれを……」
希「女神様やからね」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:09:23.99
花陽「……ふふふ、なんだか、面白いですね」
希「んもう、笑わんといてよー! 開き直ってるんやから!」
花陽「……私の悩みを、聞いてくれるんですか?」
希「当たり前やん! 花陽ちゃんは、ウチの大事な人やから、ね?」
花陽「? ……あ、えっと……今日、中学校の入学式があったんです。それで、星空さんっていう女の子と同じクラスになって……」
希「ほほう、凛ちゃんやね」
花陽「凛ちゃん……? 星空さんのことも、知ってるんですか?」
希「まあね! それで?」
花陽「そ、それで! えと、……友達に、なりたいな、って……でも、声を、掛けれなくて……。多分、私のことなんて、知らないと……思うんですけど、」
希「ふんふん。なるほどなるほど」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:10:05.41
花陽「星空さん、なんて言うか……私とは、正反対、で……すごく、元気で。私も、そんな封になりたいな、って……だ、だから! 私、星空さんと、と、友達に……なりたい、なって思ったんです、けど……、や、やっぱり私みたいなのが、そんなこと迷惑かなって……」
希「そんなことないよ。凛ちゃんは、きっと、花陽ちゃんとの出会いを待ってると思う」
花陽「えぇ? ど、どうして……」
希「それはそういう運命やからや! ……でもその為には、花陽ちゃんも、変わらないといけない」
花陽「……」
希「自分の殻を、破らないと。じゃないと、新しい自分にはなられへんよ?」
花陽「新しい、自分……」
希「そ! 花陽ちゃんは、そうやってこれからどんどん新しい自分を見つけて行くんや。時には誰かに背中を押してもらって、時には自分の意思で、勇気を出して。……だから、ウチは、その最初の一歩の背中を押してあげる!」
花陽「……!!」
希「うん! その、強い顔! そうでないと、憧れのアイドルにはなられへんよ!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:10:42.05
花陽「えぇ!? な、なんで、そのことまで知ってるんですか……!」
希「言ったやん、女神様やからね! だから、……花陽ちゃん。ウチはその時まで応援してる!」
花陽「わ、私がアイドルだなんて……! ふふふ、でも、ありがとうございます! 頑張って、明日、話しかけてみようと思います! ……希ちゃん、ありがとう」
希「いいんよ!」
花陽「あ……そうだ、お誕生日、ですよね? おめでとう、希ちゃん!」
希「へへー、ありがとう! それじゃ、ウチは行くね。また、音ノ木坂で待ってる!」
花陽「音ノ木坂……って、あの、高校ですか?」
希「そ! だから、また、そのときまで……、またね?」
花陽「……はい!」
希「っと、今度はちゃんとドアがあるみたいやね。さーて、残るは……エリちと、真姫ちゃん、か」
ガチャ
希(これは、花陽ちゃんが変わるための最初の最初のほんのちいさな一歩。……ちょっとだけでも力になれたら、ええんやけどな……)
希「じゃあ、次行こう!」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/10(火) 00:55:24.12
希「ふぅ、やっぱり。……戻れなくてよかった、というか、後の2人も気になるところやしね」
希「ここは……書斎かなんか? うわ! 参考書がずらりと……穂乃果ちゃんやにこっちやないけど、さすがのウチもこれはちょっと……。多分、これは……」
???「ちょ、ちょっと、誰よ!!」
希「……ビンゴ! 真姫ちゃんの心の世界やね」
真姫「!? な、何で私の名前を……あなた一体誰よ?」
希「ウチは希! 訳があってみんなの心の中にお邪魔する女神さんよ!」
真姫「はぁ? 何それイミワカンナイ」
希「はははー。って、真姫ちゃん、心の中でも勉強?」
真姫「……そうよ、悪い?」
希「い、いやー、やっぱすごいな」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:55:56.92
真姫「当たり前よ。こうでもしないと、パパやママの期待に応えられないわ」
希「はー、そうか、真姫ちゃんの家は病院やったもんね」
真姫「そうよ。だから私も医学部に入らないといけないの。それに、高校受験も近いんだし、勉強しないといけないの。……わかったら、邪魔しないでとっとと出て行ってくれる?」
希「それは出来んなぁ。……そんな悲しそうな顔の真姫ちゃん、ほっとけないよ」
真姫「な、何がよ!? べ、別に悲しくなんてないわ!」
希「そう? ん、この布で覆ってるモノは何やろう……?」
真姫「さ、さわらないで!」
希「ははーん、ピアノやね! ……音楽、か……」
真姫「触らないでって言ったでしょ! ……音楽は、もう、辞めたのよ」
希「……勉強の、為に?」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:56:24.51
真姫「そうよ! ついこないだ、ピアノの発表会があった。そこで、私は音楽を辞めるって決めたの」
希「なんで?」
真姫「当たり前でしょ! 音楽なんてやってる暇あったら勉強しないと……」
希「でも、やりたいんと違う?」
真姫「そ、そんなわけ!」
希「だって、ここは、真姫ちゃんの心の中の世界や。ピアノがまだあるっていうことは、まだ、音楽、やりたいんと違う?」
真姫「……」
希「真姫ちゃん、音楽は、いつから?」
真姫「……小さいときからよ。ママが、教養の為に始めさせたの。私も最初はよくわからないままだったけど、やっていくうちにどんどん音楽が好きになっていって……。でも、でも……もう、そんなことしてる暇ないのよ!」
希「そんなことない! 好きだから、やる。やりたいから、やる。だから、ずっと音楽を続けて来たんやろ? 好きなことをして生きて行くことはもちろん出来ない。だけど、何か一つの為に、自分の好きなことを犠牲にするのは、とても寂しい生き方やと思うんよ」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:56:56.52
真姫「……」
希「……ウチは、真姫ちゃんに、そんな生き方してほしくない。だから、辞めるだなんて言わないで。ウチは、真姫ちゃんの音楽が大好きなんや」
真姫「……ほんと、何なのよ、急に現れたと思ったら……ふふっ」
希「……やっと、笑ってくれたね」
真姫「はーぁ。あなたと話してたら調子が狂うわ」
希「ふふふ」
真姫「……でも、ありがとう、希。そうね、私、辞めない。音楽は、辞めないわ」
希「それを聞いて安心や! じゃぁ、受験勉強頑張ってね! 息抜きもせんとあかんよ?」
真姫「……わかってる。それじゃ、ね」
希「うん! 音ノ木坂で、待ってる!」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 00:57:56.31
真姫「うぇ!? な、なんで私の受験する高校まで知ってるの!」
希「言うたやん! ウチは、女神さんやからね! それじゃ、またね!」
真姫「……ほんと、変な人。また、ね?」
希「うん!」
希(……残るはエリち、やけど、もう約束の時間になっちゃった……!)
ガチャ
希「うわぁー!! また一段と眩しいなぁ!」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 01:29:59.21
希「! こ、ここは、……学校の屋上! 戻って来れた?」
???「あら! どうしてここに?」
希「ん! エリち! と、いうことは、戻ってない……? えーと、ここはエリちの心の中……?」
絵里「そうよ?」
希「ダメやったか……、っと! これでμ’sのみんなの心の中は一通りやって来たから、まぁ、これで最後のはずや!」
絵里「……何をぶつぶつ言ってるの? 希」
希「あ、気にしないで。ウチは希! わけあってちょっと心の世界にお邪魔する女神様や!」
絵里「……そ、そう? あなたが希なのは知ってるけど……どうかしちゃった?」
希「……」
絵里「……」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 01:30:34.67
希「……って、今うちのこと知ってるって言った?」
絵里「え、えぇ。希、私の大切な友達で、大切なμ’sの、メンバー、それがあなたでしょ?」
希「えええ!? じゃ、じゃぁ、これは過去のエリちの心の世界じゃないん?」
絵里「過去……? まったく、急に人の心の世界に現れたと思ったら、変なことを言うのね?」
希「……今日は、何月何日?」
絵里「えーと、6月8日ね!」
希「あ、なるほど! ウチはエリちの一日前の心の世界にやって来たんやね」
絵里「ふふふ、つまり、6月9日の希が、私の世界にやってきたってこと? ……なんだか良くわからないけど、今日の希はいつも以上にお茶目なことを言うわね」
希「……もう、茶化さんといてよー。ウチな、μ’sのみんなの、過去の心の中の世界を旅して来たんよ!」
絵里「へぇ、それはすごく興味深いわね。どうだった?」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 01:32:27.08
希「みんな、それぞれがいろいろ悩んでて、ウチは、助言くらいしか出来なかったんやけど……」
絵里「そう。……でも、きっとみんな救われたと思うわ。希の言うことだもの、ね?」
希「も、もう、なんか今日のエリちはストレートやね!」
絵里「あら、いつも通りよ? で、私にはどんな助言をしてくれるの?」
希「え、エリちも何か悩んでるん?」
絵里「さて、どうでしょう?」
希「……何もないような顔、やけどなぁ」
絵里「さすが希ね! 私は別に、悩みなんてないわ、今はね。今は、毎日が楽しい。あのとき、希が……私に背中を押してくれた、それで、今があるんだから」
希「……なんか、照れくさいね」
絵里「だから、私、何度でも言うわ。あなたに……ありがとうって」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 01:32:58.25
希「!」
絵里「あなたのその温もりが、私を、ううん、私たちμ’sをいつだって支えてくれる。あなたがしてきた旅のように、ね? だから、希……」
絵里「……ううん、やっぱり言わないでおくわ。だって、まだ今日はその日じゃないんだもの!」
希「エリち……」
絵里「さ、帰るんでしょ? きっと、明日の私が、私たちが……あなたを待ってるんじゃない?」
希「うん! エリち、……ありがとう!」
絵里「私は別に何もしてないわ。希が頑張ってくれたから、今のμ’sがあるんだから。……じゃあ、また! ね?」
希「……うん!」
ガチャ
希「うー、眩しい……!」
絵里(悩み……か。ないことも無いんだけど、ね。希には……言える訳、ないじゃない? ふふっ)
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/10(火) 02:02:48.12
にこ「……来るわよ!」
穂乃果「みんな、準備はいい?!」
海未「もちろんです!」
ガチャ……
8人「ハッピーバースd・・・って、あれぇ!?!?」
???「……」
花陽「こ、子供……?」
真姫「なんで子供がこんなところに居るのよ……。迷子?」
???「……ううん」ふるふる
ことり「……えっとぉ、あ、そうだ、お名前は?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:03:23.51
???「東條、希……」
8人「!!!??」
凛「ど、同姓同名かにゃー?」
絵里「ハラショー……」
にこ「で、でも……どこーとなく、希に似てるわ……!」
穂乃果「っていうことは、希ちゃん、ちっちゃくなっちゃったの!?」
海未「信じられません……」
花陽「……過去の希ちゃん、とか?」
真姫「そ、そんなこと……夢の中じゃあるまいしあるわけないでしょ!」
希「……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:03:52.52
絵里「ね、ねぇ、希ちゃん? 今は、何年の何月何日だか、わかる?」
希「……○○年の、6月、9日……」
花陽「スピリチュアルです……!」
凛「すっごーい! じゃあこのちびっこ希ちゃんも今日が誕生日なんだね! おめでとにゃー!」
希「……」ぷいっ
凛「……にゃ?! き、嫌われてる……?!」
海未「……なんだか、今の希とは少し違いますね……」
ことり「確かに、そうかも……」
穂乃果「ん? あ、顔真っ赤にしてる! 恥ずかしくて顔背けちゃっただけみたいだよ、凛ちゃん」
凛「なぁーんだ! びっくりした!
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:04:29.14
希「……ありが、とう……」
凛「……! か、かーわいーにゃー!!」
にこ「でも、どうやったらもとの世界に戻れるのかしら……?」
絵里「確かにそうね。向こうの親御さんだって心配してるだろうし……」
希「……家は、誰も、いないの」
真姫「……そういえば、鍵っ子だった、って言ってたわね」
ことり「そうだったんだ……。せっかくの、誕生日なのにね……」
穂乃果「あ、そうだ! じゃあ、チビ希ちゃんのお誕生日会もしようよ!」
花陽「じゃあ、みんなでバースデーソング歌おう!」
凛「さんせー!」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:04:57.96
8人「♪……ハッピーバースデー、ディア、希ちゃん!」
希「……!!」
絵里「さ、消していいのよ?」
希「……うん!」
フゥーっ!
8人「おめでとう!」
希「……ありがとう!」ニコっ
ピカー……
にこ「な、何、この光?!」
真姫「ま、眩しい……」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:05:23.67
希「……!! 帰りたく、ないよ……!」
海未「!! の、希の体がだんだんと透け始めている!?」
絵里「……この光とともに、希ちゃんも帰って行かないといけないってことかしら」
希「……おうちも、誰もいない! おともだちだって、出来ない……! 帰りたく、ないよ……!」
8人「……」
にこ「……そんなこと言われたら、帰せないじゃない」
真姫「で、でもどうしようもないわ?」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:05:51.97
穂乃果「希ちゃん! 聞いて! 私たち、大人になった希ちゃんのお友達、ううん、大切な仲間なの! 今は一緒に、がむしゃらに頑張ってる!」
海未「ぶつかり合うことだってある、でも、私たちにとって大事な場所」
凛「なりたい自分になれる場所!」
にこ「同じ夢を抱く仲間……」
ことり「自分の役割を感じられる大事な居場所」
花陽「新しい一歩を踏み出せる場所」
真姫「大好きなことをできる場所」
希「……!!」
絵里「そんな、μ’s……。それを、あなたが作ってくれたの。私たちの、女神様なの! だから……私たちと出会うのを、待ってて。あなたには、それだけすごい力があるんだから!」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:10:30.35
希「……わたし、が…?」
ことり「そうだよ! あ、そうだ! これ、私たちと出会った記念に、誕生日プレゼント!」
希「……これ、なぁに?」
海未「タロットカードと言います。占いの、一種ですね」
凛「今の希ちゃんはね、それを使って、スピリチュアルでんがなー! ってよく言ってるんだよ!」
花陽「そんなことは言わないと思うけど……」
真姫「くだらないこと言ってるとまた例のやつ、されるわよ?」
凛「いやー! そ、それだけは勘弁にゃー!!」
希「ふふふ、みんな、たのしそう」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:11:05.63
海未「ええ」
ことり「とーっても」
穂乃果「楽しいよ!」
にこ「そうよ。だから、」
絵里「希、このμ’sを導いてくれて、ありがとう。それから、」
8人「―――――」
希「!!!」
希「……みんな、ありがとう……!! また、またね……!!」
スゥー・・・・・・
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/06/10(火) 02:31:34.88
**
希「……こ、今度こそ、戻れたー!?」
穂乃果「の、希ちゃん!?」
凛「あ! 大きい方の希ちゃんだ!」
花陽「入れ替わりで今の希ちゃんが戻って来た、ってことかな?」
にこ「……ってこれじゃぁサプライズが台無しじゃないのよ!」
海未「それを言うならケーキだって食べてしまいましたし」
真姫「プレゼントも、ね」
ことり「あ、あはは……つい……」
絵里「……仕方ないわ? ま、やっと9人揃ったんだし、」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:32:02.75
希「ん? み、みんな何の話?」
8人「……お誕生日、おめでとう!」
希「……!!」
海未「で、ですが、希、諸事情がありまして、ケーキやプレゼントが……」
凛「そうそう! とってもスピリチュアルな諸事情だよ!」
希「……ふふ、ええんよ。ウチは、みんながこうやって集まってお祝いしてくれただけで、幸せや。それに、ウチもちょっとスピリチュアルなことがあってんな」
花陽「の、希ちゃんも!?」
希「……そう。内緒、やけどね!」
穂乃果「何それー! 気になる気になる!」
にこ「まったくもー! 計画がほぼほぼおじゃんじゃないのよ! さ、メインイベントまで後少しよ!」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:32:36.96
希「ん? メインイベント? この誕生日会がメインイベントじゃないん?」
絵里「それは見てからのお楽しみ。さ、講堂に急ぐわよ!」
希「……??」
**
穂乃果「みんなー! お待たせー! 主役の登場だよー!」
にこ「……東城だけにね」ボソッ
凛「……凍えそうにゃ」
真姫「士気が下がること、言わないでくれる?」
にこ「つ、ついよつい! 悪かったわよ!」
希「・・・・!!」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:33:22.85
ワーキャー!!
希ー! お誕生日おめでとー!
のんたーん! おめでとう!!
絵里「μ’sの女神様に、μ’sからの、誕生日プレゼント! バースデーライブよ! ……特別な、思い出にしましょう?」
希「エリち……みんな……!」
海未「さ、行きましょう!」
ことり「曲はもちろん、あの曲だよ!」
希「……うん! みんな、ほんとにありがとう……!」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:33:52.14
希「みんなーー!!! ウチの為に集まってくれてありがとう!! じゃあ、行っくよー!! Dancing Stars、On Meーーー!!」
穂乃果「希ちゃん!」
海未「希!」
凛「希ちゃーん!」
にこ「のーぞみ!」
ことり「希ちゃん!」
花陽「希ちゃん……!」
絵里「……希!」
・・・
生まれて来てくれて、
ありがとう!!!!
(おわり)
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/10(火) 02:35:40.04
ということでおわりです。おつきあいいただきましてありがとう
はじめて平和なのを書いてみました
日にちは変わってしまいましたが、のんたんお誕生日おめでとう!!!!!!
ミクロマンアーツ ラブライブ! MA1102東條希
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